シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

外事警察~その男に騙されるな

2012-05-25 | シネマ か行

日本のCIAと呼ばれる警視庁公安部外事課の活躍を描いたNHKのドラマの映画版。ドラマのほうは未見ですが、ストーリーとしては独立しているようでしたので、試写会に行ってきました。一応、基本的なキャラクター設定や相関図などはサイトでチェックしてから行きました。

東日本大震災に乗じて某大学から原子力関連のデータが盗まれるという事件が起きる。同じころ、ウランが韓国に持ち込まれていた。警視庁公安部外事課の住本渡部篤郎のチームは日本でダミー会社を持ち裏で不正輸出をしているとみられる韓国人の男金正秀イムヒョンジュンの妻・奥田果織真木よう子を協力者として取り込み夫の会社を探らせる。

日本の公安部外事課っていうところが実際にこんなふうに活動しているのかどうかは分からないけど、それは別としてフィクションドラマとしては結構楽しめました。外事課の魔物という異名を持つ住本が奥田果織を意のままに動かさんとするために、彼女の経歴を徹底的に調べつくし、彼女の弱みを巧みに利用して自分たちの協力者に仕立て上げてしまうところは、人間としては最低の行為だと思うけど、物語としてはとても面白い。一見良い人そうな顔をして、丁寧な言葉で相手を追い詰めていく住本というキャラクターに魅力を感じました。渡部篤郎うまいね。

協力者を獲得するために住本班の松澤陽菜尾野真千子が任務にあたるんだけど、あんなに主任である住本に楯突くような子がチームにいて大丈夫なのかなぁ?あんなふうに協力者の前で対立しあうなんてどうもね。あれがわざとでいわゆる“グッドコップ”“バッドコップ”作戦だっていうなら分かるけど。

ドラマのほうではどうだったか分からないけれど、住本班の他の人たちの影が薄すぎてちょっと可哀想だったな。もう少しチームで活躍する筋書にしたほうがリアルだった気がする。あくまでも主役は住本であり、彼の活躍を追うことに重きが置かれているということなのかな。

それから、明らかに北朝鮮のことを話しているのに「あの国」とか「祖国」みたいな言い方しかしないのは、なんだかねーって感じだった。はっきり言えよ!ってなんかムズムズしてしまいましたよ。

住本というキャラクターは外交官・黒田とは違って、単純に実は良い人みたいなんじゃないところがいいよね。本当んとこ、どんな奴なんだかよく分かんないっていうのが。「その男に騙されるな」っていうのがサブタイトルになってるけど、ワタクシはすっかりうっかり騙されてしまいました。疑ってはいたんですけどね、やっぱり冷徹な奴だったって最後に分かるところで映画的なカタルシスを感じました。なんか「実は良い人なんだよ」なんてつまんないから。そういう意味ではちょっとネタバレ的なサブタイトルはいらないと思うんだけどね。日本映画ってなんかサブタイトルが好きだよね。なんでなんだろ?

映画の中でも言われていましたが、一般国民を騙したり利用して守りたい「国益」っていったいなんなんでしょうね?こんなこと言うと右側の人には「そんなことも分からないのか!?」って怒られそうですけど、国益を守るためなら国民の一人や二人犠牲にしても良いというのはそれ自体に大いなる矛盾をはらんでいますよね。



「映画」もいいけど「犬」も好き。という方はこちらもヨロシクです。我が家の犬日記「トラが3びき。+ぶち。」