シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ジェームズディーン物語

2006-11-29 | シネマ さ行
「DEAN/ディーン」という題名でビデオ発売されているようなのだけど、ケーブルTVでは「ジェームズディーン物語」となっていたので、こちらの題名にしておきます。

この作品はアメリカのテレビでスペシャルドラマとして放映されたもののようですね。日本人で映画を見ない人でも名前と顔はほとんどの人が分かるであろうジェームズディーンの半生を描いた作品。彼の育った家庭環境や、俳優を目指していたころ、そしてエリアカザン監督の「エデンの東」でデビューを飾ってからわずか3本の映画出演でこの世を去ってしまったディーン。ワタクシは特に彼が好きってわけじゃないけど、彼の出演作は3本とも印象に残る作品であったし、ジェームズディーンがなぜ愛されたのかというのが十二分に伝わってくるものであった。

そのディーンを演じるのが「スパイダーマン」シリーズのジェームズフランコ。スパイダーマンに出ている彼を思い出すと黒髪なこともあってかジェームズディーンとは似ても似つかない姿だと思ったのだけど、これが実際ディーンを演じているフランコはすごい。髪を金髪に染め、グラビアなどでもよく映っているあのメガネをかけ、両腕を自分の体にまわして上目使いで何かをお願いするようにこちらを見る。するとたちまちあのワタクシたちが知っているジェームズディーンがそこにいた。いや、やっぱり顔そのものは似ていないのかもしれない。それでも全体の雰囲気があの刹那に輝いたジェームズディーンに見えるから不思議。そういえば彼って「スパイダーマン」でも悲しげな瞳をしていたっけなぁ。

彼はただ父親に愛されたいだけだった。彼はただ演劇が好きで車が好きで、純粋に恋をしただけだった。彼はハリウッドのプロデューサーの思惑なんかどうでも良かった。セレブの地位などどうでも良かった。そんな彼は大人になりきれない駄々っ子のように見えるのだが、いったんシーンが始まると天才的な輝きを見せた。エリアカザンが彼を使ってベテラン俳優を挑発するシーンがあるが、それだけ彼の才能を信じていたということなんだろう。

最後のほうで彼の父親が妻が死ぬ前にジェームズが自分の子供じゃないと言われて、彼に優しくできなかったと告白して二人は和解するような感じのシーンがあるけど、でも、お父さんは妻が元気で自分の子供じゃないって知る前からずっとジェームズに冷たかったやん?って疑問が残っちゃいました。

アクターズスタジオに一緒に入る仲間でマーティンランドーが出てきていましたが、現在の彼を見ると、“あ~ジェームズディーンが生きていたらこれくらいの歳になってるんだなぁ。どんな雰囲気のおじさん(もうおじいさんと言ってもいいくらいだね)になっていたことだろう”と感慨にふけったりしてみました。