巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

二足歩行ロボット

2006-01-28 22:06:21 | 日記・エッセイ・コラム
Asimoわたしが子供のころ、子供同士の遊びでロボットの動作をまねるときのお約束といえば、「からだの関節を極力曲げない」ことだった。

たとえば立ち姿は全身を突っ張らせて硬直し、歩く動作はその硬直姿勢のまま、かかとの角度を「気をつけ」と同じ角度に固定しつつ、膝の関節を曲げずに不器用に足を前に出すもの決まっていた。おそらく金属の連想から「硬さ」イメージしていたのだろう。膝や肘の関節の動きをまったくなくすことが、ロボットらしい動作をするコツだと考えられていた。

現在、ホンダのASIMOやソニーのQRIOは、金属でありながら、わたしたちがかつてまねたロボットの立ち居振る舞いとは、まったく違った姿で立ち、歩き、走る。「彼ら」には膝や肘の関節があり、その立ち居振る舞いは人間のそれを模している。

しかしその動きは、人間とまったく同じというわけではない。


たとえば、これらのロボットたちの胴体部分は、現状では曲げることができないため、どのような姿勢でも常にまっすぐだ。一方、彼らは直立した姿勢でも、膝の部分は常に曲がっている。腰から下が「サルとの共通の祖先からホモサピエンスへと進化の途中」という風情である。これはロボットだから許される姿勢で、もしわれわれヒトがそんな姿で人前に立とうものなら、

「こらぁ。なに脱力しているんだ。びしっとしろ、びしっと!」

と起こられるのが関の山であろう。あの歩き方だって、

「なんだ、その原人のような歩き方は。膝が曲がっているぞ」

だ。

Qrio最近わけあって人前でロボットのまねをしたときは、背中をまっすぐにのばし、膝と肘をちょっと曲げ、ASIMOのように手を軽く握って立ち、膝を必要以上に曲げて歩いたり、QRIOように走ってみたりしたのであった。(開発者の方々には誠に申し訳ないのだが、あのQRIOの走り方は、「走る」というよりは、トイレの順番を待ちきれずドアの回りをうろうろと足踏みをしているような感じに思われる。)かつてのロボットのイメージの真似をしたって、子どもたちがそれを「ロボット」と認識してくれるかわからなかったからだ。

こうしてみると、やはり二足歩行を含む人間の動きそのものが、いかにすごいことかわかる。しかし、二本足で歩くおかげで人類は宿命的に腰痛持ちになってしまったのだが。

ロボットたちは、どんな動きをしても腰痛にはならない気がするが、本当はどうなんだろう。もっと彼らが進化したら、本「人」に直接聞いてみたいものだ。しかしASIMOに腰痛について質問する機会はあるかもしれないが、QRIOに聞いてみるチャンスは永遠になくなってしまうらしい。AIBOオーナーの1人としては非常に残念なことだ。


ライブドアのニュースに、リクルート事件を思い出す

2006-01-23 22:59:58 | ニュース
ライブドアの一連のニュースをみていて、いまや懐かしきリクルート事件(1988~1989年)を思い出してしまった。こんなふうにリクルート事件を思い出すのは、わたしのほかにも結構いるのではないかと思う。


当時リクルート(以下、「リ社」)は、子会社のリクルートコスモス(以下、「コ社」)の株を店頭公開する予定だった。当時のコ社は、マンションのデベロッパーとしては大京に継ぐ業界2位であり、この会社の株が店頭公開されれば、高い値をつけることが多いに期待されていた。

コ社は無事株式を店頭公開し、高い値をつけた。

時期を同じくして、リ社の会長である江副氏の政・財・官界への働きかけが、目につくようになった。リ社は経団連等の経営者団体に入り、江副氏は文部省の教育課程審議委員などに選ばれるようになり、与党の政治家とのパイプもできたらしかった。特に、当時の中曽根政権とはなんらかのコネをつけたという噂だった。リ社本体も、急激に成長した情報産業として、注目を集めていた。

そこに、リクルート事件が起こった。正確には「明るみに出た」というべきだろう。店頭公開後値上がりが確実だったコ社の未公開株を、リ社が政治家や官僚に良い条件(融資付)で売るという実質的な利益供与をやっていたことが、判明したのだ。

この事件の概要が白日の下にさらされるやいなや、マスコミは手のひらを返したように、一時は時代の寵児としてもてはやした江副氏を、そしてリクルートという企業そのものを批判し始めた。

東証は「リクルートの店頭公開株の廃止もありうる」と発言した。当時の中曽根首相は、スキャンダルとの関連を否定するために、江副氏をわざわざ「江副某(なにがし)」なんて呼んでみたが、かえって失笑を買った。リクルート・グループ内の企業は、「経験のない若い者がのさばっている企業」(金曜日の銀座で、深夜タクシーをバンバン使いまくり!)で、その社風は「宗教がかっている」とたたかれた。

