電脳筆写『 心超臨界 』

苦労に対する最大の報酬は
その引き換えに手に入れるものではない
苦労したことで形成される人物である
J・ラスキン

世界は一つの巨大なプログラムに還元される――坂村健

2024-09-25 | 04-歴史・文化・社会
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■緊急拡散宜しく『日本を崩壊へ導く「選択制夫婦別姓」問題』
《自民党議員/党員必見!》『自民党総裁選候補者の人物評を西川京子前九州国際大学学長・元文科副大臣に訊く;水間政憲』
■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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[やさしい経済学―21世紀と文明]
「デジタル文明の行方」東京大学教授・坂村健
  [1] 漂流し始めた社会
  [2] 物理的枠組み
  [3] 規格世界の流動化
  [4] 第三の変化
  [5] 人間の関与
  [6] 情報的価値とは
  [7] 広がる国内格差
  [8] デジタル化の未来


脳インターフェースと仮想空間技術は人間にとっての物質世界の価値を大きく減らすだろう。人工知能ができれば文明の運命を機械にまかせ人間の関与は欲求を出すだけまでに縮小できる。そして精神のダウンロードにより、その欲求を出す主体自体が、完全情報化するに違いない。資源や場所の縛りがなく、すべての欲求が満たされる世界――。その時、世界は一つの巨大なプログラムに還元される。停止条件もなく入出力もないこの閉じたプログラムが文明の最終形態だとしたら我々はどこへ行くのだろう。


◆世界は一つの巨大なプログラムに還元される――坂村健

「デジタル文明の行方」[8] デジタル化の未来
(「やさしい経済学―21世紀と文明」08.02.05日経新聞(朝刊))

前回までの話は今起こっていることを情報科学的視点で説明しただけなので、最終回は夢の話――デジタル化の次の変化を考えてみよう。良い夢か悪い夢かわからないが、科学技術がいつかそこに手をかけるはずの未来だ。

人間は物質要素と情報要素に分離できないがゆえに特殊だ。肉体が人格の形成に大きな部分を占めているし、データとプログラムの分離もできない。記憶というデータが経験のネットワークを作り、それがプログラム的に働いているのが人間だからだ。そのためか、人間の維持には食事という物質的供給だけでなく、娯楽や会話など精神的供給も必要となる。

前回述べた国外への流動性で言うと、世界でもまれなほど日本からの移民は少ない。これも物質的より情報的バリアによる。だからこそ、インターネット経由で日本のテレビが見られ、P2Pで国際テレビ電話が無料で使い放題になれば、海外移住してもいいという人も出てこよう。

コンピューターがディスプレーとキーボードなどの入出力機器を持つのも、人間側の入出力機器――目や指に合わせるため。モバイル機器というのも、煎(せん)じ詰めれば人間の肉体の制限から生まれる需要だ。

しかし、将来技術として「脳インターフェース」「人口知能」、さらには人格をデジタル化し、コンピューターの中の仮想空間で永遠に生きられる「精神のダウンロード」もいつかは可能になる。

そのとき、価値とそれを処理する機構という文明の仕組みのさらに上位へ、すなわち、その機構を生み、運用する知能、その知能を動かす欲求へと、デジタル化の駒を進めることが可能になる。

脳インターフェースと仮想空間技術は人間にとっての物質世界の価値を大きく減らすだろう。人工知能ができれば文明の運命を機械にまかせ人間の関与は欲求を出すだけまでに縮小できる。そして精神のダウンロードにより、その欲求を出す主体自体が、完全情報化するに違いない。

資源や場所の縛りがなく、すべての欲求が満たされる世界――。その時、世界は一つの巨大なプログラムに還元される。停止条件もなく入出力もないこの閉じたプログラムが文明の最終形態だとしたら我々はどこへ行くのだろう。

=おわり
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