巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

スリミング化粧品でサイズに動きあり ただし体重は不動

2009-05-30 20:02:00 | 美容と健康
[注:この記事を読んだ後に製品購入に走られても、効果のほどは保証できませんのであしからず。]

最近、1~2か月に1回の割合で定期的に会う人たちから、別の場所で相次いで「やせましたか?」といわれた。しかもやせたと判断された根拠が、すべて肩から腕にかけてのラインがほっそりしたからだというものだ。

最初にそう言われたときは、帰宅するなりヘルスメーターにホップ!(注:体重計には静かに乗りましょう) 案の定、体重は以前とまったく変わらない。

2度目にそう言われたときは、帰宅するなり今度はソロリソロリとヘルスメーターに乗ってみた。やはり、体重は以前とまったく変わらない。

3度目にそう言われたときは、もはやヘルスメーターに乗るのもやめた。体重が変わっていないことはわかりきっているからである。

この肩から二の腕については、わたしも見た目が細くなったかな…と感じてはいた。

細くなった理由で考えられるのは一つだけだ。ドラッグストアで買ったニベア マイシルエット ボディジェルなるものを使い始めてほぼ1か月半。これが原因で間違いはあるまい。
二の腕の周囲とウエストから太ももにかけて、毎晩風呂上がりの後にこの黄緑色のジェルを適当に塗っていたところ、即効性はなかったが3週間ぐらいたって気がつけばヒップが明らかにサイズダウン。そしてウエストと太ももも多少サイズダウン。二の腕回りは、もともとの太さを測っていなかったために確実なことは言えないが、上記のとおり他人から指摘されるぐらいにダウン。

ところで、こういうスリミング専用の製品は、効く人には効く一方、効かない人には効かない。そして、効く人にも、すべての製品が効くわけではない。

以前にこのブログに書いたことがあるが、わたしには「効かなかった」「金返せ」と今も思い出話で憤慨するひとが多い、あのディオールのスヴェルトの最初に発売されたバージョンがものすごく効いた。

しかし(たしか)8000円という値段が負担となり、スヴェルトの継続使用は断念。その後使った同様の効果をうたった(おフランス製の)エランシルとか(塗った後のジンジンする感触が期待感を盛り上げた)イニシオとか、はたまた金欠ゆえに手を出したシェイパップシリーズとかには、全く効果を感じられなかった。

で、今回のマイシルエットにもまったく期待はしていなかったのだけれど、いつも購入するニベアの別の製品のすぐ近くにあったため目について、値段も1,380円だったものだから、つい手にとってしまったわけ。スリミング系の多くは、サイズダウンには効かなくても肌がつるつるになるものが多いしね。

で、この結果。おまけに塗ったところは無駄にツルツルだ。

でも重ねがさね言っておくが、こういうものは、効く人には効くし、効かない人には効かない。そしてどうやら効かない人のほうが多数派らしい。

実はスヴェルトを初めて使用した時に、あまりの効果に小躍りし、喜び勇んで当時通っていた某通訳学校の同じクラス人たちにその効果のほどを熱く語った。同じクラスの中にちょうど香港出張直前の人がいて、彼女がクラス中の注文を取りまとめて、スヴェルトを香港で大量買いしてきた。香港で買ったほうが安く買えるうえ、当時日本国内ではスヴェルトが品薄で、なかなか手に入らなかったからである。しかしわたしの体験談を聞いてスヴェルトを手に入れた彼女たちには、全く効かなかったらしい。

なので、購入するつもり人は「効いたらラッキー」ぐらいの心構えでいたほうが良い。ちなみに、同じニベアで同じような効果をうたったニベアボディ リフト&ラインエフェクトボディジェルのほうは、わたしにはさっぱり効かなかった。

それから好みが分かれそうな香りがするので店頭でご確認を。わたしは耐えられるがあまり好きではないにおい。メーカーは「シトラスフローラル」と言っているけど、このシトラス系の香りせいか、昔のおじさんの整髪料に近いにおい(ん?柳屋?)に感じられることがあってね。

