電脳筆写『 心超臨界 』

一般に信じられていることと全く逆のことに
真実があることがしばしばある
( ブリュイエール )

易がシンクロニシティを演出する――河合隼雄

2024-09-16 | 07-宇宙・遺伝子・潜在意識
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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私は一人残った患者さんに対して、自分は未熟だからもう一度やり直したい。そのために2カ月の休暇を欲しい、自分自身の分析に集中し、その結果もし出来そうに思ったら再開したいと頼み、了承して貰った。私はまったく初心にかえり、自分自身の分析に集中した。この2カ月間の体験は、非常に大きい成果をもたらし、私はもう一度、統制分析に挑戦することにした。待っていてくれた一人の患者さんが来てくれたのみならす、驚くべきことに、やめたと言っていた二人の人も帰ってきたのである。そして、この現象も考えてみると、「地雷復」のイメージにぴったりのことであった。


◆易がシンクロニシティを演出する

『宗教と科学の接点』
( 河合隼雄、岩波書店、p45 )

筆者が昭和39年にアメリカに留学し、ユング派の分析をうけていたとき、ある意思決定をする上で非常に迷うことがあった。すると、分析家が「Iching」を試みるかと言う。はじめは何のことか解らなかったが、それが易であると知り驚いてしまった。当時の筆者としては、易=迷信であり、合理的思考こそ最上のものであったからである。ともかく合理的に考え抜くことによって問題を解決したいから、易は断るというと、分析家もそれを尊重してくれ、その時は易をたてることはなかった。続いて、スイスのユング研究所に留学し、分析体験を重ねているうちに、易に対する理解も深くなるし、それほど抵抗を感じることもなくなった。

研究所で1年半以上の分析経験の後に、8科目にわたる予備試験に合格すると、実際に患者をとって分析を行い、指導をうけるようになる。これを統制分析というが、資格をとるためには250時間以上の経験を積まねばならない。当時、私としてはこれが最大の難関であった。そもそも東洋人に分析を受けてみようなどと思う人があるだろうか。その上、私の語学力は極めて貧困である。ところが、まったく思いがけず5人の患者が次々と見つかったのである。これは他の西洋の研究生と比較しても珍しいことである。喜んで分析を始めたが、思いがけない条件が重なって4人の人が次々とやめていった。私はこれでは資格が取れぬかもと思い、すっかり沈んだ気持ちになった。まったくどうしていいか解らない。そのときに、何か手がかりを得てみようと思い易をたててみた。といっても、私は正式のたて方を知らぬので、ヴィルヘルムが示唆している6枚のコインを投げる方法に従ってみた。得た卦は地雷復であった。これは一番下に陽、後はすべて陰という卦であり、『易経』を読むよりも先に、私の心を打ったのは、陽(男性性)の欠如というイメージであり、そのことは当時の私の内的な欠陥をずばりと言い当てていた。日本人は西洋人と比較するとき、あまりにも男性性が弱すぎるのである。

易の結果を見て、ますます悲観して私は分析家のところにいった。女性の分析家フレイ博士は、私があまりにもがっくりしているのを見て、この場で易を再度たてようと言った。「易は二度たてるべきでない」ことを私は強く主張したが、フレイ博士は自分が関与することによって、新しい状況がつくられたのだから、その新しい状況において彼女が易をたてることはいいと主張した。大分議論したが、最後は彼女の熱意にほだされて私は同意した。その結果、彼女がコインをなげて得た結果は、地雷復、まったく同じ卦であった。フレイ博士は、「この現実(リアリティ)を尊重しましょう」と短くいった。

「復」はすべてをもとに返すことをも意味している。私は一人残った患者さんに対して、自分は未熟だからもう一度やり直したい。そのために2カ月の休暇を欲しい、自分自身の分析に集中し、その結果もし出来そうに思ったら再開したいと頼み、了承して貰った。私はまったく初心にかえり、自分自身の分析に集中した。この2カ月間の体験は、非常に大きい成果をもたらし、私はもう一度、統制分析に挑戦することにした。待っていてくれた一人の患者さんが来てくれたのみならす、驚くべきことに、やめたと言っていた二人の人も帰ってきたのである。そして、この現象も考えてみると、「地雷復」のイメージにぴったりのことであった。

これによって、筆者が患者さんのために易をたてたとか、未来の予想をするために易をたてたなどと誤解されないようにお願いしたい。易の提示するイメージを私は自分の状況を把握する上で、意味あるものとして受けとめてみたのである。
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