ウクライナ移民のアメリカ市民ユーリオルロフニコラスケイジは父親の冴えないレストランを手伝っていたが、ロシア人街で銃撃戦に遭遇したのをきっかけに武器を売る商売を始める。弟のヴィタリージャレッドレトを引き込んで2人で武器商人の道を歩み始めたユーリはその辺のチンピラを相手にするより、世界を相手に紛争地域で商売を始めようと考える。
武器商人ということで、かなりアブナイ橋を渡るユーリたち。商売が商売だけにヤバイ奴らを相手にしなくちゃいけない。それでも、ユーリはピンチを切り抜ける才能があり、無名の武器商人からのし上がっていく。ある商売相手にコカインで代金を払われてしまったことをきっかけにヴィタリーは麻薬に溺れ、中毒になり商売を抜けざるを得なくなるが、その後もユーリは自分一人でのし上がって行った。
昔から恋していた女性でいまはモデルのエヴァブリジットモイナハンに金持ちの紳士として近づき、正体を隠したまま結婚へとこぎつける。初めは見せ金しか持っていなかったユーリだったが、商売が軌道に乗り、エヴァへの見栄ではなく、本当に大金を稼ぐようになっていた。
武器商人として軌道に乗り始めたころ、ちょうど冷戦が終結し、ソ連が崩壊。速攻で故郷ウクライナへ飛びそこにいる叔父のヴォルコフ少将ユージンラザレフに掛け合ってソ連が大量に残して行った武器を売っ払うことに成功。このときライバルの武器商人シメオンワイズイアンホルムのほうの申し出を叔父はユーリへの親戚のよしみで断ったためシメオンに殺されてしまう。
その後は、ユーゴスラビア紛争に世界の目が向いているのをいいことにアフリカで起こっている紛争でかなり儲けたユーリ。リベリアのバプティスト大統領イーモンウォーカーのお気に入りになったユーリだったが、大統領はかなり凶暴でイカれていて、ユーリでもビビッていた部分はあった。そんな大統領相手でもユーリはうまく立ち回っていたが、お前の叔父を殺したシメオンを捕まえてやったから殺せと言われたときは、相当参ってしまったようだった。
奥さんはユーリの商売について特に詳しくは聞こうとせず、輸出入商くらいに思っていたっぽい。まぁ、どうせ聞いても嘘言われてたから分からなかっただろうね。家に商品があるわけでなし。でも、インターポールのバレンタイン捜査官イーサンホークが奥さんにバラしてしまい、いったんはユーリも武器商から足を洗うが、それは長くは続かなかった。
取引がテンポよく語られ、インターポールの捜査をうまくかいくぐり、法の抜け道をすれすれですり抜けていくユーリの姿が心地よく、ともすればユーリが悪い奴だということを忘れさせてしまいそうで怖い。ユーリも自分が悪い奴という意識はないし。自分は商売として成り立つことをしているだけで戦争をしている奴らが悪いのだし、自分は戦争なんかで死にたくないと思っている。自分の商売が間接的に人を殺しているとしても、自分がやらなくても他の誰かがやるだけさ、くらいに思っているのだろう。そうでなければ、こんな商売できないよね。
ユーリは金に目がくらんだわけではなく、自分には才能があったからだと言っていたけど、確かにユーリの商才ってのは見ていて感心しましたね。ぶっちゃけあざやかな手口にスカッとした場面も。商才とピンチを切り抜ける才能がないと武器商人としては成功しないでしょう。
結局最終的にインターポールに捕まるんだけど、ずっと上層部からの要請でユーリは釈放されてしまう。アメリカを始めとする国際社会は彼のような存在が必要だからというオチだった。実際のユーリのモデルになった人は捕まって収監中のようですけどね。映画としてはこういうオチで良かったと思います。実際世界中にユーリのようにのさばっている武器商人はたくさんいるんでしょうし。
ユーリは「戦争で死なないためには自分からは戦争に行かないこと」と言っていましたね。世界がどう変わろうが戦争がなくなることはない。でも戦争で死ぬほど馬鹿げたことはない、と武器商人のユーリは達観していたのかもしれません。
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戦争が亡くならなければ武器もなくならない。この国の政府の政策転換もあいまって、武器取引のあり方、その仕組みについて考えさせられる内容でした。
集団的自衛権、武器輸出三原則などを勝手に見直していく政府。この国はどこへ向かって行くのでしょうかねぇ。
>集団的自衛権、武器輸出三原則などを勝手に見直していく政府。この国はどこへ向かって行くのでしょうかねぇ。
本当にどこに向かおうとしているのでしょうか。
お台場のテレビ局が夏祭り会場に自衛隊のミサイルを展示していたとのこと。この国が何を目論んでいるのか、目が離せなくなってきました。
そうなんですか…
テレビ局って最近政府よりの発言が多くなってきて寒気がします。
本当に。寒いです。
マスメディアにだまされないよう、精進します。
そう思う人が増えるといいのですが。