<iframe src="http://www.kao.com/jp/nivea/nva_mysilhouette_bodygel_00-M.html" width="350" height="450" frameborder="0"></iframe>

扇風機の購入の決め手は…

2009-05-24 22:44:09 | ガジェット/モノ
扇風機を買った。サーキュレーターという選択肢も含めて、例によって数日かけて機能と価格とデザインをいろいろ調べたあげく、一年中出しっぱなしにすることを考えて、デザインで選択することを決意。

床の色がダークなので、間違っても、扇風機にありがちな「白い本体に青(または緑)の羽根」のような選択だけは避けたいと思い、プラスマイナスゼロのファン(XQS-S010) の黒と、アピックスのAFL-210RIの二択に絞る。XQS-S010の「背が低くてインテリアを壊さない」に惹かれるも、最後の最後は値段で勝負。だって、プラスマイナスゼロは一律15,750円、アピックスは近所のコジマで6,580円。5,000円台で買えるところもあるらしい。ははは…

Electric_fan

羽根が色違いで2種類(写真のブラウンとパープル)ついてくるところが面白い。アロマフレグランサーというのはアロマを染み込ませる素焼きのキューブのようなものが付いていて、それにアロマオイル―フレグランスでもよいのだが―を1~2滴たらしてセットすると、風と共に芳香が漂うというしくみ。ためしに無印良品のブレンドエッセンシャルオイル リラックスをたらしてみたが…うん、風の正面にいるとそこはかとなく漂う。こういうものはガンガン匂ってきては困るので、これでよしとする。

使用しての感想。特に不満はないけれどリズム風(弱)でも、風が一瞬かなり強くなる。それもグワッと来る。

買ったのはこれ↓(ただし、コジマで購入)
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yumifukushsde-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B000PT4DGS&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>


でも、これもほしかった。横からの姿もいいよね↓
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yumifukushsde-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B0018CN7NQ&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>




スカートを1枚も売っていなかったスーパーの婦人衣料品売り場

2009-05-17 00:14:01 | 日記・エッセイ・コラム
東京は板橋区の東武東上線の某駅の近くにある、流通2強のうちの1つのスーパーでの、本日(日付がかわってしまったため、正確には「昨日」だが)の話である。

この店舗は郊外型大型店舗から比べると小さな店舗ということになるが、それでも地上4階建である。婦人衣料は紳士衣料や服飾小物と主に2階のフロアに入っているが、その中でも売り場の面積の大半を占めている。ちなみに紳士物・婦人物とも肌着は別の階にある。

夕刻、帰り道に、何気なくこのスーパーに入った。目的はレインコートだが、ついでにスカートも見ておこうと思った。わたしは20年かけて1サイズ増えたスカートのサイズが、ここ1年半で2サイズほどダウンしてしまったために、ワードローブの中には履けるスカートが少ないのである。

しかし、「わたしの目が節穴で見つけられないのかしら」と思いながら、20分ほどぐるぐるとフロアを隅から隅までくまなく数回まわったのち、わたしはついに下記の結論に達した。

このスーパーは、現在スカートを1枚も売っていない。(ただしテナントを除く)
「わたしの年代層向けのスカートが1枚も売っていない」なんて話ではない。いかなる世代向けのどのようなサイズのスカートも1枚も見当たらなかったのである。もちろんフォーマルウェアのテナントのコーナーにはスーパーブラック(喪服などにふさわしい濃い黒色の生地)のスカートがあるだろうし、同じフロアに入っている婦人服のテナントの売り場には多少はあったのかもしれない。だが、少なくとも、このスーパーが販売を直接担当する範囲では、スカートは1枚もなかった。

この店舗の婦人衣料がボトムスに力をいれていないわけではない。「レギパン」だの「女神のきらめきパンツ」だの―これで、どこのスーパーのことを買いているのかわかる人は多いと思うが―をはじめとして、大量のパンツ、スラックス、ジーンズ類が置いてあり、これらの大量のボトムスの一部は赤字覚悟の大安売り状態にある。

