電脳筆写『 心超臨界 』

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( マハトマ・ガンジー )

平安時代には死刑がなかった――西尾幹二教授

2024-05-17 | 04-歴史・文化・社会
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刑罰には、笞、杖、徒、流、死の5つがあり、これを五刑という。死には絞と斬との別があり、いずれも京都においては東西一の広場にてこれを行い、衆目に晒したといわれる。が、石井良助『日本法制史概説』によると、七位以上の身分の者、ならびに婦人の絞刑は隠れた場所で行われた。一般に、日本では刑が軽減される傾向が生じ、嵯峨天皇の弘仁(こうにん)年間(810-823年)以来、死刑が実際上は廃止されるという出来事が起こった。


『国民の歴史 上』http://tinyurl.com/mtrmbzp
( 西尾幹二、文藝春秋 (2009/10/9)、p341 )

11 平安京の落日と中世ヨーロッパ

11-5 平安時代には死刑がなかった

本書は、教科書やその他一般史書に出てくる歴史内容はできるだけこれを省いている。律令法の主要なポイントだけざっと述べておくと、人を良民と賤民に分け、良民の中心をなす一般の人々は公民などと呼ばれた。公民は戸籍計帳に載せられ、国家から口分田(くぶんでん)の班給(はんきゅう)を受けた。またかわりに租庸調(そようちょう)などを負担したので、課役の民とも呼ばれる。賤民には5種類あり、なかには私人の所有である身分の奴隷もあり、私奴婢(しぬひ)と呼ばれ、婚姻も許されなかった。奴婢の身分は延喜(えんぎ)の時代に廃止された。

土地制度についていえば、国家は6年ごとに班田を行い、6歳以上の良民の男子に2段、女子にその3分の2などの口分田を与え、死亡すればこれを収公した。

司法制度については、中国の律におおむね従った。律令は中国では元来重点の置き方が日本とは逆で律(刑法)が重視され、日本では令(行政法その他)が重視された。中国では律のほうがより基本的な法であった。一般に日本律は刑を1、2等減じている。たとえば唐律では、皇帝の乗る船のつくり方を間違えただけで「絞」(縛り首)とされていたが、日本では「徒三年」(懲役3年)に減じている。けれども祭祀の期間中にタブーを犯した場合には、逆に唐律よりも重い刑が科されている。日本においてはいかに神事が重要視されていたかということがここからもうかがい知れる。

刑罰には、笞、杖、徒、流、死の5つがあり、これを五刑という。死には絞と斬との別があり、いずれも京都においては東西一の広場にてこれを行い、衆目に晒したといわれる。が、石井良助『日本法制史概説』によると、七位以上の身分の者、ならびに婦人の絞刑は隠れた場所で行われた。一般に、日本では刑が軽減される傾向が生じ、嵯峨天皇の弘仁(こうにん)年間(810-823年)以来、死刑が実際上は廃止されるという出来事が起こった。後白河天皇の時代の保元(ほうげん)の乱(保元元年・1156年)による源為義などに対する処刑まで、26代、346年間、実際上死刑が執行されることはなかった。このことは日本刑法史上はもとより、世界刑法史上よりみても注目に値する事実である。朝鮮においても中国においても見られなかった出来事であり、「その根底には我が温和なる国民性が存するものと云はなければならぬ」と同書はいう。ただ紀元前3世紀のインドで、非殺生の仏教思想が死刑廃止に及んだ一時代があったことと考え合わせると、わが国における仏教信仰の深化も関係があったかもしれない。
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