文字通り飛んで帰った甲斐があり、ピリスさんの演奏を堪能しました。音を一つずつ置いていくような演奏は健在だったし、sonataの前にめがねを掛ける仕草も昔のまま。
途中から出てきたチェロは、まあただ弾いているだけという感じのうえ、Schubertのsonataはいつ聴いても退屈だし、その後のBeethovenに集中。私にとって、Schubertは別にいなくても困らない作曲家です。
それよりも圧巻はアンコール。どうしてここでJ. S. Bachが出てくるのでしょう? それもカザルス編曲のBWV.564からアダージョとあっては、びっくりして声も出ないまま終わりました。Bachを演奏する人に対しては、どんな相手でもまずは聴いてみましょうと寛容的になるのが常ですが(グレン・グールドを除く)、この局面で出てこられると、本当にうろたえてしまいます。