そういえば、2月にこの売り場でシャツを買った時も、スカートは極端に少なく、わずか2種類のデザインの色違いとサイズ違いの展開しかなかった。そのときは、「やっぱり冬だし寒いから、スカートは売れないんだろうな」と考えていた。しかしこの季節になってもまだスカートがないのは妙だ。

そこで、3,990円也のレインコートをレジに持って行った時に、思い切って店員さんに尋ねてみた。

「ここにくるお客さんは、スカートを穿かない人が多いんですか?」

なんでこういう変な質問になってしまったのかというと、実はわたしの母は、このスーパーのこの店舗の、まさにこの売り場で、かつて長い間パートタイマーとして婦人服を担当していたためである。このスーパーは昔からパートに「責任をもった仕事をさせている」ので有名で、店舗に並べる商品を選んで発注するのも、母の仕事の一部だった。「これこれこういう理由であれを置いてみたところ、売れた/売れなかった」などという話を、昔は結構聞きいたものだ。そのため、スカートが売り場にないのであれば、この店舗を利用するお客様が「スカートを穿かない」という傾向を示す何らかの根拠があると、まずは考えたのだ。

で、答えはこうだった。

「いえ、仕入れていないんです」

その後2~3のやり取りをしたが、少なくともわたしに答えてくれた店員さんは、スカートを仕入れたほうがよいと感じているようだった。が、仕入れの責任者は、スカートを仕入れる必要性はないと考えているらしい。

たしかにごく最近まで、スカートはパンツに比べて、全般的に売れていなかったような気がする。たとえばユニクロにしても、ごく最近でこそスカートが何種類か出てきたけれど、一時はスカートはほとんどなかった。

それに、ひょっとしたらスカートはパンツ以上に、デザインよりターゲットが細分化されてしまって、そのために売るのが難しいのかもしれない。たとえばわたしは仕事においては、膝頭が隠れるぐらいのタイトなシルエットのスカートが好きだが、20代の女性はたぶんこういうスカートはあまり穿かないだろう。わたしがスカート丈40cm~45cmぐらいのものを履いたとしら、もちろんレギンスといっしょに穿いたとしても、非難轟々だろう。

さて、スカートが「あまり売れない商品」である場合、もしかすると、このスーパーお得意の「単品管理で売れ筋のみを大量仕入れて、死に筋(売れない商品)を徹底的に排除」モードへのスイッチが、取り消し不能で入ってしまったのかもしれない。

母がかつてここで婦人服を担当していた時も、このスイッチが入った。ある日、本社の単品管理の研修を受けてきたマネジャーが、その内容に感銘を受け、「売れ筋の1位から3位で売り上げのほとんどを占めているんだから、それだけを並べておけばいいんだよ」と、ひとつの商品カテゴリー(ブラウスならブラウス、スカートならスカート)の売れ筋の上位3種類の色違いとサイズ違いだけを取り扱う方向に持っていこうとしたらしい。また、高額商品はあまり売れないため、安い商品のみを扱う売り場構成にしようとしたらしい。

これに対しては母は猛烈に抗議した。「婦人服売り場には夢が必要だ。たとえそれほど売れなかったとしても、ある程度の種類は置いておくべきだ。そうすればお客様は『ここへくればこんなにいろんな種類のものがあるんだ』と思って、足を運んでくれる。そして1点でもいいから良いものを置いておけば、実際には買わなかったとしても、お客様は『このお店は良いものも扱っているんだ、と認識してくれる。この認識がお客様の足をこの店に向けさせて、結果的には選んだものが安いものであろうと、少なくとも何かを買って行ってくれる可能性が高くなる。ひょっとすると、高いものも買っていってくれることもあるかもしれない。」

本社の当時の新たなカリスマ社長対1パートの持論では勝ち目はなかったらしいが、母の言ったことには一理あるだろう。あれだけの売り場面積を持ちながら、スカートを1枚も置いていないような店舗には、わたしは足を運ぶ気にはならない。

そこで、イトーヨーカドーには「お客様の声ボックス」があったはずなので、そこに「スカートを置いてほしい」との意見を投函しようと思い店内をウロウロしたが、このボックスの場所が分からない。たしか以前はかなり目につく場所にあったのだが… 店員ををつかまえてお客様ボックスの場所を聞こうかとも思ったが、「クレームをつけたがっている」と思われるかもしれない。それも嫌なので、いろいろ考えた末に結果的には何もせずそのまま帰ってきた。

