巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

フリルアイス一本勝負:キューピー vs JFE

2010-05-22 19:54:04 | 
フリルアイスとは、結球しないタイプのレタスの一品種である。最近では「フリルアイス」として、きれいに袋に入ったものをスーパーの野菜売り場などで見かけることが多くなった。



これらの袋入りのフリルアイスを良く見ると、無農薬と鮮度を売り物にしているものが多い。こうした野菜は、大手企業のハイテクの野菜工場で水耕栽培によって作られたもので、最近では複数の企業がフリルアイスを始め、主にレタスやサラダ菜のような野菜をスーパーに出荷している。

わたしの周りで目にするのは、キューピーのTSファームで作ったもの(袋には「キューピット」とあるがこれがブランド名かどうかはわからない)とJFEライフの「エコ作」ブランドのものである。

Kewpie_vs_jfe_1

キューピーといえば、マヨネーズやドレッシングでおなじみの会社。一方、JFEライフといえば鉄鋼を中心とするJFEグループの一社である。

こうした工場産の野菜については、天候・季節の左右されないので、年間を通して安定した供給が可能だし、出来上がった野菜は無農薬で洗わずに食べられる…等のメリットがある一方、「高い」とか「野菜の味がしない」などの批判も聞かれる。

Ajinomoto_kokuumaさて、わたしが2社のものを同時に手にしてしまったからには、わたしの性格上、独断と偏見に満ちた比較をするほかない。では、結果をどーぞ。(ちなみに、味見においては何もつけない状態のほか、公平性を期して、味の素社製の調味料を使用した。)
■ 購入場所
キューピー(以下「キューピー」とする):某所のサミットストア
JFEライフ社製(以下「エコ作」とする):某所のコモディイイダ

なお、エコ作はイトーヨーカドーやサティでも購入可能

■ 値段
キューピー:198円
エコ作:198円
…要するに同じである。量を考えれば、かなり高めのお値段だ。

■ 量(袋から出した正味)
キューピー:97.5g
エコ作:95g
…見かけは袋の大きさもあり、キューピーのものがかなり大きく感じられたが、中身はわずかにキューピーが多い。(単なる個体差かもしれない。)よって、値段も考えてキューピーに6点、エコ作に4点。なお、計量には貝印のデジタルスケールDL-9013を使用。(右側がキューピー)

Kewpie_vs_jfe_2

■ 姿
たまたまなのかもしれないが、エコ作の方が見た目がきれいにそろっている。食べてしまえばどうでもよいのだが、見た目のきれいさは、超忙しいのに食事を用意をしなければならない場合に、ほんのわずかながら時間の節約になる。よって、キューピーに4点、エコ作に6点。

■ 味
フリルアイスの特徴かもしれないが、両方ともほぼ「レタス臭さ」はなく、味も薄く、苦味もなかった。キューピーのフリルアイスの方がわずかに、レタスの味があるような気がするが、気のせいかも。あるいは、ブランド差というより個体差かもしれない。5対5のイーブン。

■ 食感
両方とも野菜工場ならではのみずみずしいシャリシャリ感があり、何れの部分を食べても歯ごたえがよろしい。5対5のイーブン。

■独断と偏見に満ちた加点・減点

1. キューピーについて
修士課程の同期生でしかも同じきっちょむゼミに、キューピーからの企業派遣で来ていた人がいた。世界中をめぐって食材開発をしているとかいう、うらやましいお仕事だった。というわけで、同じゼミ仲間のよしみでキューピーに1点加点。キューピーのテイスティドレッシングのイタリアンと和風を愛しているので、さらに1点加点で、合計2点加点。

2. エコ作について
JFEグループさんには日々仕事でお世話になっているので大幅に加点せざるを得ず、まずは「よいしょっ」とばかりに10点加点。しかし、従業員食堂での社員以外の食堂利用者に対する超不明瞭会計のために8点減点。(「システム上できない」とかで、この高い不明瞭会計を是正する気はないらしく、グループの行動規範はここには及んでいないとみた。)差し引きで、合計2点加点。てなわけで、イーブン。


■ 結果と総評
独断と偏見に満ちた採点結果は、同点。要するに、どっちもどっちなのだ。エコ作の方が鉄鋼会社グループ系なので、栄養中に鉄分を多く含み、ドレッシングやマヨネーズとの相性はキューピーの方が良い…なんてことは、もちろんない。

このようなハイテク野菜工場の野菜に対しては、強い批判がある。最大の批判は、「味が薄い」ということだろう。実際に、本当に味が薄い。レタスの苦みやあのレタス臭さが嫌いな人にはうれしいが、野菜らしい野菜を求める人には不向きだ。

