シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

花嫁の父

2006-11-20 | シネマ は行
こういうのってハートウォーミングムービーで、娘を持つ父親の気持ちってあぁ複雑だなぁ、娘を持つ俺としては分かるなぁ、俺には娘はいないけど想像はできるなぁ、娘なんか持ってたらたまんないだろうなぁとかはたまた、あぁ、お父さんの気持ちを考えると私もお嫁に行くのがツライわぁ、とかって思いながら見なくちゃいけないんだろうけど、ワタクシなんかはちょっとばかしひねくれているせいかそのどちらの気持ちにもなれなかったから、特に心温まるというような楽しみ方はできなかったけど、この父娘の結婚式騒動については結構楽しめました。

なんといっても名優スペンサートレイシーが昔の礼服を引っ張り出してきて、どうだ、まだ着れるゾと言いたいプラスもう結婚式の費用が莫大になってきてるからこれ以上自分の礼服を買うなんていう出費は抑えたいという必死な思いから、明らかに誰が見ても小さすぎる礼服に無理やり袖を通して、懸命にお腹を引っ込めて、息を止めて、ほら着れた、これで新しい礼服は買わなくていいゾ、ジャケットの前は閉まらないけど、開けておいたほうがかっこいいしサ。っていうシーンが一番傑作だ。その次に傑作なのは、これまた膨大に膨れ上がった結婚式の費用に参ってしまって娘エリザベステイラーにお前いっそのこと駆け落ちしたらどうだ?って言うシーン。それを聞いた娘はびっくり仰天、ママ、パパが駆け落ちしろなんて言うのよって告げ口しちゃうから、これまた焦って「なぁに馬鹿げたことを言っとるんだ、パパがそんなこと言うわけないだろ」なんて必死でごまかす。パパが婿さんの収入を聞きだすのに、ハッキリと聞きだせず、30分も回りくどい話をした挙句結局聞き出せなかったのに、ママと娘はすでにそんなことは知っていて二人でその話で盛り上がっていたりという場面はダメパパぶりにほのぼのってとこなんやろうけど、ワタクシは「おっさん、しっかりせぇよ」と思ってしまい、狙いとは違う意味で笑っちゃいましたが。

この映画の時代のアメリカでは結婚式の費用は新婦側が出すっていうのが、しきたりなんだろうな。別に新郎も申し訳なさそうでもないし。地味にしたいとか言っときながら、招待客は減らせないし、ブライドメイドもいっぱいがいいし、、、って見栄張っといて、前の晩に「私はもともと地味にしたかったのに」なぁんてポツリとこぼす娘。まぁ、こんなわがまま娘を育てたのは父ちゃんだから文句も娘がヒドイという気にもならないわ。と、あきれつつもスペンサートレイシーの情けない顔に同情もしたくなる。さすがの名優。こんなひねくれたワタクシにさえ同情心を湧かせるなんて。

古い映画が苦手な方は、1991年にスティーブマーチンがリメイクした「花嫁のパパ」をどうぞ。こちらはうまく現代版にアレンジされていて、ウェディングプランナーの存在も大きくなっています。エリザベステイラーは「私とパパ(スペンサートレイシー)の思い出を汚してほしくない」なんて言ってたけど、そんなに悪くないと思いますよ。