電脳筆写『 心超臨界 』

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( アナトール・フランセ )

不都合な真実 《 亡国のエネルギー基本計画――杉山大志 》

2024-06-30 | 05-真相・背景・経緯
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これまでの太陽光発電の実績は、どうかといえば、日本のCO2を2.5%削減するために毎年2.5兆円の賦課金を国民が電気代への上乗せとして負担している。つまりこのベースであれば、20ポイントの深掘りには毎年20兆円が追加で掛かる。20兆円といえば、今の消費税の総額に等しい。ということは、46%の目標達成のための追加の国民負担は、30年までに消費税率を20%に上げるのと同程度になる。深刻な経済負担だ。


◆亡国のエネルギー基本計画見直せ――杉山大志・キャノングローバル戦略研究所主幹
(「正論」産経新聞 R03(2021).08.20 )

菅義偉政権の下で温暖化対策の暴走が止まらない。日本のエネルギー政策の根幹を定めるはずのエネルギー基本計画の案にまで無謀なCO2削減目標が書き込まれた。日本の経済および安全保障に重大な悪影響が生じかねない。

〈 数字合わせに終始した 〉

昨年秋の「2050年CO2ゼロ」宣言に続き、今年4月には30年度のCO2削減目標を、13年度比で従前の26%から46%にまで一気に20ポイントも深堀りした。いずれも官邸主導である。よく言えば高い目標を掲げたトップダウンだが、悪く言えば経済や安全保障という重要な国益を無視した暴走だ。

日本はエネルギー政策の方向性を定めるために定期的に基本計画を策定してきた。今般の改訂では、CO2目標の深堀りが反映されることになった。

環境省の地球温暖化対策計画案では、どの部門でも大幅なCO2の削減が見込まれている。30年度の排出削減は、13年度比で、家庭部門で66%、業務部門で50%、産業部門で38%となっている。

また発電部門では、エネルギー基本計画案で30年度の電源構成として太陽光発電等の再生可能エネルギーの割合を「36~38%」とし、3年前に策定された第5次計画の「22~24%」から大幅に引き上げた。ただし、これまでと異なり、業種や取り組みごとの詳細な削減目安は示されず対策が列挙されるに留まった。経済負担も示されていない。つまりは46%という削減目標を具体策の裏付けなく振り分けただけで、数字の辻褄(つじつま)合わせに終始した。実現可能性については、異論が続出している。

〈 経済負担と中国依存 〉

いまのCO2削減幅は13年度比で13%で、僅か9年で46%にする。13年といえば原子力発電が全て止まっていた年である。全て再稼働させても26%までの削減がやっとであると見られていたところ大変な目標の深掘りとなった。

計画案で達成手段として挙げられているのは、太陽光発電などの再生可能エネルギーの大量導入と大幅な省エネである。

案の検討中には、太陽光発電はいまや原子力発電よりも安くなったという試算も報じられたが、太陽が照っていないときのバックアップのための火力発電のコストなどが入っていないという、極めてミスリーディングなものだった。

これまでの太陽光発電の実績は、どうかといえば、日本のCO2を2.5%削減するために毎年2.5兆円の賦課金を国民が電気代への上乗せとして負担している。

つまりこのベースであれば、20ポイントの深掘りには毎年20兆円が追加で掛かる。20兆円といえば、今の消費税の総額に等しい。ということは、46%の目標達成のための追加の国民負担は、30年までに消費税率を20%に上げるのと同程度になる。深刻な経済負担だ。

太陽光発電は今後安くなるという主張は多く聞かれる。だが景観や土砂災害等の問題が顕在化し、コスト増加の原因になる。

のみならず、太陽光発電パネルの世界市場の8割を占める中国製品は、ウイグルの強制労働との関係の疑いが濃厚であり、米国は6月に中国製太陽光パネルの輸入を禁止した。日本も同様な措置をとるべきだが、計画案ではこの重大な問題を無視し、逆に太陽光発電の大量導入を図るとしている。

また省エネについても、過大な目標設定の下で経済負担が膨らむことが懸念される。省エネは経済的にメリットがある場合もある。だが何十年経(た)っても投資資金を光熱費の節約で回収できない筋の悪い省エネ投資も存在する。

〈 国を誤らせるな 〉

海外では経済負担が明確になるにつれ国民の反乱がはじまった。

スイスでは、2030年までにCO2を半減するという「CO2法改正案」が検討された。だがガソリン代の上昇などが明らかになると、反対運動が起き、国民投票で同案は否決された。

英国政府は、家庭の暖房でガスを禁止して電気式のみにする、といった施策を検討した。だがその費用が世帯当たりで数百万円に上るという試算が明るみに出ると、ジョンソン政権の保守党議員らのグループが反旗を翻し、再検討を余儀なくされた。

日本のエネルギー基本計画案にも経済負担が明らかになるにつれ多くの異論が出てくるだろう。

同案では、数値は「様々な課題の克服を野心的に想定した場合に、どのような見通しとなるかを示すもの」とされている。どうやって可能かはともかく、実施にあたっては経済負担を抑制し安定供給を確保する、と書いてある。

同案はパブコメを経て閣議決定される段取りになっている。それが画餅であり日本の指針にならず、むしろ経済負担と中国依存で国を誤らせるものである以上、閣議決定は見送るのがベストである。だがもしも閣議決定するならば、数値は強行されるべきではないこと、実施にあたっては経済負担などの負の側面について逐一検討し、必要に応じて柔軟に計画を見直すよう、今一度その性格付けをはっきりさせておくべきだ。
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