Pro house keeper

アメリカのローカルフードを中心に、世界各国の料理レシピを自宅で気軽につくる料理日誌。

チョコチップクッキー。

2008-05-30 14:20:08 | 料理
アメリカに行って驚いたことの一つは、クッキーの大きさとその見た目。
私がアメリカ生活で御用達にしていたスーパーのパンコーナーの一角にはクッキーが並んでいたのですが、初めて見たときはかなり衝撃的でした。

まずは大きさにびっくり。手のひら大のクッキーが基本サイズで売られていて、しかもバラ売り。見た目もいかにも手作り的で、子供が作ったようなお世辞にもきれいとはいえない形と色。トッピングも日本では考えられないマーブルチョコをごてごてと散らしたものやカラフルすぎるアイシングやフロスティングがかかったもので、おいしそうとはあまり思えないものばかり。
でも、どこでもそういうものが売られていることがわかり、アメリカンクッキーとは実際はこういうものだとういう認識になりました。

食感はというと、基本的にChewy。つまりサクサクではなく、かみごたえのあるねばりのある食感。簡単に言うと真ん中がちょっと湿気った感じです。もちろんしけっている訳ではありません。ロサンゼルスではポテトチップスの封を開けたまま保存していても湿気ることはない乾燥地帯ですから。日本の湿度感になれている私には食品保存ではある意味便利でした。

ちょうど先日実家に帰る予定があったので、手土産用にクッキーを作ってみることにしました。日本でクッキーを作るのは何年ぶりでしょうか。
クッキーはバターと砂糖と粉の塊で味は嫌いではないものの味は単調、カロリーはToo Much。作るのもタルト生地のようにバターが解けないように生地を冷たい状態にしてべたつかないように冷蔵庫に入れたり出したりしなければならないのが億劫でしたので、あまり作りたいと思うものではなかったからかも。

でも形崩れがしにくく、大量でも軽くて持ち運びやすく、常温保存ができ、子供ウケがよいものという点ではクッキーはすぐれた持参品かもしれません。
ということで、久しぶりに作ってみることに。

せっかくなので、いつものとおりアメリカの料理書のレシピで作ってみることにしました。今回もFull Fat仕様で、アメリカンサイズの特大チョコチップクッキーにしてみました。見た目にもインパクトがある方が子供ウケがいいでしょう。
でもレシピを訳して作ってみると、意外なことがいくつかわかりました。

現地のTVでも作っているところを何度か見かけたことはあるのですが、基本的にスタンドミキサーを使って作るのが一般的。冷凍品の生地をオーブンで焼くだけの半手作り(?)クッキーはさらに普及している作り方ですね。でも今回は日本的に手作業でつくります。

作り方は日本のものより簡単かも。
ボウルにバターを溶かして冷ましておきます。まず大きな違いの一つ。バターをクリーム状に練る必要もなく、非常に楽で手早くできる理由の一つ。冷蔵庫で固める必要もないのでいいやり方だとおもいます。

でもバターを溶かす最大の理由は、バターは固体状態では水と脂が乳化しています。バターが解けると脂と水が分離した状態に変わり、そこへ粉を加えると粉が水分を一気に吸い、グルテンが形成されます。グルテンができると、食感がもちっとしてChewyになるということ。日本のお菓子つくりはこのグルテンを避ける作り方が多いので、できるだけサクッとふんわりが基本なのですが、アメリカでは逆が重要視される場合が結構多いです。アメリカのお菓子がおいしくないと感じる人が多いのはこのせいかもしれませんね。日本人とは食感の好みが基本的に違う部分がありますので。。。

溶かしバターに砂糖と加えて混ぜ合わせ、卵と卵黄を加えて混ぜ合わせます。
全卵だけでなく、卵黄も加えるのは、油脂量の調整のため。
バターだけから油脂分を賄おうとすると、バターの水分が多すぎて、生地がべたつきすぎてしまいます。かといって、バターを減らすと油脂量が減ってしまいますので、クッキーは冷めたときに固くなってしまいます。
他の材料での油脂の供給源は卵のみ。全卵だと水分量が増えてしまいますので、卵黄を1個追加して水分は増やさず油脂分だけ増やす調整法のようです。

クリーム状になるまで泡だて器でしっかり混ぜますが、混ぜすぎないように注意は必要です。ふんわりさせすぎると、日本人好みのサクサククッキーになり、Chewyなアメリカンクッキーにはなりません。さらに砂糖はブラウンシュガーを使った方がよいようですね。
今回は手持ちがないため、白砂糖で作りましたが、ブランウンシュガーの効能は焼き色や味の深みだけではないようですね。

