電脳筆写『 心超臨界 』

何もかもが逆境に思えるとき思い出すがいい
飛行機は順風ではなく逆風に向かって離陸することを
ヘンリー・フォード

フックド・ラグという名前をお聞きになったことがありますか――山根基世さん

2009-01-17 | 04-歴史・文化・社会
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フックド・ラグ――アナウンサー・山根基世
【「あすへの話題」09.01.13日経新聞(夕刊)】

フックド・ラグという名前をお聞きになったことがありますか。キルトと並ぶアメリカの代表的な手芸。開拓時代の物のない頃、南京袋をベースに、古着を細く切って紐(ひも)状にして、南京袋の織り目の下からかぎ針で引き上げていくという、刺繍(ししゅう)に似た作業を重ねて、玄関マットなどにしたという。今、東京・銀座のミキモトで「日米フックド・ラグ展」が開かれている。企画したのは私の古い友人、小林恵さん。日米文化比較を専門に研究・活動している人だ。彼女は、アメリカン・フックド・ラグの最も重要な意味を、「初めての人も、男性も女性も、子供も」作り、手で物を創(つく)り出すことの喜びを味わったことだと考えている。19世紀のその精神を、現代の人々に伝えたい、そんな思いが込められた展覧会だ。

日米55人の展示作品の中にたった1人、男性の作者がいた。元三菱重工業・特別顧問の有吉煕(ひろし)さんだ。80才・結婚50周年を記念して作られたという作品は赤・青・白の細いストライプで綴(つづ)られたまことに美しい作品だ。「最初は、手芸なんて女の人がやるものだと思っていましたが、作ってみると、その達成感がたまらないんです」とおっしゃる。実は、私も恵さんに勧められて作ったのだが、あまりに下手なので選外になってしまった。一応展示してはあるが、有吉さんの作品に比べれば一目瞭然(りょうぜん)、荒さが目立つ。それでも作る楽しさは十分味わったが。

閉会式で有吉さんが挨拶(あいさつ)なさった。各方面に配慮された行き届いた挨拶に、長いサラリーマン生活の中で涵養(かんよう)された人間の大きさが窺(うかが)えた。定年退職後の男性の皆様、あなたも如何(いかが)ですか?

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