巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

ちくわぶ命!

2004-10-01 05:00:00 | 
東京生まれ東京育ちとしては、おでんにちくわぶ(竹輪麩)は欠かせない。卵は例外としても、「おでん種になくてはならないのは、まず第一にちくわぶである」と固く信じている。あの、おでんの汁がたっぷりしみこんだ味と、グルテンのモチモチ感が何ともいえない。

好みのおでん種をそれぞれ買ってきて(ついでに自家製のつみれでも作って)おでんをつくるときは、必ず最初にちくわぶを買う。レトルトのおでんを食べることもあるが、レトルトのおでんにはちくわぶは入っていないことが多い。こんなときはパックのおでん汁のみを鍋にあけて、この汁で別に買ったちくわぶを最初に煮る。

ちくわぶは、いまではスーパーの売り場で、真空パック状態で売られているが、かつてはこんにゃくやしらたきなどとともに、水の中でボワッと白い肌をさらしていたものだ。が、ちくわぶ自体については、「ちくわぶ倶楽部」というステキなサイトがあるので、そちらを読んでいただくことにして、ここでは多くを語るまい。

しかしこのちくわぶは、きわめてローカルな食べ物だ。そのため、ちくわぶが好きであることが、人物評価にマイナスの影響を与えることもある。以下は、かなり昔、仕事の打ち上げのあと、素敵な男性と、おでん屋で2人だけで飲んだときのできごとである。(以下のおでん種に不明のものがあれば、紀文の「おでんだね辞典」を参照のこと。)

男性「ふくしまさんは、何がいいかな?」
わたし「ええっと。卵と、それとちくわぶを2つお願いします。」
男性「(信じられないといった表情で)ちくわぶを…2つ?」
 (食べ終わる)
男性「えっと、次はなんにしようか。牛スジとかどう?」
わたし「じゃあ牛スジ…と、それからちくわぶで。」
男性「……(無言)」
 (食べ終わる)
男性「そうだ、ここはコロなんかもあるよ。タコもおいしいよね。」
わたし「うーん。じゃあ、コロとちくわぶ。」
男性「……(絶句)」

この男性はちくわぶ文化圏(おでん種の地域分布については紀文の「おでんマップ」を参照)の出身ではなかった。さらには、おでんのなかの存在意義のみならず、この世におけるちくわぶの存在意義にすら、疑問を抱いていた。(いっておくけれど、薄い輪切りにして、ひじきや油揚げや人参と一緒に甘辛く煮てもおいしいんだからね。)

かくして、わたしは得体のしれない食べ物を嬉嬉として食べるゲテモノ食いの女として、この男性からの評価を落としてしまい、その後2度とお呼びがかかることはなかった。何でも周囲に「ちくわぶばかり食べている変な女」と、わたしのことを言ったとか。ふーんだ。別にいいんだけれどね。

ちなみに、おでんの芋はジャガイモも良いけれど、サトイモもね。

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