チョコチップの準備。製菓用のチョコチップでもいいのですが、結構お高いので板チョコで代用。板チョコの方が味もいろいろあって意外に安くて便利かも。
ビニール袋に軽く割りいれて、麺棒で叩いて好みの大きさに細かくします。ちょっと大きめ位がいいですね。市販のチョコチップでは小さすぎるかもしれません。

別ボウルに強力粉、薄力粉、重曹、塩を加えて混ぜ合わせておきます。クリーム状にしたバター生地に粉混合物を加えて、さっくりと混ぜ合わせます。

混ぜすぎないのは日本のレシピと同じです。最後に割った板チョコを加えて軽く混ぜて生地は完成。

次は成形。クッキーの成型法はいくつかあるのですが、一般的なところでは型抜きor絞り出しと切り出しor手丸め。
アメリカのクッキーカッターは日本より種類が断然多く、安い。ウィリアム・ソノマなどは毎年新商品を季節ごとに出しているくらい。3Dの立体型など日本ではないデザインのものも多数あり、見ているだけで楽しめます。絞り出し器もガンタイプがよく売られていて、絞り出しプレートも様々な形があって、市販の大きな缶入りクッキー詰め合わせみたいなものがすぐにできそう。

でも作り方で一番見かけるのは、ドロップクッキー。1枚分の生地をどさっと天板にのせるだけ。あとはオーブンで溶けて丸く広がってムーンライトクッキーのようものにします。生地をすくう道具はアイスクリームスクープ。この道具はアメリカではかなりいろいろな場面で使われる道具で持っているとなかなか便利。
マフィンの型入れやクラブケーキの成型など等分に生地を分けたいときによく使わわれています。
サイズも大中小と3種類くらいあるといいと思うのですが。。。。まだ私は買ってない。

とりあえず1/4カップの計量カップで生地をすくい、オーブンペーパーを敷いた天板にボール状にして仮置き。ここからが日本では見たことがない成型法です。

ボール状の生地を両手の指で引っ張って半分に引きちぎります。
引きちぎった面がぎざぎざになっているので、90度回転させてギザギザの面を上にします。もともと底になっていた部分を再度押し当てて引っ付けて天板に置きます。上面を触らないようにして底側面をできるだけ均等な丸型にしてできあがり。

天板に置く際は、焼いている間に溶けて広がることを想定して5cm以上離して並べました。よって大きな天板でも5個ずつくらいしか焼けないので、2バッチ仕様となりました。
アメリカでは表面がギザギザしているものが魅力的なクッキーの外観の要素らしい。日本では平らで厚みが均一、模様がはっきりしていて形が崩れていないものがいいと思います。だから麺棒で生地をのばして表面を平らにしてから切り出したり型を抜いたり、ドロップ型でも手で最後に丸めるか、コップの底で平らにすることが多いですね。

アメリカ式でもそういうレシピもありますが、分厚いchewyなクッキーと言えば、表面がギザギザしているものが魅力的なようですね。引きちぎって成形するなんて聞いたことがなく、作っていてどうなることかと思いました。

160度のオーブンで15分ほど焼き完成。低温で焼くのもChewyクッキーの条件です。
焼きたては柔らかく、触ると崩れるので冷めるまで天板のまま放置。荒熱がとれたら、天板から外して完成です。このクッキーは暖かいものを食べるがbetter。持ちろん冷めても大丈夫ですが、もちっとしているのは暖かい焼きたての方。
冷めるとサクサクしてきてchewyさが欠けていました。ブラウンシュガーをつかわなかったことと、薄力粉を混ぜたことが原因かもしれませんね。100%強力粉の方が良かったように思います。

ごろっとしたチョコチップが大きなクッキーにさらに迫力を加えて、アメリカンな素朴さがでたクッキーになりました。表面も引きちぎったことでごつごつしていて、ギザギザというより凸凹。重曹が入っているので焼いている間に膨らみましたので、溶けて広がった分、薄くなったという感覚はないですね。
これでもまだアメリカで売られていた特大クッキーより一回りは小さい出来上がりでした。

味はやはり甘いですが、日本の市販チョコチップクッキーと同じくらい。分厚いわりにサクサクしてオリジナルの目的とはちょっと離れますが、日本人にはウケるかもしれませんね。

クッキーひとつでもアメリカと日本では作り方も見た目の良さも異なり、本場もののレシピで作るのはとても重要だなあと感じる実習でした。

作ってみたい方はこちらを参考にしてください。↓
レシピ アメリカンビッグクッキー by PCWP

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