2010年に「ザ・コーヴ」を見たときにどうして「メイキング・オブ・ザ・コーヴ」というカウンタームービーを作らないんだ!という感想を書いていたら、カウンタームービーができた。2015年、映画作りは素人の八木景子監督が作ったというので見たかったのだが、見る機会がなくこの度ケーブルテレビで見ることができました。
正直に言います。まぁとにかく素人くさい。本当に手作り感がすごいです。ぶっちゃけ見ていてしらけそうになるくらいなんだけど、最初にちょっとそこに目をつぶって我慢して見ているとだんだん内容に必死になって見ていました。
太地町の人々、太地町の役人、市長、太地町の活動家、国の役人、シーシェパード、ノルウェーの教授、アニマルプラネットの元カメラマンとインタビューは多岐に渡り、それぞれの人が話す内容もあっちゃこっちゃ行ってちょっと分かりにくい。ワタクシが期待していたのはまさに「ザ・コーヴ」のカウンタームービーで「ザ・コーヴ」のはい、ここがウソ、あそこがウソってひとつひとつ指摘していってくれるような作品だったのですが、これはそこまで逐一やっていくわけではなく全体的な反論となぜここまで捕鯨問題がアメリカで取り上げられるかという疑問に迫るといった感じでした。
結局日本の国が「ザ・コーヴ」に関して何もしなかったのは、こんなことにお金をかけても無駄だからってことだったらしい。捕鯨なんて大した経済効果もないし、日本の片田舎のとある町の人たちがやりたいなら勝手にやったらいいじゃないくらいのもんなんだろう。それプラス、アメリカはベトナム戦争への世界的な非難から目を背けさせるために日本の捕鯨をやり玉に挙げたっていうんだから、それには驚きだったな。シーシェパードがイルカに固執するのは儲かるからっていうのは予想がついたけど、まさかアメリカが自分とこへの非難を避けるために捕鯨問題を利用したとはね。
シーシェパードの人たちにもインタビューをするんだけど、何を聞いてもお話にならないよね。一応質問したことには答えてはくれるけど、内容は要領を得なくてイライラする。あの代表にインタビューさせまいとやたらと手を回してきたシーシェパードの日本人女性にもイライラしたな。
捕鯨問題を原爆の問題と結びつけるのはちょっとどうかと思う部分もありましたね。捕鯨問題でアメリカが日本ばかり責めるのは人種差別があるからというのは、あながち完全な間違いではないかもしれないけど、それだけで断罪してしまうのは危険な気がします。こちらの文化をはなから理解する気がないという傲慢な態度は結局有色人種を下に見ているからというのがあるかもしれないけど、もう少し鯨とイルカを獲って食べることの環境への影響などを科学的な見地からシーシェパードに疑問をぶつけてほしかった。
科学的な資料とか、歴史的な資料もたくさん登場して客観的に判断できるようにはなっているんだけど、その資料の出し方が一瞬映るだけだったりして、物足りなさはあった。
太地町の人たちは「ザ・コーヴ」以降もうメディアはこりごりという感じだっただろうから八木監督が信頼を得るまでは大変だっただろう。そういうところは素人だったのが幸いしたのかもしれない。
と、レビューを書くために人名などネットで調べているとこの作品の「アメリカがベトナム戦争への非難から目を背けさせるために日本の捕鯨をやり玉に挙げた」というのはウソという情報が、、、んーーーなんなんだ。これこそドキュメンタリー作品を鵜のみにしてはいけないというこの作品の意図と合致した意味を持った例になってしまっているではないか。
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