ちなみにダイエーでは、結構な量と種類のスカートが販売されているのだが、これはダイエーが頑張って努力をしているためなのか。それとも単に管理が甘いのか。


====
追記:2009.05.18

なんだかものすごく、タイミングが良い新聞記事かも…

サマースカート販売目標、9倍増を計画 ユニクロ


ユニクロは18日、発売中の女性用「サマースカート」の販売目標を、昨年の9倍に増やす計画を打ち出した。女性向けの衣料販売を強化する取り組みの一環という。

2009/05/18 asahi.com



資生堂はフレグランスにもっと力をいれてほしい

2009-05-09 20:00:00 | 日記・エッセイ・コラム
便宜上、資生堂の名前をタイトルに出してしまったけれど、要は国産の制度化粧品メーカーには、もっとフレグランスの開発販売に力をいれてほしい。

でも現状はさびしいもんだよね。富士経済の2009年4月20日のプレスリリース「スキンケア9品目、フレグランス7品目の国内市場を調査」によると国内のフレグランス市場は

正規流通ルートの市場は、並行輸入品に需要を奪われ縮小が続いている。国内の制度品メーカー各社が主力のスキンケアやメイクアップに注力し、フレグランスアイテムを削減していることも、市場低迷の一因となっている。(アンダーラインをつけたのはわたしです)
だそうだ。
昔と違って、フレグランスを使用する人は増えたよね。わたしが10代のころは、10代や年配者で、フレグランスを使う人はほとんどいなかったし、妙齢の女性でもつけている人は多くなかったけれど、今では老いも若きもつける人は結構つけている。女性だけではなく男性もね。

で、いま、日本人がつけているフレグランスのメーカーをみると、ブルガリとかシャネルとか、エルメスとか、ランバンとか、ディオールとか、エスティ・ローダーとか、エリザベス・アーデンとか、ランコムとか…まだまだ出てくるけれど、ほとんど外資系のものなんだよね。そしてその多くが、上記の富士経済のリリースにあるように並行輸入品らしい。まぁ、それはそれでいいんだけれどね。

でも、個体差と個人の食生活の影響はあるけれど、やはり体臭には人種による一般的傾向がある気がする。それから、香水のメッカであるヨーロッパとは違って、日本には ― これも縦長の地形の日本のことだから地域差はあるけれど ― 梅雨と蒸し暑い夏がある。特に、梅雨寒のある日、満員電車の中で、外気温が低いゆえに電車内の空調は送風だけで、でも車内の温度も湿度も詰め込まれた人間に比例して上昇中…みたいな悪条件だと、「さわやか」と評判のあるフレグランスでも気持ち悪くなることがある。でもだからといって、単に「何もつけなければいい」って問題でもなくて…

で、こういうのにきちんと対応できるフレグランスを作れるのは、やはり国内の化粧品メーカーだと思うわけよ。

嗚呼、第一次オイルショックの影響が残る1970年代半ばに、20,000円を超える値で売り出した、あの高貴なクリスタルガラスのボトルが庶民の憧れを誘った「ホワイトローズナチュラル」とか、その翌年に国産のフレグランスとしては超強気の50,000円近い価格で売り出した「すずろ」とかを出した、資生堂のあの頃の気概は、今いずこ。いやせめて、1980年代後半に売り出した「沙棗 SASO」のように、パルファムとEDT、オーデコロンから、ラメ入りのジェルやら、ヘアケア/ボディケア製品はともかく、ついにはお香まで次々にラインで販売するぐらいの、力みすぎぐらいの前のめりの姿勢がほしい。

なのに、わたしの思いとは裏腹に、いつのまにか、「インウイ」も「ヴォカリーズ」もなくなってしまったなんて。一部のフレグランスの販売中止は、使われている香料が入手困難になったからという話も聞いてはいるけれど。そしてわたしが生まれて初めて(16歳のときに)買ったフレグランス「スーリール」とかはかろうじて生き残ってはいるけれど。

