雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

弥勒の月

2012-07-24 20:03:00 | 

あさのあつこ著"弥勒の月"を読みました。
"木練柿"、"夜叉桜"のシリーズの1冊目です。
変な読み方をしてしまって後ろから前に読んでしまいました。
木暮信次郎と伊佐治が遠野屋真之介と出会う巻です。
小間物屋問屋の真之介の妻おりんが川に飛び込んで
自殺します。
信次郎は真之介にことごとくに激しい言葉を浴びせます。
時には頬を叩いたりします。
信次郎の父右衛門は信次郎と性格が違ってやさしく人に
慕われた人です。
伊佐治は右衛門に仕えていました。
右衛門が亡くなった後は息子の信次郎の下で働いて
いますが信次郎のことがよくわからなくてやめようか
どうしようか考えています。

おりんが死んだのは自殺と見て間違いがありません。
しかしどうして自殺したのかその理由がわかりません。
おりんの母のおしのが首吊り自殺をします。
幸いにも命は助かりました。

おりんは朝顔の種を持っていました。
誰にもらったのかわかりません。
おりんが川に飛び込んだのを目撃しておりんの下駄を
持っていた稲垣屋惣助が一太刀で殺されました。
夜鷹蕎麦屋がやはり殺されました。

真之介は元は周防清弥といいました。
妾腹の子としてして生まれました。
父は清也に剣道を教え込みました。
そして人を斬ることを命じました。
最初に斬ったのは自分を育ててくれた婆やでした。
次々に理由も知らずに人を斬りました。
そして父は兄を斬れと命じました。
人殺しの集団の首領となって裏で生きるよう命じます。
しかし清也に兄は斬れません。
父を斬ってしまいます。
兄は清也に江戸に出て生き直せと送り出します。

真之介は絶望して川を眺めていた時おりんに出会いました。
真之介はおりんは弥勒のようだったといいます。
おりんを自殺へ導いたのは真之介の過去に繋がる人物です。
稲垣屋と蕎麦屋を殺したのは信次郎のよく知る人です。

何も考えず人を斬っていた真之介と現在商人として
生きている真之介はまったく別人のようです。
人というのはこんなにも変るものなのでしょうか。
信次郎も父親とまったく違う性格はいったいどこで
身につけたのでしょうか。
伊佐治はずっと右衛門に仕えていたのですから信次郎の
子供のころのことは知っていそうなものですが知らない
みたいな書かれ方です。

真之介にとっておりんは一生に一度出会うかどうかの
大切な人だったのでしょう。
失った苦しみはいかばかりでしょう。