雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

赤ひげ診療譚

2012-07-15 20:01:08 | 

山本周五郎著"赤ひげ診療譚"を読みました。
昭和39年発行とあります。
50年近く前に書かれた話です。
古臭い文章なのかなと思いましたが全然違和感は
ありません。
たぶん一度前に読んでいると思いますが覚えていません。
"赤ひげ"の言葉は良心的なお医者さんの代名詞みたいに
使われています。
どんな内容だったかもう一度読んでみようと手にしました。
保本登という長崎で医学を勉強して戻ってきた男が
語る形式で書かれています。
赤ひげと呼ばれているのは小石川養生所の責任者である
新出去定(にいできょじょう)です。
登は婚約していました。長崎で3年間勉強しました。
帰ったら婚約者は別の男と駆け落ちしていました。
養生所へ無理やり行かされました。
始めのうちは反抗していた登ですが殺されかけたところを
赤ひげに助けられてしだいにいっしょに働き始めます。
養生所は貧乏な人達を無料で診る場所です。
無知で健康や医療知識のない人々の悲惨な生活を
目にします。
診療所の経費を削られ通い治療の禁止を言い渡されます。
それでも赤ひげは人々の間を治療して廻ります。
登はお目見え医になるのが目標でしたが養生所で働く
ことを選びます。
赤ひげのしていることは焼け石に水めいています。
でもやらなければいられません。
自分のできる事をせいいっぱいやるしかないのですね。
赤ひげはいつもぶつぶつ言っています。
これで何かが変るというわけではなく自信にあふれて
いるわけでもありません。
やれるだけのことをしようとしている人なのだと
思います。
貧しいということは悲しいことですね。

数多くの本が出版され次々に消えていきます。
この本は残った本です。
読みやすい本です。