シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

マダムマロリーと魔法のスパイス

2014-11-13 | シネマ ま行

設定が面白そうなのと主演がヘレンミレンということで見に行くことにしたのですが、この邦題ひどいですね。「マダムマロリーと魔法のスパイス」って初めて聞いたときは「ハリーポッター」とかそのあたりのファンタジーものかと思いました。

インドのムンバイで代々レストランを営むカダム家。そこの次男のハッサンマニシュダヤルは天才的な味覚を持ち、料理の腕を母親からの伝授で磨き一流の料理人に育って行った。ある日暴動の余波でレストランは火事になり母親は死んでしまう。一家はインドを出てヨーロッパで心機一転しようとフランスに移住してくる。

パパオムプリが見つけたレストランにぴったりの物件は、老舗1つ星レストランのすぐ向かい側だった。反対するハッサンと兄だったが、頑固な父は自分の意見を押し通してしまう。

目の前に派手なインドレストランが開店しようとしていることに老舗レストランのオーナーマダムマロリー(ヘレンミレン)は高級レストランの雰囲気が台無しと怒り心頭。あの手この手でハッサンたちの邪魔をしようとするが…

まず舞台がフランスで主役のフランス人を演じるのがエリザベス女王まで演じたイギリスを代表する役者ヘレンミレン。インドの人たちとはフランス語なまりの英語で話すのだけど、フランス人同士の設定でも英語で会話をしていて、時折フランス語が挟まれるという違和感のある芝居だった。舞台が英語圏以外でも世界的な興行を考えると英語で芝居をするというのはありだとは思うのだけど、どうせ入り混じるのであればフランス人同士のときはフランス語で話してほしかったな。

ま、それはさておき、物語は老舗フランスレストランvs新興インドレストランという構図と、マダムマロリーvsパパ、フランスレストランの副シェフ・マルグリットシャルロットルボンvsハッサン(こちらはvsではなく&というべきか)という3つの流れでお話は進む。

マダムマロリーは自分自身も結構ハッサンたちに嫌がらせをしていたくせに、自分のレストランのシェフがハッサンたちの店の壁に落書きをし、放火をした時にはさすがにキレてシェフをクビにした。ま、あれは確かにやり過ぎだわな。

そこから一気に雪解けがやってくる。パパとマダムマロリーは仲良くなり、ハッサンはマダムマロリーに料理の腕を認めてもらおうとオムレツを作る。ハッサンは火事で手をケガしていてハッサンの指令通りにマダムマロリーが作るのですが、このオムレツを試食するときのヘレンミレンの演技が素晴らしい。イスに座って彼女がオムレツを食べる様子を後ろから撮ってるんですが、ひと口食べた瞬間に動きが止まってすっと背筋が伸びるんです。その動作ですべてを表現できるところがやはりヘレンミレンですね。

それを機にハッサンはマダムマロリーの店で修業することになり、1年後、長年1つ星しか獲れなかったマダムマロリーのレストランはハッサンのおかげで2つ星を獲得するのです。それを一緒にお祝いするパパとマダムマロリーがとても可愛らしかった。

2つ星シェフになったハッサンは引く手あまた。田舎町を出てパリで流行のネオフレンチのシェフとなりそこでも大絶賛されるのですが、科学的な料理にハッサンの心は満たされない。同郷のシェフの奥さんが作った故郷の料理に涙するハッサンに思わずもらい泣きしてしまいました。彼がしたいのはこんな料理じゃない。どんなにちやほやされても自分の原点を見失ってはいけない。そうハッサンが気付くシーンがとても良かったです。

ハッサンがパリに行き離れたことによって、同じ料理人としてハッサンに嫉妬を感じていたマルグリットのかたくなな心も解け、マダムマロリーが譲ってくれた老舗レストランを一緒にやっていくと決まってめでたしめでたし。パパとマダムマロリーもいい感じになっていてめでたしめでたし。ラッセハルストレム監督らしい、ええ話でした。

オマケ当然美味しそうな料理がたくさん登場するのですが、フランスでもインドでもウニって食べるんだぁとビックリしました。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