いや、劇団四季の「ソング&ダンス」のことではない。アンドリュー・ロイド=ウェバー作曲、ドン・ブラック作詞でウエストエンドとブロードウェイで上演されたミュージカル、"Song & Dance"のことだ。ロイド=ウェバーのミュージカルとしてはきわめてこじんまりとしたミュージカルで、しかもそれほどヒットしなかった作品だ。
ストーリーはいたって単純。イギリス人の帽子デザイナーである若い女性エマがアメリカにやってくる。そして異文化ギャップにとまどいながらアメリカで暮らすうち、さまざまなアメリカ人の男性と出会って成長するというお話。
この作品は2部形式のミュージカルで、第1部はエマ役の女性が歌だけで話を進め、第2部はダンサーたちのダンスだけが続くという変わった構成になっている。これは、この作品の完成までの経緯が少し変わっているためだ。"Tell Me on a Sunday" という歌だけのワンウーマン・ショーがテレビ番組のために独立して作られた。またそれとは別に、ロイド=ウェバーがチェリストの弟のために作曲したパガニーニのカプリースを基に作った"Variations"があった。そしてこちらにダンスをつけ、"Tell Me on a Sunday"を第1部、"Variations"を第2部として1つの作品とした。
ヒットはしなかったミュージカルだが、わたしはこのミュージカルの音楽が好きで、3つのバージョンを持っている。
まず最初に、マーティ・ウェッブがエマを演じる2枚組のアルバムだ。最初に買ったのはまだCDの時代が到来する前だったために、2枚組の輸入盤LPレコードだった。このレコードは、第2部(つまりVariationsが入っているほう)のある箇所が永遠に繰り返されて終わらないという代物だった。(レコードというメディアには、こういうトラブルは付物だった。)当然、後にCDを買いなおした。
今となっては「珍品」の感があるサラ・ブライトマンがエマを演じたLD(念のために書いておくがLDはレーザー・ディスクの略)も持っている。そのころの彼女のパフォーマンスがどうだったかというと、当時の評価は「ブライトマンは若いため、声は良いのだが役に説得力がない」だった。「若い女性」の役をやって「若いから説得力がない」といわれるのは皮肉だが、みれば確かにその評価の通りだと思う。
そして3つ目は稀代のコメディエンヌであるバーナデット・ピータースがエマを演じる第1幕のだけのアルバム。じつはこれが個人的には一番好きで、わたしの愛聴盤になっている。なにがすごいって、はじめて聴いたときに、歌詞がまったくわからなかったのにもかかわらず、もらい泣きしてしまったぐらいなのだ。
しかし、残念なのは「エマはイギリス訛りの英語を話すがゆえに、アメリカ人男性にチヤホヤされる」という設定なのに、ピータースの発音が「アメリカ人がイギリス英語をまねしました」になってしまっているところ。が、彼女はこれで1985年のトニー賞を受賞。1948年生まれだから、「イギリス人の若い女性」の役を37歳にして歌ってしまったことになる。(Amazonでエマのパートを歌うピーターズの声を視聴できるので、興味がある方は聴いてみてほしい。彼女の元の声質のせいもあるが、たしかに若い女性になりきっている。)
ちなみにこの"Song & Dance"は、1980年代に日本でも日本人キャストによって上演される計画があった。たしかエマ役を元宝塚出身の女優がやることになっていたという記憶があるが、中止になってしまった。たしかほぼ同時期に、「エビータ」の英国からの来日公演もチケットまで売られたあげく、公演が中止になった。何が起こっていたのかわたしには良くわからないが、とにかく「エビータ」の来日公演のチケットは払い戻しにいったヨ。
さて、劇団四季の「ソング&ダンス」にはロイド=ウェバーの"Song &Dance"の曲のいくつかが組み込またことがあるらしい。そんなことしないで、どうせならフルバージョンやってよ。
しかし、ロイド=ウェバーの作品を国内で観ようと思ったら、映画にでもなってくれない限り、四季の舞台に行くしかないのだろうか。
以下は、Song & Danceの歌詞の一節だ。
確かに。こういうアメリカ人男性を、わたしは複数知っている。
![song_and_dance](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/2d/1b0b3293f25d819c612d17ff1fa70f99.jpg)
