シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ワタクシと英語B面~留学編 ポーランド一人旅①

2006-04-13 | ワタクシと英語
だんだん「ワタクシと英語」というカテゴリーから離れてきたけど、ま、いっか。

トロントでの留学期間が終わり、ワタクシはルームメイトの国チェコに一緒に行ったどうせなら、この帰りにヨーローッパを少し回ってこようと考えたのだ。ワタクシにはたいして計画もなかったけど、チェコに行くのなら隣の国ポーランドに行くのもいいなぁとおぼろげに考えていた。理由はやはり映画で、ポーランド人のクシシュトフケシロフスキーという監督がワルシャワを舞台によく映画を撮っていたので、ワルシャワに行ってみたいと思った。ポーランドなら一番昔の町並みが残っているクラコフに行くのが普通らしいが、ワタクシはケシロフスキー監督のワルシャワを見たかった。

ワルシャワへはプラハからプシェロフというところで乗り換えて、電車で、ん~何時間くらいだったかなー。朝早くでて19時くらいに着いた気がする。

プシェロフまでのワタクシは非常にゴキゲンだった。なんせ6~8人用のコンパートメントに独りっきりである。ボヘミアの牧歌的な風景を眺めながら、ウォークマンから流れる曲を大声で歌っていたりしたお~、こりゃ楽チン、楽チン。とのんきに構えていた。

プシェロフでワルシャワ行きに乗り換える。その電車が来るまで1時間以上は待ったように思う。トイレがいかにも東ヨーロッパのトイレで紙代を取られてなんだか恐かった。ここのホームでたむろしている男の人たちも意味もなくこわかった

ちょっぴり心細くなりながらも、次の電車が来て乗り込んだ。今度はさっきとは違ってコンパートメントはいっぱいだった。

そこで自分の席に着くとまもなく、ワタクシの向かい側に座っていた中高年の夫婦の奥さんのほうがワタクシに向かってギャーギャーと何やら文句を言い始めた。どうやらポーランド語らしかったが、ワタクシの顔のすぐ前で人差し指を激しく振りながら明らかにワタクシに対して文句をがなりたてた。ワタクシはワケが分からず、英語で「何ですか?」とか、「ポーランド語は分かりません」とか言ったが、相手が英語が喋れないのだから何の意味もない抵抗だった。その奥さんは旦那さんにもガーガーと文句を言っていたが、その内容はワタクシに対する文句っぽかった。

そのおばさんの言うことはまーーーったく理解できなかったけど、よくよく観察しているとどうもその席にワタクシが座っていることが気に入らないらしかった。「ん?もしかして、ワタクシ間違った席に座ってる?」と思ってチケットをチェックしたが合っていた。

そこで、次におばさんががなりたててきたとき、英語で「ここはワタクシの席です。間違ってません」と言ってチケットを見せた。おばさんは「ふんっ」って感じでコンパートメントを出て行った。

なんのこっちゃー。なんでワタクシが怒られなあかんねーん。と思いながらもひっじょーに恐かったワタクシはとりあえずおばさんが出て行ったので「もう帰って来んといて」と祈っていた。

その時、隣から英語が聞こえた。「あのおばさん、酔っ払ってワケ分かんないこと言ってるのよ。ほっとき、ほっときー」と隣の若い女の子がワタクシに言った。この時の彼女が天使に見えたということは言うまでもない。

当時まだタバコを吸っていたワタクシは、少しほっとしてその子に「タバコ吸っていいかな?」と言ったら「ここ喫煙車よ」という答えが返ってきた。その当時、ヨーロッパはまだ喫煙天国であった。喫煙車に乗って「タバコ吸っていいですか?」なんてご丁寧に聞く奴はどこにもいない。当然、吸っていいに決まってるやんって感じだった。

その子に「ワルシャワまで行くの?」と聞くと、「いいえ、次で降りるわ」と、、、

えーん最後までいてよー。こわいよー。と思ったが言えるはずもなく、彼女は次の駅で「じゃあね」と爽やかに降りていった。この時の彼女の後ろ姿はいまだに覚えている。天使に見放された瞬間だった。