§4 東京裁判――日本に犯罪国家の烙印を押すために演じられた政治ショー
◆なぜ、東京裁判が私刑(リンチ)なのか
つまり、ある犯罪が行なわれたとします。ところがその犯罪を裁くための法律がない。そこであわてて新しく法律を作って、それをすでに行なわれた犯罪に当てはめて処罰するということをしてはならない、という動かすべからざる鉄則です。だから準拠となるべき法律がないような新しい犯罪をおかした犯人は、法律のうえでは無罪となります。この世界的に確実に認められている原則を踏みにじって行なわれようとしているのが東京裁判でした。法律がないのに、あとから理屈をつけて、死刑という極刑を含む裁きを行なう。これはもはや裁判ではありません。西部劇に出てくる私刑(リンチ)というものです。
◇なぜ、東京裁判が私刑(リンチ)なのか
『悪魔の思想』 「進歩的文化人」という名の国賊12人
( 谷沢永一、クレスト社 (1996/02)、p112 )
わが国が受諾したポツダム宣言の第十条には、「戦争犯罪人」という今まで使われなかった新しい言葉が初めて用いられております。
吾等(われら)ハ(中略)吾等ノ俘虜(ふりょ)ヲ虐待セル者ヲ含ム一
切ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰ヲ加ヘラレルベシ。(後略)
ここでは、「処罰ヲ加ヘ」る主体を「吾等」と記しておりますから、宣言に署名した諸国が寄ってたかって「処罰ヲ加ヘ」るのであるぞ、という意味になります。
続いて昭和20年9月6日にアメリカが発した「初期の降伏政策に関する声明」の中で、戦争犯罪人の裁判と処罰が指示されます。すなわち、東京裁判の準備はアメリカを中心として進められる運びとなりました。
そして昭和21年1月10日、連合国最高司令部(最高司令官=D・マッカーサー)は、極東国際軍事裁判所設置の特別宣言を行ない。同時に、極東国際軍事裁判所条例を発しました。
こうして一見、着々と準備がすすめられたかのように見えますが、この極東国際軍事裁判所には決定的な弱味がありました。裁判の準拠すべき法律があらかじめ定められていない、という“弁慶の泣きどころ”のように難儀な問題です。
世に泥縄、という嘲(あざけ)り言葉があります。泥棒を捕まえてから、それから泥棒を縛るための縄を綯(な)う、という滑稽な不用意を形容した喩(たと)え話です。東京裁判は泥縄でした。戦争犯罪人なるものを裁くべき法律が世界中どこにもないのです。これでは裁判は成立しません。
法の精神の根本には、事後立法は無効であるという牢固(ろうこ)とした概念が据えられています。これは常識の中の常識です。
つまり、ある犯罪が行なわれたとします。ところがその犯罪を裁くための法律がない。そこであわてて新しく法律を作って、それをすでに行なわれた犯罪に当てはめて処罰するということをしてはならない、という動かすべからざる鉄則です。だから準拠となるべき法律がないような新しい犯罪をおかした犯人は、法律のうえでは無罪となります。
この世界的に確実に認められている原則を踏みにじって行なわれようとしているのが東京裁判でした。法律がないのに、あとから理屈をつけて、死刑という極刑を含む裁きを行なう。これはもはや裁判ではありません。西部劇に出てくる私刑(リンチ)というものです。
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