ストーリーはいたって単純。イギリス人の帽子デザイナーである若い女性エマがアメリカにやってくる。そして異文化ギャップにとまどいながらアメリカで暮らすうち、さまざまなアメリカ人の男性と出会って成長するというお話。
この作品は2部形式のミュージカルで、第1部はエマ役の女性が歌だけで話を進め、第2部はダンサーたちのダンスだけが続くという変わった構成になっている。これは、この作品の完成までの経緯が少し変わっているためだ。"Tell Me on a Sunday" という歌だけのワンウーマン・ショーがテレビ番組のために独立して作られた。またそれとは別に、ロイド=ウェバーがチェリストの弟のために作曲したパガニーニのカプリースを基に作った"Variations"があった。そしてこちらにダンスをつけ、"Tell Me on a Sunday"を第1部、"Variations"を第2部として1つの作品とした。
ヒットはしなかったミュージカルだが、わたしはこのミュージカルの音楽が好きで、3つのバージョンを持っている。
まず最初に、マーティ・ウェッブがエマを演じる2枚組のアルバムだ。最初に買ったのはまだCDの時代が到来する前だったために、2枚組の輸入盤LPレコードだった。このレコードは、第2部(つまりVariationsが入っているほう)のある箇所が永遠に繰り返されて終わらないという代物だった。(レコードというメディアには、こういうトラブルは付物だった。)当然、後にCDを買いなおした。
今となっては「珍品」の感があるサラ・ブライトマンがエマを演じたLD(念のために書いておくがLDはレーザー・ディスクの略)も持っている。そのころの彼女のパフォーマンスがどうだったかというと、当時の評価は「ブライトマンは若いため、声は良いのだが役に説得力がない」だった。「若い女性」の役をやって「若いから説得力がない」といわれるのは皮肉だが、みれば確かにその評価の通りだと思う。
そして3つ目は稀代のコメディエンヌであるバーナデット・ピータースがエマを演じる第1幕のだけのアルバム。じつはこれが個人的には一番好きで、わたしの愛聴盤になっている。なにがすごいって、はじめて聴いたときに、歌詞がまったくわからなかったのにもかかわらず、もらい泣きしてしまったぐらいなのだ。
しかし、残念なのは「エマはイギリス訛りの英語を話すがゆえに、アメリカ人男性にチヤホヤされる」という設定なのに、ピータースの発音が「アメリカ人がイギリス英語をまねしました」になってしまっているところ。が、彼女はこれで1985年のトニー賞を受賞。1948年生まれだから、「イギリス人の若い女性」の役を37歳にして歌ってしまったことになる。(Amazonでエマのパートを歌うピーターズの声を視聴できるので、興味がある方は聴いてみてほしい。彼女の元の声質のせいもあるが、たしかに若い女性になりきっている。)
ちなみにこの"Song & Dance"は、1980年代に日本でも日本人キャストによって上演される計画があった。たしかエマ役を元宝塚出身の女優がやることになっていたという記憶があるが、中止になってしまった。たしかほぼ同時期に、「エビータ」の英国からの来日公演もチケットまで売られたあげく、公演が中止になった。何が起こっていたのかわたしには良くわからないが、とにかく「エビータ」の来日公演のチケットは払い戻しにいったヨ。
さて、劇団四季の「ソング&ダンス」にはロイド=ウェバーの"Song &Dance"の曲のいくつかが組み込またことがあるらしい。そんなことしないで、どうせならフルバージョンやってよ。
しかし、ロイド=ウェバーの作品を国内で観ようと思ったら、映画にでもなってくれない限り、四季の舞台に行くしかないのだろうか。
以下は、Song & Danceの歌詞の一節だ。
どんな風に言えばいいんだか…
でも、アメリカ人の男の人って違うの。
あの人たちは、最初は至極まともにみえるけど、
じつはそうじゃないのよね。
みんなグダグダで、ピリピリしていて、
しかもものすごく神経質だってことがプライドなのよ。
そして、だんだん年をとっていくってことを考えるのが
あの人たちにはとってもつらいことなの。
確かに。こういうアメリカ人男性を、わたしは複数知っている。
![song_and_dance](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/2d/1b0b3293f25d819c612d17ff1fa70f99.jpg)
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