で、資生堂以外はどうかというと、これまたさらに寒い状況。

まずはカネボウ。この記事を書こうと一生懸命に思い出したカネボウのフレグランスの名前は、わたしが古いせいもあるけれど、昔懐かしいものばかり。まずは「火の鳥」でしょ、「森の精」でしょ、そして「京都」に「マリエール」、そして、せいぜい「アンドゥミル」ぐらい。おフランスのキャロンのフレグランスを扱っているうちに、自社開発を忘れちゃったんじゃないの…と思ってしまう。

コーセーについても、申し訳ないけれど「オンストリーム」と「フォーチュン」と、社名が「小林コーセー」だった時代の「アルファード」くらいしか思い出せない。それからソフィーナは、トイレタリー専科だと思われていた花王が満を持して市場にソフィーナ・ブランドを投入したときに、その名も「ソフィーナ」というフレグランスがあったような気がしたんだけれど、今は何か出している?

こう考えると、観光地と組んでご当地香水(「金沢オールドパルファム」「マダムバタフライオールドパルファム」等)を出している資生堂は、まだ頑張っているほうなんだろうな。でも、もっとフレグランスに力を入れてくださいよ。新しいものを出してくださいよ。

それから、古いフレグランスをむやみに製造中止にしないように。わたし、沙棗とタンタトゥリスがなくなったら、暴れますからね。


というわたしが今日使っているのは、「まぁ、それはそれでいいんだけれどね」なんて自分で書いておきながら、並行輸入品のステラマッカートニーのステラ。そして、参考程度に乗せた下の写真は、手元に家に残っている沙棗のライン。手前は携帯用のチップオンパルファムと、未開封のレフィル。後ろは左から、沙棗の後に出たミスオブ沙棗(myth of Saso)パヒュームコロン、沙棗オードパルファム(これは現役で販売中)、沙棗デュアルコロン(オーデコロン。当の昔に製造中止で、残りの中身は劣化しているはずなので怖くて使えない)。ほかにもいろんな種類があって、結構いろいろともっていたんだけれど…

Saso





最近の英語モデルの電子辞書について

2009-05-04 02:03:00 | 英語
以前、電子辞書を買い替えようとしていたのに、衝動的にナノケアイオンスチーマーを買ってしまったことについて、このブログに書いたことがあります。(「電子辞書を買い替えるつもりだったが、買ってしまったものは…」) あの選択にはこれっぽっちも後悔はしていません。わたしの肌は「待ったなし」のひどい状態だったからです。

んが、「もう少し我慢できるだろう」と思っていた電子辞書については、先々週末ついに「限界だぁ!」と思う事態に直面してしまいました。何があったのかは省略しますが(要するに言いたくない)、仕事がらみでちょっと困った事態になってしまったわけです。

こうなったからには、さっさと辞書を注文です。といっても、店舗だと目映りして何が何だかわからなくなるので、基本的なハード面のつくりを店頭でざっとチェックし、その後にネットで機能だの価格だの、使用者のレビューだのをチェックです。もちろん、わたしの周りにいて、似たような仕事をしている人たちに電子辞書のお勧めも聞いてみます。というのは、彼らは常により良い電子辞書を探しているからです。

わたしが仕事で英語を使用しなければならないのは、「仕事でコミュニケーションのために英語を使う」という状況と「英語そのものが仕事になっている」という状況の2種類です。電子辞書を作っているメーカーはわたしの知る限りでは4社ですが、英語コンテンツが充実した電子辞書といえば、いまのところ選択の幅は事実上2社のお値段が高めの電子辞書に限られているということは、御同輩の方々には周知の事実だと思います。この2社とはセイコーインスツル(SII)とカシオのエクスワードです。

結論として、今回はカシオのエクスワード XD-GF10000を購入したのですが、購入のために、全部で6種類ほど検討しましたので、それらを主にコンテンツ面からみていきたいと思います。
今回、候補として検討したのは、以下の6機種です。

  • カシオ エクスワード XD-GF10000 (総合モデル)

