シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

パンズラビリンス

2010-11-08 | シネマ は行



公開当時、評論家などからの評価が高かった作品なのだけれど、ちょっとテリーギリアム的な不条理な世界を勝手に想像して敬遠していた。ケーブルテレビの放映を撮っておいたのがあったので、今回見ることにした。

ギレルモデルトロ監督の作品は「ヘルボーイ」の「1」は見ていて、彼の想像するクリーチャーの感じだけは分かっていたので、映像的になんだか恐ろしいものになりそうだなと思いつつ見始めた。

1944年の内戦下のスペイン、オフィリアイバナバケロは独裁政権の軍のヴィダル大尉セルジロペスと再婚した母に連れられて軍の施設がある森にやってくる。大尉はレジスタンスを冷酷に惨殺するような人間で、再婚した妻(オフィリアの母)から生まれてくる息子だけに興味があり、母のこともオフィリアのことも疎ましい存在のように扱っていた。そんな悲しい現実から逃れるように本の好きなオフィリアはおとぎ話の世界に魅かれていく。

この現実とも、ただの空想ともつかないおとぎ話の世界がまたなんだかおどろおどろしい。普通ならこんな子供が考える世界はお花畑の素敵な世界だと思うのだけど、ギレルモデルトロ監督の世界は、そんな世界とは正反対。おとぎ話の国の番人であるパンダグジョーンズは見た目が非常に恐ろしい牧羊神。こんなものが目の前に現れたらたいがいの子供は悲鳴を挙げて逃げ出すと思うけどなぁ。オフィリアはそれほどに現実から逃げたいと思っていたということか。しっかし、あんな怖い牧羊神から言われたことを守らないってどんだけ怖いもん知らずよ?「何も食べるな」って言われたのに、なんで「ブドウ2個なら大丈夫と思って」って食べちゃうのよ?しかも、牧羊神より見かけが恐ろしいクリーチャーがいる部屋でわざわざブドウ食べるか?まったくもう。あの掌に目ん玉埋め込んであるクリーチャーは、大人でも夢に見そうなくらい怖いよ。掌をおでこのところでぱっと広げる仕草が変に滑稽なんだけど、それがまた薄気味悪さを増長させている。でもさ、最初から目が手についてたなら、どうして人間の目があるところに手を持っていくんだろ?もともとはそこに目があったけど、何かの事情で掌につけさせられたのかな?

こんなの↓(さぁ、あなたも夢に見なさい)


オフィリアが見るおとぎ話の世界と、継父、母、レジスタンスを取り巻く現実世界の2つがうまく融合されていて、どちらの話もちゃんと同時進行で理路整然と進んでいくところはとても気に入った。犠牲者は出たものの、最後にヴィダル大尉が報復を受けるところはスカッとしてしまったな。

全体的な雰囲気がスペイン映画の「永遠のこどもたち」になんとなく似ているなぁと思いながら見ていたら「永遠のこどもたち」のプロデューサーはギレルモデルトロだった。まぁ、関係があるかどうか分かんないけど。

最後はハッピーエンドと言うわけにはいかないかもしれないけど、オフィリアにはまだ救いがあって良かったと思わせてくれるラストで、子供が主役なだけにまだ救いがあって良かった。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
みました (トモニート)
2010-11-10 21:03:20
今日みましたが、妖精こわかったです
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トモニートさんへ (coky)
2010-11-11 10:49:47
コメントありがとうございます。

妖精も怖かったですよね。あれが、妖精か!?って思いました。
オフィリアはよく怖がりませんでしたよね。
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