電脳筆写『 心超臨界 』

人の長所はその人の特別な功績ではなく
日頃の習慣によって評価されなければならない
( パスカル )

不都合な真実 《 返答に窮し「社是」という若宮氏——衛藤晟一 》

2024-10-03 | 04-歴史・文化・社会
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「従軍慰安婦」は存在するという立場で若宮さんは説明するのですが、徐々に説明に窮していきました。それで私が「事実が違うじゃないですか。どうしてこういう報道を続けられるんですか?」と聞いたさい、若宮氏は「社の方針です。いわば社是のようなものです」と疑問を打ちきるように言ったのです。二の句が継げないほどに驚きました。


◆返答に窮し「社是」という若宮氏

朝日に社是はない?――衛藤晟一・首相補佐官
別冊正論35『堕ちたメディア』
( 日本工業新聞社 (2019/9/17)、p67 )

議員連盟(*)では教科書記述のおかしなところだけでなく、歴史教育がいかにあるべきかもテーマとなりました。教科書検定や採択、さらには日韓関係や戦後処理などのあり方にも視野を広げ、掘り下げて勉強する会合で、のべ30回近く開かれました。そうした活動は「歴史教科書への疑問」(展転社)にまとめ、出版いたしました。

  注(*):「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」
      (平成9年(1997)設立)

「従軍慰安婦」問題についても勉強を重ねました。「従軍慰安婦は存在する」という立場に立つ中央大学の吉見義明教授も招き、ご講演いただきましたし、藤岡信勝拓殖大学客員教授からもお話をうかがいました。

そして私たちは(1)「従軍慰安婦」とはごく最近できた言葉で、当時は存在しなかった(2)慰安婦や慰安所は存在したが、彼女たちを日本軍が強制連行したという事実はなかった―という結論を出しました。

そして教科書会社の方々や日本の名だたる新聞社の論説委員や編集長、編集委員の方々を招いて私たちの結論について見解や所見をいただこうとなりました。

ところが新聞社に案内状を送って呼びかけたのですが、朝日新聞からは誰も出てくれませんでした。

そこで、私達は朝日新聞のある築地に直接出向いて意見をうかがうことにしました。日程が決まった当日になって中川(昭一)さんが急用で行けなくなったため、私と安倍(晋三)さんの二人になりましたが、朝日新聞で対応してくださったのは、後に論説主幹、主筆を務めた若宮啓文氏(故人)でした。

当時、私たちは若手議員でしたから、多くの取材経験があって政治家とのつながりをたくさんもっていらっしゃる若宮さんを「雲の上の存在」だと感じながら臨みました。朝日の報道―特に吉田清治氏に関する記事や「挺身隊」と「慰安婦」を混同した報道など―については当時においてもすでに「事実に反する」という疑問がたくさん出されていました。「従軍慰安婦」という言葉も最近出来たもので、誤解を与える恐れがある言葉だと考えていたので、是非ともこれに対する朝日の見解、考え方を聞きたかったのです。

教えを請う感じで始まった会談でしたが、われわれが調べた内容と朝日とではかなりの隔たりがあることが否めませんでした。やりとりを重ねるうちに「ここがおかしいのではないですか」「ここはどう考えているのでしょう?」となっていきます。「従軍慰安婦」は存在するという立場で若宮さんは説明するのですが、徐々に説明に窮していきました。

それで私が「事実が違うじゃないですか。どうしてこういう報道を続けられるんですか?」と聞いたさい、若宮氏は「社の方針です。いわば社是のようなものです」と疑問を打ちきるように言ったのです。

二の句が継げないほどに驚きました。何しろ、20年近く前の話です。細かな点で記憶が曖昧なところはあります。ですが、「社是」という言葉がその場で出たことは、明確に覚えています。社の方針として「従軍慰安婦」という言葉を使って、社を挙げてこの問題を追及していくという意味でしょう。若宮氏にしても「従軍慰安婦を追求せよ」などと明文化された「社是」があって、社内のどこかに掲げられている、という意味で「社是」という言葉を使ったわけではなかったでしょうし、私たちもそう認識しました。

しかし、若宮氏の話に「従軍慰安婦が社是? そりゃないだろう」と私は思いました。その旨も伝えました。ですが結局は平行線のまま、30分くらいで面会は終わってしまいました。
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