雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

一匹羊

2012-07-01 22:33:08 | 

山本幸久著"一匹羊"を読みました。
短編集です。

"狼なんてこわくない"
星野麗子、高校生。
アルバイトして貯めたお金で夜行バスに乗って転校して
いった彼に会いに行きます。
バスの中でキャバクラ嬢のような感じの人と知り合いに
なりました。

"夜中に柴葉漬"
笹倉がアルバイトをしている居酒屋には40過ぎで劇団を
主宰している人がやはりアルバイトをしています。
チケットをむりやり買わせたりお金を貸して欲しいと
言ってきます。
笹倉はコンビニで柴葉漬を買って夜中に食べています。

"野和田さん家のツグヲさん"
水泳の練習の帰りは駅まで父親が車で迎えに来てくれました。
父が事故でこれなくなりました。
近所で仕事をしていないツグヲが家の車で迎えに来て
くれることになりました。
ツグヲの友達二人がよからぬ事をたくらみツグヲに
協力を求めてきました。
うまい機転でツグヲは回避しました。

"感じてサンバ"
島のキャバクラで働いています。
島の人たちは冷たい視線で見ます。
同僚のユイは子供たちが運動会で踊るマツケンサンバの
練習をしているのを見てがまんができなくなり教える
のをかって出ます。

"どきどき団"
夫が定年退職した妻富音子は子供たちにお手玉の作り方や
遊び方をボランティアで教えています。
夫は常々富音子を無視したり馬鹿にしてきました。
定年になって夫は存在感が薄くなります。

"テディベアの恩返し"
鮒村は再就職支援の会社で事務方をしています。
仕事は鮒村に合っていて満足して働いています。
高校時代の同級生がプロ野球の選手でした。
野球をやめ鮒村のところの教室に参加することに
なりました。
彼の名前は熊田でテディベアの愛称があります。
高校の時は交流がありませんでした。
鮒村は漫画家になりたいと思っていました。
作品が雑誌に掲載されたことがあります。
熊田はそれを見て負けまいとがんばったと打ち明けます。

"踊り場で踊る"
鮎川は家具メーカーの家具売り場に勤務して十年です。
近くの老人施設を脱走した老女が売り場のあちこちに
出没して通りがかりの人に知り合いだと思い込んで
声をかけています。
なかなかつかまりません。

"一匹羊"
縫製工場に中学生六人が職場体験に訪れます。
ヘリウムを入れて空に浮かべる羊があります。
何かある時に上げられます。
中学生の仲の一人のデザイン画は才能があることが
見えます。
居酒屋から受注した仕事は有名居酒屋のデザインの
盗用です。
このままやれと上からの命令です。

読みにくくはありません。
でもあまり心に残るものでもありません。
本の中にはその時だけの楽しさを与えてくれるという
種類のものがあります。
そういうものの存在はあっていいと思います。
けなしているわけではありません。
電車の中とか病院の時間待ちとかに持っていくのに
いい本だと思います。