  • カシオ エクスワード XD-GF9800 (外国語モデル 英語プロフェッショナル向け)

  • SII SR-G10001 (英語モデル、英語プロフェッショナル向け、PC接続)

  • SII SR-G10000 (英語モデル、英語プロフェッショナル向け)

  • SII SR-G9001 (英語モデル、英語を使うビジネスマン向け、PC接続)

  • SII SR-G9000 (英語モデル、英語を使うビジネスマン向け)


SIIの電子辞書のうち、英語そのものが仕事になっている英語屋、もとい、「英語のプロフェッショナル」向けなのは、SR-G10000またはSR-G10001です。また、仕事で英語を結構使うビジネスパーソン向けにはSR-G9000またはSR-G9001、英語を使う法務や財務の担当者向けにはSR-G8100、英語を使うエンジニア向けにはSR-G8000といった具合になっています。エクスワードはそれほど細分化されてはいません。


□□□コンテンツ□□□

コンテンツについての全体的な印象は、SIIは必要なものだけを入れて必要ないものを入れない引き算の世界、それに比べてエクスワードはいろいろと役に立ちそうなものを入れていく足し算の世界になっているようです。

■ 日本語の辞書

外国語モデルの辞書では、日本語の辞書も充実していてくれなくては困ります。特に翻訳が発生する場合はそうです。翻訳が仕事の一部になることがありますが、翻訳は後々までモノが残ってしまいますので、ひとつひとつの言葉に細心の注意を払わなければなりません。(通訳では、ひとつひとつのことばに、注意を払わなくてもいいという意味ではありません。)

その意味で、わたしとしては、基本の日本語の中に岩波書店の『広辞苑』か、三省堂の『大辞林』(電子辞書版は『スーパー大辞林』)が入ってほしいと思います。『デジタル大辞泉』(小学館)ファンの方、ごめんなさいね。ここでわたしの選択肢からは、エクスワードXD-GF9700とSIIのSR-G10000は外れます。

加えて漢和辞典は必須で、次に日本語のシソーラス(類語辞典)もできればあったほうがよいです。今回購入を検討したモデルでは、漢和辞典はどれにも入っていますが、シソーラスはどちらかといえば上位モデルのほうにのみ入っています。また、XD-GF10000にしか入っていなかったのですが、『数え方の辞典』のような辞典も、和訳のときには役に立ちます。たまに「工場の数え方って?」「この場合、ズボンは『本』で数えるべきか『枚』で数えるべきか?」のような状況が発生するからです。


■ 日本の出版社の英和・和英辞典

日本の出版社が使う英和・和英の辞書については、今回検討したクラスのものはすべて大辞典を入れていますが、電子辞書に使用されている大辞典は大体決まっています。必ずしも優秀な辞書なので選ばれたというわけではなく、出版社側のデジタル化に対する方針もあるのでしょう。

英和でいえば、まずは研究社の『リーダーズ』と『リーダーズ・プラス』。この2つは比較的早くから英語モデルの電子辞書に採用されています。大修館の『ジーニアス英和大辞典』を入れたものが、現在のところ「かなり英語を使う人」の向けようです。SIIのSR-G10001とSR-G10000とには、これに研究社の『新英和大辞典』にが加わります。

通訳・翻訳にかかわっている人の何割かの人が「入れておいてほしい」と思っている大辞典は、小学館の『ランダムハウス英和大辞典』です。わたしが狭い範囲で聞いた中でも『ランダムハウス』の存在ゆえに、購入検討に値する機種はこの2種類しかないと言い切った人が3名いましたし、わたしもできれば入っていてほしいと思いました。この『ランダムハウス』が入っているのは、エクスワードのXD-GF10000とSIIのSR-G10001です。