リクルート事件で世の中が大騒ぎをしているさなか、コ社の社員が社内イベントでおおはしゃぎしている記事が、写真週刊誌に掲載された。実はこの記事と添付の写真には裏があった。わたしが聞いた話では、本当に掲載予定だった写真は、まさに乱痴気騒ぎの様子だったらしい。が、お金を払って、直前におとなしい写真に差し替えてもらったそうだ。そのため写真に添えられた扇情的な解説(「こんな時期に、コ社の社員は反省せずに、大ハシャギしている」といった内容だった)にもかかわらず、写真のほうは「社員たちが体育座りして、ミーティングしている」といった風情の写真になった。

いま、堀江貴文氏が逮捕された。ライブドア自体も批判されている。

前回の選挙で堀江氏をあれほど持ち上げていた自民党は、いまや「ライブドアとは関係ない」との弁明に躍起だ。東証は「ライブドア(東証マザーズ上場)の上場廃止を検討している」としている。ライブドア自体も「虚業」として批判されるとともに、「ライブドアは新興宗教だ」と言う人さえいる。

ちなみに、わたしはリクルート事件の直前まで、リクルートコスモスで働いていた。「リクルートの常識は世間の非常識」と社員たちが自ら誇るその社風には、最後までなじめなかった部分があった。だが、わたしが基本的に若い世代の、とくに20代の人間の能力を信じているのは、この時代の経験が元になっている。

その後いくつか会社を変わったが、どの会社もその会社独自の社風があり、リクルート系の企業の社風だけが、突出して変だということではないことがわかった。しかし、大卒採用が基本なのに、従業員の平均年齢が25歳に満たない企業(当時)が、マンションをつくって売っているなどというのは、やっぱり世間からみればそれだけで変だったろう。


「堀江は…」:ビジネスにおける身内の呼び方ルール

2006-01-22 00:23:16 | 日記・エッセイ・コラム
某巨大掲示板を久しぶりにのぞいたところ、ライブドアの広報担当者のことば使いに対し、「社長を呼び捨てにするのはおかしい」と書き込んでいる人が、思いのほか多くてびっくりした。この広報担当が、ライブドアの証券取引法違反について社外向けのインタビューに答えたさいに、自社の社長を「堀江は…」「堀江が…」と呼んでいることを批判しているのだが、この広報担当者の自社の社長の呼び方は、わたしの感覚では正しいと感じるからだ。

そこでとりあえず、わたしがこれまで社会人として学んできた「呼び方」ルールを、この記事でまとめてみよう。他の方々がならったことと、異なる点もあるかもしれない。


自社内で上司と話していて、相手をなんと呼ぶだろうか。

社内の人間を役職で呼ばず「さん」付けで呼ぶ企業は例外として、普通は「社長」とか「部長」のように、相手を役職で呼ぶだろう。「山田部長」などと役職の前に苗字を入れることもあるかもしれない。なぜ役職で呼ぶかというと、相手を役職で呼ぶこと自体が、敬語表現とみなされるからだ。

敬語表現であるから、第三者にむかって自分の会社の社長や部長について語るときに、「社長は…」「部長は…」と言ってはいけないとされている。相手に向かって身内の人間に敬語を使ってしまうことになるからだ。日本語の表現においては、相手をたてるために自分と自分の身内を下げて言わなければないし、元来、そのための表現も豊富だ。(「愚妻」「愚息」「豚児」「豚女」等等。)ゆえに自分の会社の鈴木社長のことを社外に向かって話すときは、身内である社長を下げて、「鈴木は…」と呼び捨てで呼ぶことになる。

「鈴木社長」「山田部長」のように、自社内の人間の苗字に役職をつけるのも敬語表現なので、第三者に自社の上司の名前と役職の両方を伝えなければならないときには、「社長の鈴木は…」「部長の山田が…」のように伝えることになる。というわけで、他社から送られてきた手紙や企業のウェブサイトなどに、「問合せ先:山田次郎部長」などと書いてあるのをみると、わたしとしては「おいおい、大丈夫ですか」という気分になるのである。

一方で、日本語は二重敬語を嫌う。だから相手の会社の社長に対して、「社長様」「鈴木課長様」のように呼ぶことは、日本語の使用法として良くないとされている。が、実際には使っている人も多いようである。

二重敬語が出てきたついでに説明すると、手紙の宛名の場合、たとえば取り引き先の企業の藤原正夫という営業部長宛に手紙を出すとすると、宛名は「営業部長 藤原正夫様」と書いて、「部長」と「様」がぶつかるという二重敬語を避ける。役職宛に手紙を出さなければならないとき(相手の名前がまったくわからなかったり、あるいは相手の名前が苗字しかわからない場合)は、「営業部長殿」「藤原部長殿」のように、役職の後には「殿」をつける。その根拠のひとつには、「様」より「殿」のほうが敬意が軽いからだと、聞いたことがある。

