電脳筆写『 心超臨界 』

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J・ラスキン

不都合な真実 《 「採択の特例」は絵に描いた餅――藤岡信勝 》

2024-10-01 | 05-真相・背景・経緯
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一般に採択替えは4年ごとに行われる。一度採択替えで選ばれた教科書は、4年間同じものを採択し続けることが法令で義務づけられている。この縛りを一時的に解いて「採択の特例」とした。その際、自由社のみならず他社も改めて検討の対象となる。つまり、新制度では採択替えが全国一斉に行われると解釈するのが普通の人間の感覚である。自由社も1年遅れで検討対象の資格を与えられると期待する。ところがその期待は見事に裏切られる。


◆「採択の特例」は絵に描いた餅――藤岡信勝・教育研究者
(「正論」産経新聞 R03(2021).04.26 )

  「過激な不利益」を回避

平成28年度から導入された、教科書検定における「一発不合格」制度は、一切の交渉の余地なく、年度内に合格する道が絶たれる過酷な制度である。翌年度の採択レースに参入できなければ、自動的に採択数はゼロとなる。教科書会社にとっては死活問題である。

文部科学省もその過酷さをよく心得ており、制度導入を検討した教科書検定審議会の前年7月23日の「報告」には、「教科書発行者の過度な不利益を回避するため」として、「翌年度に再申請を行い合格した図書については、都道府県教育委員会等が必要に応じて採択替えを行うことができるようにすることが適当である」と書かれていた。

令和元年度検定で「一発不合格」を食らった自由社の中学校歴史教科書は、「翌年度に再申請を行い合格した図書」に該当する。上の引用文にある「採択替え」とは、誤解されやすいが、実際にA社をB社に「替える」ことではなく、仕切り直して検討するという意味である。その結果、引き続きA社を選んでも何ら問題はない。各種団体の「役員改選」と語感は似ている。役員が全員再任されても「改選」と言う。

一般に採択替えは4年ごとに行われる。一度採択替えで選ばれた教科書は、4年間同じものを採択し続けることが法令で義務づけられている。この縛りを一時的に解いて「採択の特例」とした。その際、自由社のみならず他社も改めて検討の対象となる。つまり、新制度では採択替えが全国一斉に行われると解釈するのが普通の人間の感覚である。自由社も1年遅れで検討対象の資格を与えられると期待する。ところがその期待は見事に裏切られる。

  調査すらしなくてもいい

新制度では、都道府県教委が1年遅れで合格した教科書を調査し、調査表をつくり、採択区の教育委員会に送る。ここまでは疑問の余地がなく、何の問題もない。

調査表を受け取った採択区の教育委員会はどうするか。「採択替えを行うことができる」と書かれている。「できる」規程だから、「行ってもいいが、行なわなくてもいい」という意味になる。いい加減(かげん)な話だ。採択区の教育委員会の側から見ると、文科省の決めた新制度のもとで、次の3つの選択肢があることになる。

①採択替えの事務自体をしない。

②採択替えの事務はするが、1年前に選んだ教科書を引き続き採択する。

③採択替えの事務をし、結果として自由社(あるいは第三の教科書)を採択する。

ここでの問題は①が許されていることである。その結果、無数の不都合が起こる。

第1に、採択替えの事務自体をしなくていいのなら、好き好んで資金と労力を費やし採択替えの事務をする教育委員会が果たしてどうのくらいあるだろうか。甚だ疑問である。

第2に、この制度のもとでは、他社の教科書は全て1度は調査の対象となって調査表がつくられるのに比し、自由社は調査すらしなくてもよいことになる。これは甚だしい不公平である。

第3に、教科書の調査もせずに、教育委員会はどうして採択替えの事務をするかどうかを決めることができるのか。どんな判断をするにせよ、調査しなければ判断の根拠がないではないか。行政の恣意(しい)か、それとも世間の風評を根拠にするのだろうか。

  今こそ公平な行政を

第4に、都道府県教育委の資料を基にすれば判断できると文科省は言うかもしれない。だが、その論理でいけば、県下の全採択区が同一の行動になるはずだが、そんなことは考えられない。県教委の調査表は指導・助言・援助にとどまり、採択区の教育委員会は自立して決定する機能を有する。

第5に、自由社の立場からみると、見本本を送っても調査さえされない可能性が高いなら、何のために無駄な資金を投じ、面倒な作業をするのかということになる。かといって、見本本を送らなければ、調査しない口実にされる。ダブルバインド状態だ。これでは、「過度な不利益」の回避どころか、さらに不利益を増大させる懲罰的であるとさえ言わねばならない。いずれにせよ「採択の特例」は絵に描いた餅にすぎない。

文科省は検定期間中の情報漏洩(ろうえい)があれば合格を取り消す旨の懲罰規定を急いでつくり、2月15日に前倒しして発効させ、その上で2月17日に自由社に合格の内示を出した。こうして3月末まで公表できないよう口を封じ、搬送業者と相談することさえ禁止したので、自由社は多大な困難を経験した。

とはいえ、各地の教育委員会が採択替えの事務をすることを妨げられてはいない。全国の教育委員会に訴えたい。行政の公平性の観点から、自由社の歴史教科書を調査していただきたい。正義を貫く教育委員会が一つでも多く出現することを期待する。
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