ドガの目と手の合奏が究極の線を生む

20年に及ぶブログ活動の集大成 → ＜a href＝https://blog.goo.ne.jp/chorinkai/e/3d8eb22fad45ce7b19d6a60e8a70b7e7" target="_blank">★仏様の指
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう！
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■緊急拡散宜しく『選択的夫婦別姓は戸籍廃止を策した反日勢力の亡国法案です』【「水間条項」国益最前線ブログ】
■超拡散記事『上限の無い特定技能外国人(移民)に認めるバス運転手・鉄道運転手に貴方の命を預けられますか!』
■国内外に拡散宜しく『安倍晋三ファン必見10連発動画』 55.1K
■安倍晋三総理 移民受入れ4連発動画 419.7K
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「眼がある線を描くごとに、それは一つの瞬間的な思い出の要素となり、その要素から、手は紙上に線を描く己が運動の法則を授かる」。そこで「眼が描く線は手が描く線に変換されることを必要とするのである」と、ここまで考えたヴァレリーは、記憶というものが素描に介在することを力説するのである。


◆ドガの目と手の合奏が究極の線を生む

「美の美――画家の言葉③」
（ 2004.01.23　日経新聞（日刊））

『ドガに就いて』（ヴァレリー著、吉田健一訳）の中の「見ることと描くこと」と題する章は、希代の描写力を持つ画家を、　間近かに見つめてきたヴァレリーの思索が、鮮やかに文章化された忘れ難い一章である。（仮名遣いを改めた）

――鉛筆を手にせずして或る物を見ることと、それを描こうとして同じ物を見ることとの間には非常な相違がある。

と書き起こされたヴァレリーの思考の筆先は、「我々はその場合二つの全く異なったものを見て居るのである」「我々がそれを描こうとすると、それは今までとは別なものとなり、我々は、その形を今まで知らないで居たのであって、それを本当に見たことはまだ一度もなかったのを感じる」と指摘する。

鉛筆を手にした途端、親しい女友達の鼻の形を、実は今まで知らないでいたことに気付く、というわけである。

だから、素描の自由を確保して、自分が意図するものを実現するためには、眼や手が勝手に動かないように統制する必要がある。「手が眼に自由に従うようにするのには、手が筋肉に自由に従うことを妨げなければならない」。手の暴走を制御し、手を殺すのだ。それには手を訓練することが必要だが、なかなかできない相談だ。

ものをできるだけ精密に描くためには、最も覚醒した状態にあることが重要だ、ともいうヴァレリーは、「眼が視野の明確さを保っていく運動が線だ」と語る。「線を見るということは線を描くことである」

「眼がある線を描くごとに、それは一つの瞬間的な思い出の要素となり、その要素から、手は紙上に線を描く己が運動の法則を授かる」。そこで「眼が描く線は手が描く線に変換されることを必要とするのである」と、ここまで考えたヴァレリーは、記憶というものが素描に介在することを力説するのである。

ドガは、「ことアングル氏に関する限り、いかなる批判も許さなかった」とヴァレリーは書く。「線を引く勉強をしなさい」と教えた師への崇敬の思いは終生変わらなかった。再びアングルに会いに出かけたドガは、自分の作品を見てもらった。

「悪くはありません。それで言いますが、実物を模写することはお止めなさい。そして記憶に頼って、あるいは名匠の版画を手本にして勉強するようにしなさい」と言った。ドガの描写力の非凡なことを見て取ったアングルが、記憶によって描く訓練をするようすすめたのだ。