では、会話内における、自社と取り引き先の会社の呼び方については、どうだろうか。

毎年新卒の採用の季節になると、面接で「御社」という言葉が飛び交う。しかし会話内での「御社」「貴社」などの表現を、「書きことばであり、話しことばではない」といって、嫌う人もいる。この場合、相手の企業に対しては「○○会社(会社名)様」「お宅様」と呼ぶものとされている。「お宅様」なんて、少なくともわたしのまわりでは、あまり使っている人はいないような気がするが。

同じように会話内で、本来は書きことばである「当社」「弊社」という表現を使うのも、好ましいものではないと考える人もいる。こういう場合の自社の呼び方は、「わたくしども」「手前ども」とされている。業種と当事者の年代によっては「『手前ども』なんて表現、かえって変だよ」と感じる人もいるだろう。

ところで、「愚妻」「愚息」「豚児」「豚女」等の表現は、最近ではあまり使われない。身内といえ、あまりにも貶めているとして、そう呼ばれた当人が知ったらあまり良い気分にはならないからだろう。もしわたしが仮に身内に外で「愚妻」「豚女」なんて呼ばれてたら、やはりあまり気分がしないだろう。そして釣り合いをとるために、こちらも「愚夫」「愚父」とぐふぐふ言ってしまいそうだ。

そういえば、「愚夫」や「愚父」なんて表現は、日本語に正式に存在するのかどうかは知らないが、少なくともほとんど使われていない。女性が使う男性の身内を指す謙譲表現は、あまり豊富ではないようだ。おそらく、女性の身分が男性よりも低いことが前提になっていたからであろう。で、ライブドアの広報担当が「社長を呼び捨てにして…」と批判されたのには、この広報担当が女性であるという要因が、多少なりとも影響しているのかもしれない。


このTVの電波がどこから来ているのか、わからないんです(泣)

2006-01-20 00:46:51 | 日記・エッセイ・コラム
TVの電波の供給元を調べるのが、こんなに厄介だなんて思わなかった。

東京の23区内となれば、あちらこちらにテレビの電波の受信障害がある。わが板橋区も例外ではない。近くにマンションが建ったために地上派の受信が困難になり、役所が共同アンテナを建てるように指導する場合もあるし、電波障害の原因がもっと遠くの都心の大きなビルのせいである場合もある。

わが家の場合は、かつて後者の理由による受信障害があった。

10年以上前のある日、「広域電波障害に対応するために、無料でテレビの電波をケーブル化する」というお知らせが、受信障害が見られる地域の地図とともに回覧板でまわってきた。

たしかにそれまで、わが家もチャンネルによっては映りが悪くイライラしていたものだったが、回覧板を読んで、いまさらケーブル化するということに驚いたものだった。というのは、その回覧板に乗っていた電波障害の源が、もうとうの昔に建った新宿の高層ビルだか池袋のサンシャインだかだったからだ。しかも、板橋区のかなり広い地域が、飛び石的にケーブル化の対象になっていた。

そのうちに回覧板の説明どおりに、どこかの業者が来て、この辺一帯の各世帯にTVのケーブルを敷いていった。以来、普通の地上波のチャネルに加えて、放送大学と東京MXテレビが見られるようになった。

ところが古い話ゆえに、いったいどこの業者がこの工事をしていったのか、このケーブルの管理元がどこであるのかがわからない。家の建て替えのためにハウスメーカーから「TVの電波はどこから来ているんですか?」と聞かれたので、「調べておきます」と答えて以来ずっと調べてはいるのだが。

まずは、母が近所の数人に聞いた。古いことなので誰も詳細を覚えていないし、すでに板橋区をカバーするCATVであるJ:COM板橋に加入している家も多く、母は何を間違ったのか、J:COMへの加入の方法を聞いて帰ってきた。

「すべて業者がやってくれるって」

違うんだってば、母よ。J:COMは有料なのだよ。NHKの受信料に加えて、J:COMにもお金を支払わなければならなくなるのだよ。わが家はそんなに、TVは見ないでしょ。(それにJ:COMでは、わたしの好きなBBCはみられないじゃないの。)

そこで今度はわたしが、板橋区役所に電話をかけた。区役所の該当部署では、区が指導したもの以外は把握しておらず、この地域に関してはなんの記録もないと言ったあとで、「J:COM板橋の地域ですが」と丁寧に教えてくれた。またJ:COMか。

わたしが「J:COMに加入する気はない」と答えると、担当者はこういった。

「地上波デジタルにすれば、地上波の電波障害が少しはマシになるかもしれません」

いきなり地上波デジタルのススメか。

そこで一縷の望みを託して、J:COMのカスタマーセンターにも問い合わせてみた。本日メールで返答が来た。

弊社での電波供給かをご確認いただくには、2chにて弊社のコミュニティ
チャンネルがご視聴いただけるかどうかになります。
コミュニティチャンネルがご視聴いただける場合は、弊社の電波供給と
なります。


嗚呼、わが家では、2chは映りませんわ。

さて、次にどうやって調べようか。とりあえずNHKに電話だろうか。これまでずっと受信料払い続けてきたのだから、調べてくれてもいいよなぁ。

でも、もしNHKでも調べがつかなかったら、どうしよう…