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電脳筆写『 心超臨界 』

強みは物理的な能力がもたらすものではない
それは不屈の信念がもたらすものである
( マハトマ・ガンディー )

不都合な真実 歴史編 《 歴史再検討を迫るヴェノナ文書――福井義高 》

2025-01-30 | 04-歴史・文化・社会
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ヴェノナ研究の金字塔であるクレアとヘインズの『ヴェノナ』の邦訳が、我が国インテリジェンス研究の第一人者、中西輝政京大名誉教授の監訳で、2010年に出版され、ソ連の諜報活動を無視あるいは極端に軽視してきた日本の歴史学界といえども、ヴェノナ文書を無視して現代史を語ることは、学問的良心があるのであれば、許されない状況となってきている。ヴェノナ文書は、米国だけでなく、日本の歴史再検討にも欠かせない資料である。


◆歴史再検討を迫るヴェノナ文書――福井義高

『日本人が知らない最先端の「世界史」』
( 福井義高、祥伝社 (2016/6/30)、p161 )
第7章 ヴェノナの衝撃

私たちが無実であり、良心に恥じる行ないを
していないことを忘れないでほしい
 ジュリアス・ローゼンバーグ
   エセル・ローゼンバーグ

7-5 歴史再検討を迫るヴェノナ文書

ソ連スパイ網の米国への大がかりな浸透を示すヴェノナ文書の内容は、文字どおり衝撃的である。公開当初は、その信憑性に疑問を呈する声もあったけれども、旧ソ連で発見された文書など、全く別のところから出てきた資料との整合性も高く、20世紀の歴史を検討するうえで欠かすことのできない、第一級の資料であるという評価が確立している。

ただし、ヴェノナによって初めて、ソ連によるスパイ活動の存在が明らかになったわけではない。たとえば、ヴェノナ文書公開のはるか以前から、ローゼンバーグ夫妻がソ連のエージェントであったことは明白に示されていた(ロナルド・ラドッシュ他『ローゼンバーグ・ファイル』)。

ところが、ベトナム戦争以降、学界を含む知識人の世界では、ソ連の大規模な米国内でのスパイ活動否定論が通説となり、しばしば、極右反動によるでっち上げとまで言われていた。金正日(キムジョンイル)が2002年9月の日朝首脳会談で自白するまで、日本で拉致被害が拉致疑惑と呼ばれ、多くのリベラルと称する政治家や知識人が、右翼のでっち上げと主張していたことに似ている。

いまだ北朝鮮を擁護する日本人がいるように、米国にも、ヴェノナによってソ連エージェントであることが決定的に示された米国人がスパイではないと強弁する学者や知識人が少なくないことは、次章で詳述する。

クレアらが指摘するように、ヴェノナが疑問の余地なく明らかにしたのは、対独戦をともに戦っていたときから、ソ連は米国を友好国ではなく、一時的に協力しているだけの敵国として扱っていたということである。冷戦は、米国の戦後反共政策がもたらしたものではなく、スターリンによってはるか以前から開始されていたのである。

第5章で述べたとおり、フルシチョフが作り上げた、レーニンから逸脱した暴君というイメージとは異なり、スターリンはレーニンの忠実な後継者であったことを考えれば、共産主義研究の泰斗(たいと)リチャード・パイプスが指摘しているように、冷戦は1917年のソ連建国とともに始まっていたというべきかもしれない(『コメンタリー』2006年2月号)。

ソ連秘密文書が明らかにしたレーニンの実像は、極めて残忍冷酷であり、他国(ドイツ)政府から資金援助を受けることに躊躇しなかったレーニンは、他国へのスパイ活動に関しても金に糸目をつけなかった(パイプス『知られざるレーニン』)。極右の妄想とされてきた「モスクワ・ゴールド」、すなわちソ連による米国共産党への資金援助は、1988年まで続いていたことが明らかになっている。

冷戦が第二次大戦から始まっていたのは、米ソ間だけではない。坂本多加雄(さかもとたかお)学習院大元教授が指摘しているように、「そもそも共産主義勢力との『冷戦』を早い時期から開始していたのは、他ならぬ日本であった。それが開始されたのは、1925年、日本がソ連との国交樹立に伴い、治安維持法を制定してからである。モスクワのコミンテルンの指導に忠実に従った勢力によってなされる反体制運動に対しては、もはや従来の治安法規では対処できないと考えられたのである」(『求められる国家』)。

伊藤隆(いとうたかし)東大名誉教授が提唱しているように、ソ連崩壊で、今まで知り得なかった多くの事実が明らかになった21世紀の今こそ、日本人には、共産主義とその鬼子であるナチズムに翻弄された20世紀の日本の歩みを、もう一度見つめなおすことが求められている(『日本の内と外』)。

ヴェノナ研究の金字塔であるクレアとヘインズの『ヴェノナ』の邦訳が、我が国インテリジェンス研究の第一人者、中西輝政京大名誉教授の監訳で、2010年に出版され、ソ連の諜報活動を無視あるいは極端に軽視してきた日本の歴史学界といえども、ヴェノナ文書を無視して現代史を語ることは、学問的良心があるのであれば、許されない状況となってきている。

ヴェノナ文書は、米国だけでなく、日本の歴史再検討にも欠かせない資料である。
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