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電脳筆写『 心超臨界 』

強みは物理的な能力がもたらすものではない
それは不屈の信念がもたらすものである
( マハトマ・ガンディー )

用意ができたとき師が現われる 《 ブリキの映写機——大林宣彦 》

2025-06-23 | 03-自己・信念・努力
20年に及ぶブログ活動の集大成 → <a href=https://blog.goo.ne.jp/chorinkai/e/3d8eb22fad45ce7b19d6a60e8a70b7e7" target="_blank">★仏様の指
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禅の中に、「用意ができたときに師は現われる」という教えがあります。自分に準備がなければ、すべては無意味な存在でしかないということです。意志が生まれたとき、手をさしのべる師は現われる。師はいたる所にいる。ふと目にした新聞の記事や子供の質問に答えた自分の言葉であることもある。「師はどのように現われるのか?」との質問への答えは、「これがそうだ」という以外にない。たとえば死にかけた虫を見て、自分の中に同情心がかき立てられた瞬間に、師が出現したことになるのである。


幼い僕にとって、蔵は心躍る遊び場だった。もの問いたげな表情のガイコツ、くるくる回る地球儀。いい匂(にお)いのする革張りの本をそっと開くと、横文字の海に浮かぶ美しい色刷りの絵が、この世のものとは思えない幻想的な風景を見せてくれた。その宝の山から見つけだしたとびきりの宝物が、ブリキでできた玩具の映写機だった。現物はもう無くなって、これは後に友人からもらった同型機。当時家庭向けに、漫画などの短いフィルムと一緒に売られていたものだ。


◆ブリキの映写機

「こころの玉手箱」――映画作家・大林宣彦
( 09.11.02日経新聞(夕刊))

[1] ブリキの映写機の玩具――映画の編集、言葉より先に学ぶ

僕の家は代々医者だった。昔、医家というのは地方でまっ先に新しい文化を取り入れた場所で、尾道の港に船が着くたび、父のもとに新しい、珍しい品々が運び込まれた。

それらの行く先は蔵である。幼い僕にとって、蔵は心躍る遊び場だった。もの問いたげな表情のガイコツ、くるくる回る地球儀。いい匂(にお)いのする革張りの本をそっと開くと、横文字の海に浮かぶ美しい色刷りの絵が、この世のものとは思えない幻想的な風景を見せてくれた。

その宝の山から見つけだしたとびきりの宝物が、ブリキでできた玩具の映写機だった。現物はもう無くなって、これは後に友人からもらった同型機。当時家庭向けに、漫画などの短いフィルムと一緒に売られていたものだ。

ところが3歳の僕はこれを、いつも家のそばを走っていく、大好きな蒸気機関車のおもちゃだと思いこんだ。横に倒して突き出たレンズが煙突、フィルム送りのハンドルが車輪、電球を収める部分が石炭釜と、うまい具合にあてはまる。「石炭」はフィルムだ。

実際に1コマずつ切って「釜」に入れ「煙突」を上にすると、レンズから入る太陽光でセルロイドのフィルムはよく燃えた。白い煙りを上げるのを見て、僕はシュシュポポ……と喜んで遊んだ。

だがそのうち、どうも違うぞと気づく。説明書きをよく読むと「くわつどうだいしやしんき」とある。試しに「釜」に電球を入れ、レールに「石炭」を通すと「煙突」から絵が出てきた。「車輪」を回すとその絵が動く。

僕は母親のところへ飛んでいき、バラバラに切ったフィルムを糸でかがってもらった。けれどもめったやたらにつないだものだから、へんてこなドラマが出来上がった。のらくろが手を出すとポパイがひっくり返る。僕は映画の編集という技を、言葉より先に覚えたのだった。

小さな映写機から現れては消えていく四角い光の映像は、汽車の窓から眺める風景に似て、ああ、これは汽車と同じように旅を楽しむものなんだ、と小さな僕は思った。映画とは旅のようなものだ、とそれからもずっと、僕は「映画の旅」の人生を送らしてもらっている。

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大林宣彦(おおばやし・のぶひこ)
1938年広島県尾道市生まれ。大学時代から自主映画を製作、
CMを経て77年「HOUSE/ハウス」で商業映画に進出。他
に「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」「あした」「
その日のまえに」など。
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