では、和英はどうでしょうか。

電子辞書のコンテンツの日本の出版社による和英辞典は、英和辞典とくらべるとそれほど充実していません。概して英語モデルでは、研究社の『新和英大辞典』と小学館の『プログレッシブ和英中辞典』の、2種類のうちの両方、または片方が採用されています。英和大辞典が4~5種類というのと比べると、かなりさびしいものです。しかしこれでも、英語モデルの和英が『ジーニアス和英中辞典』だけだったころから比べると、各段の進歩です。(5年前の記事「英語用電子辞書への一考察」を参照。)『ジーニアス』の中辞典は英和のほうはすばらしいのですが、和英については、編集した方には申し訳ないのですが「この辞書で事足りる人がいたら、その人こそが『ジーニアス』だ!」と言いたくなってしまいます。

この和英辞典のコンテンツですが、「上位機種だから2種類とも入っている」というものではないので、注意が必要です。たとえばメーカーのサイトで見る限りでは、SIIでは英語屋さん向けSR-G10001、SR-G10000には『新和英』のみ、英語を使うビジネスマン向けのSR-G9001は『プログレッシブ』のみが入っています。が、SR-G9000は、なぜか両方を搭載しています。CASIOは、XD-GF10000とXD-GF9800とも両方を入れています。

あくまでも主観ですが、最近のよくできた和英中辞典は、日常的な英語でかなり力を発揮します。それは自分自身の言葉として使うときも、他人の言葉を伝えるような通訳・翻訳のような時も、です。その意味で、上級モデルであっても、中辞典は外してほしくないと考えます。『プログレッシブ』、研究社の『ルミナス』、学研の『スーパーアンカー』、そして三省堂の『ウィズダム』あたりが使える和英中辞典でしょうか。『プログレッシブ』はよくできた和英中辞典としての定評があり、わたし愛用しています。つまり『プログレッシブ和英中辞典』が入っていない辞書は、選択からはずしました。




■ 海外の出版社の英語辞書

次に、海外出版社系の英語の辞書を見てみましょう。

メインの英英辞典は大辞典1種類に加えて、1種類から数種類の学習英英(英語がネイティブではない人向けの英英辞典)です。目下のところ、電子辞書の大型の辞典の標準仕様は、『オックスフォード英英辞典(Oxford Dictionary of English)』のようですが、学習英英については『オックスフォード現代英英辞典(Oxford Advanced Learner’s English=OALD)、『コリンズ コウビルド英英辞典(Collins COBUILD Advanced Learner's English Dictionary)』、『ロングマン現代英英辞典(Longman Dictionary of Contemporary English=LDOCE)』のどれかを採用しているものが多いです。『マクミラン英英辞典(English Dictionary for Advanced Learners)は、電子辞書にはないのかな? 余談ですが、これらの学習英英の日本語タイトルは日本での販売名にならいましたが、どれも "Learner" って単語をわざと訳していませんね。マーケティング上の理由なんでしょうが。(何いってんのよ。人間はみな一生Learnerなんだから、わざわざ消すことないじゃないの!)

大型辞典の『オックスフォード英英辞典』は、昔は『オックスフォード新英英辞典(New Oxford Dictionary of English=NODE)』と呼ばれていたものの新版です。英文学・英語学研究者が必要とする、紙で20巻+3巻もののOED(『オックスフォード英語辞典』(Oxford English Dictionary))とは別物です。OEDはCD-ROMだと1枚に収まるらしいのですが、このCD-ROMが1枚で数万円ですから、これを電子辞書に入れたら、電子辞書の価格が跳ね上がり、しかし使用者は限られている…ということになるので、OEDは「英文学研究者モデル」でもない限り、電子辞書のコンテンツには入ってこないと思います。

学習英英でコウビルドがほしければSIIから購入するしかなく、一方、ロングマンがほしければエクスワードになります。わたしは、大学時代にLDOCE(エルドスと読む)の活用本を書いた先生のもとで授業を受けたため、学習英英はコレで刷り込まれています。(あなたのことですよ、名和先生。)で、ロングマンを採用していないSIIはすべて外れてしまいました。でも、実はコウビルドは非常に優秀です。

