「二つの塔」は戦いの場面が多く、ほとんどグレーな世界なので、見るほうもかなり正念場といった感じです。もともと9人で始まった旅もガンダルフとボロミアを亡くし、「フロドとサム」「メリーとピピン」「アラゴルン、レゴラス、ギムリ」という3つに別れていき、お話もこの3つのグループと敵の動きというふうにあちこち動きますので、少し見づらい印象はあるかと思います。
まずは、「フロドとサム」のチームですが、さっそくサムがガラドリエル様からもらったエルフのロープで崖を降りています。さすが、エルフの不思議なロープ。二人の体重を支えていたのに、二人が下に降りたら、スルッとほどけました。サムの自慢の結び目だったのに。このときのフロドとサムのやり取りといい、崖の下が見えなくてフロドが落ちたかと思いきやストッと下の道に着いたりするこの一連のシーンは「2」以降のフロドには珍しい笑いのシーンです。しかし、これ以降「2」ではフロドがどんどん指輪の魔力にとりつかれていき、かなり疲れた様子です。
そこへ持って来て、ビルボの前に指輪を所有していて失くして以来、ずっとしつこく指輪を取り返そうとしているゴラムアンディサーキスもこのグループに加わります。「1」では遠くからフロドたちにつきまとっていただけだったゴラムですが、フロドたちだけでは道が分からず堂々巡りしてしまうので、ここからモルドールの滅びの山への案内人として連れて行くことにするのです。サムはゴラムを連れて行くことに反対なんですけど、フロドはゴラムに案内をさせようというのもあったけど、同じ指輪所有者として、かなり同情を寄せているんですよね。それだけ、フロドも指輪の魔力の怖さを理解し始めたってことなんでしょうね。フロドはゴラムと話もしたりして、断片的にゴラムの過去も触れられます。ゴラムは一体何者なのか?スメアゴルって一体誰なのか?ここではまだはっきりとは分からないのですが、どうやらもともとこんな気持ち悪い姿ではなかったような雰囲気も。このゴラムのCGは不気味なまでにリアルで、実際にこんな生き物がいるかのよう。肌のヌルヌル感とかまで伝わってきてゴラムの体臭がこちらまで臭うかのような気さえします。
ゴラムに連れられてモルドールの黒門までやってきた彼ら。しかし、軍勢が多すぎて入ることはできません。しかも、黒門の近くにいるのが敵の軍にバレそうになって、エルフのマントで身を隠します。ここでも、「1」の伏線が映画公開版ではなかったので、こんなマントでどうやって?と思ったんですが、実は姿を隠せるエルフの不思議なマントだったんですね。納得。結局、黒門から堂々と入ることなどできるはずもなく、ゴラムは別の道を案内すると言うのですが、この辺りから、ゴラムの評価がフロドとサムの間で随分違ってきていて、仲良しの二人に不協和音が聞かれるようになってきます。フロドってば、あんなに忠実なサムの言うことよりもゴラムの言うことを聞いちゃうんだよー。ムカツク。でも、サムはそれはフロドが指輪の重荷に耐えているからってガマンしてるんだよね。いい子だなぁ、サムは。
ゴラムはどうやら二重人格のようで、一人で善と悪に別れて話し合ってるんですよね。この辺りではフロドに優しくしてもらって、善の人格が勝ちそうになってるから、優しいゴラムになってくれると思ったんですけどねぇ…
フロドとサムは途中で、ボロミアの弟ファラミアデヴィットウェンハム率いる軍につかまっちゃうんですけど、ここでは事情を知らないファラミアにスパイだと疑われたり、死んだボロミアのことで責められたりして、彼らがたどってきた過酷な道のりを考えるとファラミアには腹が立ってしまいました。会った瞬間はボロミアの弟だからすごく手厚く彼らを扱ってくれると思ったのに。彼もやっぱりゴンドールのために指輪を利用すべきと、指輪ごと彼らをゴンドールへ拉致ろうとまでしたのにはビックリでしたね。ファラミアがそんな悪キャラだったとは。でも、ナズグルに襲われかけたフロドにサムが「悪いことばかり起こった世界が元に戻るわけはない。けど、そう思えても新しい日はやってくるのです」と言うのを聞いていて、心を開いてくれたようです。ここでのファラミアの心の変化は正直ちょっとよく経緯が分からないんですが、なにはともあれ、理解してくれて良かった。ここではファラミアの回想としてボロミアが登場するのが、ワタクシとしてはすごく嬉しかったですね。彼ら兄弟は仲良かったのに、父親がボロミアばかりを贔屓してファラミアが傷ついていたことなんかがその回想で示されます。でも、ボロミアはファラミアをかばって父親に話をしたりして、またまたお兄ちゃん優しい~ファラミアの軍に捕まっている時のゴラムはまた気持ち悪いったらないですよ。池のところで魚を捕ろうとしてるとこなんて、もう吐き気がしましたね。でも、ここでファラミアの軍の扱いが悪かったためにまたゴラムの悪い人格が登場しちゃうんですよね…ファラミアに悪気があったわけではないけど、これでまたフロドとサムの前途が多難になったんだよなぁ。もおーファラミアー
「2」の後半で、サムがフロドの冒険の話を将来、ホビット庄の子供たちが話して聞かせてとせがむんだろうなぁと想像しているとき、「もう一人の話を忘れているよ、サム。子供たちは言うさ、“勇者サムワイズギャムジーの話を聞かせてよ”ってね」とフロドが言ってくれます。フロドの旅はサムなしでは考えられません。ここでも、ワタクシ絶対泣いちゃうんですよね。サムはフロドを守るためだけに危険な道のりを共にしているわけです。その大好きなフロドにそう言われて、サムがどんなにか嬉しいだろうと想像するとどうしても泣けちゃうのです。二人ともすごくキレイなフロドはブルー、サムはグリーンの瞳をしていて、その瞳がきらきらと輝きながら話してる様子がなんとも愛おしいんです。
ここではまだよく分からないんだけど、ファラミアが「あんなところへフロドたちを案内する気か!」と言ってゴラムに向かって怒っていたキリスウンゴルへフロドたち3人が向かうところで「2」は終わります。また「3」へと不吉な予感…
さて、オークにさらわれたメリーとピピンですが、あとで自分たちを探してくれるであろう仲間がいることを信じてさらわれていく道中でエルフにもらったブローチをわざと落としていくのです。これも劇場公開版で伏線の場面がカットされていて残念なシーンのひとつ。メリーとピピンはオークどもがもめてる間に命からがら逃げ出し、森に逃げ込みます。彼らが森の中で出会うのが木の髭と言われるエントジョン=リスデイヴィス(そう。ギムリと同じ俳優さんが声を担当しているのです)木の番人とでも言うんでしょうかね。しかし、なんせ寿命の長い生き物なので、話が通るのが遅い遅い。最後にはこちらの味方になってアイゼンガルドのサルマンクリストファーリーをやっつけてくれるんですけど、それもピピンの気転の利いたやり方のおかげで、それがなければ、いつまで会議を続けていたことか…なんせ、「おはよう」を言い合うだけで一日中かかってしまうんですから。ワタクシはこのエントにほとほとイライラしてたんですが、最後のあの一掃作戦を見るといつも胸がすっとするので、エントは大好きなんです。
エントの水を飲むとメリーとピピンの背が伸びるのですが、これは映画版ではカットですね。背の低いホビットがちょっとの成長を争う姿が、ほのぼのしてていいんですよね~。まぁこれは話の大筋には関係ないのでワタクシはすごく好きなシーンですが、カットされても仕方ないシーンだったかもしれませんね。
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