巣窟日誌

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『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート』

2016-07-18 23:23:21 | 映画・小説etc.


2016年7月18日 東急シアターオーブにて

“Joseph and Amazing Technicolor Dreamcoat” という作品があるということを知ったのは、1978年か1979年のことだったと思う。当時、『ジーザス・クライスト=スーパースター』と『エビータ』という2つのミュージカル(いや、「ロックオペラ」というべきか)を成功させたイギリスの若き天才作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーと同じく若き作詞家ティム・ライスが、『ジーザス』よりも前に作ったもので、イギリスでは学芸会などで演じられている作品ということだった。

私は、池袋西武の輸入レコードのコーナーに足しげく通って、1980年代の中ごろまでに3種類のジョセフのLPレコードを手に入れた。一番短いものは20分位満たない、オリジナルの学校用の「カンタータ」に近いものだったと記憶している。3枚のレコードとも、「ナレーター」の役は男性だった。

その後の『キャッツ』や『チェス』や『オペラ座の怪人』の話題に隠れてしまい、日本で『ヨセフ』の話をほとんど聞くことはなかったが、1991年にロンドンでジェイソン・ドノヴァンがヨセフを演じた時は、日本のメディアもこれを取り上げ、「ぴあ」にもそのニュースが載った。観たかったなぁ、いかにもアイドルなジェイソン・ドノヴァンのヨセフ。

私たち日本人が日本にいながら見ることができる『ヨセフ』DVDが、20世紀の終わりごろに発売された。ヨセフは、私たちの世代には懐かしいあのオズモンズのダニー・オズモンド。これはこれで楽しいミュージカルだったし、私はこのときはじめて、このミュージカルの全容を見たのだった。

「『頑張れば夢はかなう』っていうのが、テーマかな。いかにもアメリカ的だな。」と、私の斜め後ろに座っていた年配のカップルが言っていたが、ストーリーは旧約聖書の中に書かれている話をベースにしている。もととなる話は創世記の37章から46章にある。

この作品は、現代に住む私たちと旧約聖書の世界をつなぐ媒体としての「ナレーター」が物語を進行させるのだが、ナレーターの出し方が結構難しいような気がする。私がこれまでDVDでみたり、CDやLPで聴いてきたバージョンでは、ナレーターがほぼ全シーンにかかわってきた。女性がナレーターである場合、甲高い声が作品全体を支配してしまう危険性もある。今回のバージョンでは、これまで聞いたバージョンでナレーターが歌っていたり、歌っていなくても登場していた場面の一部を、他のキャストに歌わせたり、ナレーターが登場しない場面にしてあった。

作品はもちろん面白い。ロイド=ウェバーは、ロックンロール、シャンソン、アルゼンチンタンゴ、カリプソ、カントリー&ウェスタン等、様々な音楽を駆使して、旧約聖書の話を進めていく。この中のメロディーの一部には、次の作品となった『ジーザス』でも使用されているものがあることに、気がついた人もいるだろう。

それにしても、出演者は皆、体格が良い。とくにヨセフ役の俳優は、「いいからだしてるね」と声をかけたいほど。ヨセフは上半身裸で演じるシーンが多いので、あの体で正解です!