自分の世代では薬師丸ひろ子、渡辺典子、そして原田知世の角川三人娘がアイドルとして人気を集めていましたが、個人的には弓道部だったこともあって富田靖子を贔屓にはしていたものの、この三人の中では原田知世が一番のお気に入りでした。
ですから大泉洋の「俺の知世」が痛いほどよく分かると言いますか、まさに「俺の知世」が自分の言葉のような気にすらなってきます。
そうなれば原田知世が主演の「しあわせのパン」を見逃すわけにはいかず、日曜日のレイトショーにいそいそと足を運んできました。
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しあわせのパン |
映画としては洞爺湖の近くにある月浦でカフェを営む夫婦と、季節折々に訪れる人々が織りなす交流がオムニバス形式で描かれています。
これといった大きな事件があるわけでもなく、しかし周りに住む人々も含めた温かい気持ちが心に流れ込んでくるかのようです。
そしてどこか遠い目をしていた原田知世の演ずるりえさんと、それを見守る大泉洋の演ずる水縞くんとの心の触れ合いが大自然の中でゆったりと歩んでいくかのように熟成をされていく、そんなほんわかとした気持ちになれる作品でした。
決して面白い、といったものではありませんが、美しく年齢を重ねた原田知世と、新境地を開いたとも言える大泉洋を観るだけでも価値があるでしょう。
かなり好き嫌いが分かれるような気がしますし、自分としても原田知世でなければどう感じたかは微妙なところではあるのですが、ありそうでない、でもあって欲しいカフェ「マーニ」に訪れたくなる、そんな旅心をかき立てられたことだけは間違いありません。
冬の北海道もいいなと、北海道だから大泉洋なのか、あるいは大泉洋だから北海道なのかは分かりませんが、そういう意味では大成功な映画だったと思います。
2012年1月29日 鑑賞 ★★★☆☆(3点)