英語モデルの電子辞書には、海外出版社系の辞書は英英のほかに、シソーラス、イディオム(慣用句)、連語(collocation)、を中心に、句動詞(phrasal verbs)を中心にSentence Dictionaryだの活用辞典だの、といったいろいろな辞書が付いてきます。これらはあれば便利だとは思っても、実際にはなかなか単体で買うことがないものなので、勝手についてきてくれると、私としてはそれはそれでありがたいです。ここで、コウビルド+オックスフォード系がお好みならSIIを、ロングマン+オックスフォード系がお好みならエクスワードという選択になりますが、同じメーカーでも機種により、採用しているものが微妙に異なります。

また、英語辞典(ここではイギリス英語)と米語辞典(アメリカ英語)を別々につけるか否かという問題に関しても、今回検討した6種類では、それぞれ少しずつコンセプトが異なるようです。


□□□機能面・操作性□□□

わたしの場合、操作性は「反応が遅すぎる」「キーがあまりにも打ちにくい」といった場合を除き、それほど重視していません。ここでいろいろと書いているわりには、実際はそれほど電子辞書を使わないためです。自分で英語を書いたり翻訳をしたりする場合には、まずはオンライン辞書に頼ることが多いです。ある単語やイディオムを深く掘り下げて探したいときや、文法面のダブルチェックのために電子辞書を使うことが多く、電子辞書にもとめるのは「詳しい説明」が第一です。そこで自然とコンテンツ重視になります。

というわけで機能面は、簡単にまとめます。

「使い勝手」という面では、SIIのほうが良いと思います。個人的にはキーの形はSIIのほうが好みですし、画面もSIIのほうが見やすいです。エクスワードは一般的に画面が暗めで、そのため暗い所でなくてもバックライトを使っている方も結構いるでしょう。わたしはこれまで使ってきたのがエクスワードだったためそれほどは気になりませんが、SIIの最新機種を使っている方がエクスワーをいじったら、まずは視覚的にイライラすることが多いかもしれません。

画面表示がきれいになればなるほどそれだけパワーが必要なのかどうか、SIIは基本は付属のリチウムイオン充電池に充電する方式です。SR-G10000、SR-G9000については、辞書を長時間使用する人のためにAC電源が付属していますが、乾電池は使えません。電子辞書を持ち歩く人で、充電を忘れがちな人には、市販の乾電池が使えなというのはちょっと厳しいと思います。SR-G9001は補助電源として乾電池が、SR-G10001は乾電池とニッケル水素電池が使えるようになっています。エクスワードは乾電池が基本で、ニッケル水素電池では特にエネループ指定です。わたしはいままでエクスワードの旧機種を何も考えずにトラブルもなくエネループで使っていたのですが、ニッケル水素電池では電子辞書では不具合がでることもあるらしいです。(ちなみに、SR XD-GF10000は電池を入れたときに、乾電池を使っているのか、エネループを使っているのかを設定する画面が出てきます。)

SIIにあってエクスワードにないものはパソコン接続とそれによる拡張機能、逆にエクスワードにあってSIIにないものはタッチパネルということになります。パソコン接続については、実際に使っていないので何とも言えませんが、タッチパネルについては好みの問題だと思います。ただ、SIIのようにコンテンツを絞り込んだ辞書は、タッチパネルはそれほど必要なさそうです。エクスワードの上位機種のようにコンテンツを闇鍋のごとく詰め込んだ辞書の場合には、他のコンテンツに素早く移動するためにはタッチパネルが便利です。

レスポンスは7年前のエクスワードのXD-R9000との比較になってしまいますが、さすがに、最近の電子辞書は1つの辞書(つまりたとえばランダムハウスだけで検索する)場合のレスポンスは、かなり早くなっています。今回購入したXD-GF10000については、複数辞書にまたがる検索については、結果が返されるまでに微妙な間が生じます。これは通訳や、大至急の翻訳で使用するには、少々ストレスがかかる間だと思います。

しかし、90年代前半ぐらいまでは、通訳でも翻訳でも、紙の辞書をめくっていたのです。出先で通訳や翻訳をする人たちは、常に分厚い英和と和英と専門辞書、と大量の関連資料を鞄の中にいれて移動しなければならなかったはずです。それを考えると隔世の感がありますね。



ちなみに、アマゾンでポチりました。

<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=yumifukushsde-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B001QTVSVE&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>