雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ドルチェ

2012-07-26 20:06:55 | 

誉田哲也著"ドルチェ"を読みました。
練馬署強行犯係魚住久江42歳が主人公の連作短編集です。
捜査一課へ戻らないかと言われても所轄で仕事する方を
選びました。
久江は普通のどこにでもいる女性という感じの人です。
他の男性メンバーも普通の人という感じです。

"袋の金魚"
1歳2ヶ月の子供が死亡していて妻が行方不明の事件が
発生しました。
夫はやくざっぽい男です。
しばらくして妻が警察に出頭してきました。
意外なことを話し始めます。

"ドルチェ"
学生の川西恵が刺されました。
付き合う男とは長続きしなくて次々と変っています。
准教授と不倫していました。
アルバイトで高校生の家庭教師をしています。
実は恵は犯人が誰か知っていてかばっています。

"バスストップ"
夜遅くバスを降りた女性が襲われそうになりました。
バスをじっと見つめていた男がいました。
交番勤務で刑事志望の峰岸が捜査協力します。
本庁の佐久間が捜査に首を突っ込んできます。
佐久間は襲われる女性側に問題があるとか、性的マイノリティ
の人をばかにする言動をします。
言いたい放題の佐久間は所轄の里中に叩きのめされます。

"誰かのために"
刑事志望の峰岸は念願かなって久江たちのグループの
一員となります。
元従業員が専務を傷つけ逃げました。
目撃者は貸した何かを返せと言っていっていました。
しかし専務は何を借りたのか覚えていません。
興味がないのについつい今度貸してくれっと言って
しまう人で借りても覚えていないのです。
犯人は自宅にいてすぐ捕まりました。
捜査員が現場で捕まえたのはサソリ3匹です。
やけくそになって飼っていたサソリ17匹を庭へばら撒いた
と打ち明けます。
大騒動でサソリの捜索が始まりました。

社会に馴染めない男に久江がお説教する場面があります。
常識的で正しい言い分です。でも心に響きません。
私がその男だったらそんなことはわかっている、でも
実際にどうしていいのかわからないのだと言い返して
しまいそうです。

ブルードパラサイト"
吉沢徹が妻の明穂に刺されました。
ミホという子供がいます。
久江は明穂が夫を刺した心理を突き止めます。

徹は阿川祐子と付き合っています。
祐子は徹の学生時代の恋人で今は女優です。
妻が夫を刺した理由はもっともだと思う理由です。
祐子の本名は美保です。
子供に付けた名前は美保です。
せめて美穂とすればいいのに。
昔の恋人の名前をゆめゆめ自分の子供に付けては
いけません。

"愛したのが百年目"
柿内と神野は何軒かで酒を飲みました。
柿内が運転して神野を家に送っていき神野の家の前で
神野を降ろして誤って轢いてしまいました。
柿内と神野と神野の妻の逸美は学生時代からの知り合い
でした。
柿内も逸美が好きでした。ずっと見守ってきました。
神野が不倫をしていることを知りました。

柿内が夫であり父である神野を轢いたにもかかわらず
妻の逸美と娘の和美は柿内の行為が何から出たのか
理解しています。
家族は大切にしないとさみしい思いをすることに
なりますね。

読みやすい本です。
久江や、もしかして年上の久江に気があるのかと感じさ
せる(そうでなかったらちょっと残酷)峰岸や、他の捜査員も
馴染みやすい人達です。
ドルチェとは甘いとか、スイーツ、デザートとかの
ことだそうです。
一般的な言葉なんでしょうか、私は知りませんでした。