一方、しゃきしゃき感は特筆ものだ。野菜をしばらく水に漬けておくなんてことをしないでも、しゃきしゃき感が袋から出してすぐに味わえる。また、かなり忙しい時に、洗わずに食べられ(といっても実際には、さっと水洗いする人が多いとは思うが)、廃棄量がほぼ0(ヘタの部分は薄く切って捨てる人が多いだろう)の野菜は、あると本当に便利である。

露地物とこういう野菜工場物との違いは、地鶏とブロイラー飼育の鶏、ないしは天然ものと養殖物の鰤の違いぐらいある。要は少なくとも味については同じ土俵に載せてあれこれ批判せず、違いを生かした調理方法をした方が良い。スープや野菜炒めに使うなら、露地物のほうが向いている。

工場の水耕栽培のフリルレタスは、これ自体の味が薄いだけに、一緒にあわせる野菜やドレッシングは香りや味が強い方が、向いている。わたしは生玉ねぎとかセロリ、スモークチキンや生ハムを会わせて、サラダやサンドイッチにするのが好みだ。その際のドレッシングは、キューピーのシーザーサラダドレッシングのようなものが合うと思う。



さて、生ハムと一緒にクロワッサンサンドにするか。うっふっふ


企業がウェブサイトに載せるもの ― その文化差 (2)

2010-05-08 19:56:00 | インターネット (CMC)
(本記事は、「企業がウェブサイトに載せるもの ― その文化差 (1)」の続きです。)

■ トップのプレゼンとスピーチ

研修で英語のビジネス・プレゼンテーションの講師を務めることがある。すると、様々な外国企業が公の場の実際のプレゼンでどのような語彙を使っているのか、どのように話を展開していくのか、どのようなスライドを使用しているのか、あるいは実際のデリバリーはどうだったのか、等を、調べたいときがある。

こういうときは、英語を母国語とする大手企業のウェブサイトを見てみる。多くの企業が、"Webcasts and Presentations" や、"Presentations" といったページを作っていて、このページからマネジメント層(この場合、必ずしも会長やCEOばかりでなく、他の役員や、場合によっては部長クラスも含む)が公の場で行ったスピーチやプレゼンテーションの内容にアクセスできるようになっている。
アクセス可能な形式は、プレゼン内容の原稿とそのプレゼンで使用したPPTスライドをPDFにしたものの場合もあるし、オーディオファイル(Podcastやその他)を通じてのものもある。Webキャストの場合は、実際のプレゼンテーションを撮影した動画(もちろん音声付)・スライド・音声のみ のいくつかを組み合わせる。

必要とあらば、プレゼンの内容は別の言語に翻訳される。たとえば英国企業のトップが中国の要人の前で英語でプレゼンを行ったのであれば、英語のほかに中国語訳のファイルもきちんとアップされる。

上場企業では、株主総会もWebキャストの対象である。まずは、株主総会の模様をLive配信し、その後オンデマンド配信で誰もが見られるようにしておく。ここでは議長を含むトップのプレゼン能力が全世界に配信される。株主総会で話者の左右にテレプロンプター(こちら側から見ると透明な下敷きに見えるやつね)が写っていたりする。そう、実際に会場にいる株主の皆様のためにも、またオンラインでモニター越しに見ている全世界の無数の人たちのためにも、アイコンタクトは大切だ。

翻って日本企業の場合は、上場企業であっても、トップのウェブからの発信量が悲しいぐらい少ない。日本企業の標準的なトップのウェブサイト上での発信といえば、まず社長(またはそれに相当する役職の人)の「ごあいさつ」だ。これはパンフレットの会社概要の「ごあいさつ」の伝統を踏襲しているように見える。それにウェブサイトならではのものとして、その社長の年頭あいさつ。それに加えてトップが交代したときの新任あいさつ、ぐらいか。

もちろん、重要な記者会見や株主総会の模様をWebキャストで配信する日本企業も、最近こそ出てきているが、まだ少数派だ。あとで内容に余計な突っ込みを入れられることを恐れて、情報開示を必要最低限にしておこうとしているかのようだ。

日本企業の場合には、言語の壁もあるだろう。英語圏の企業の場合、英語はグローバルな言語なので、彼らが自国語でしゃべれば、内容面ではともかく言語面ではそれを全世界向けの発信とすることができる。しかし、日本語でのプレゼンやスピーチの場合は、これを受けとる対象者は日本語が理解できるものだけに限られる。もし、世界に向けて発信しようとすると、いちいち翻訳が必要になる。

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余談になるが、トヨタのウェブサイトには、量は少ないながらビデオライブラリがある。これを見た限りでは、豊田章男氏は原稿(紙をめくっている様子がないので演台にテレプロンプターがついているらしい)を見ながらも、アイコンタクトをきちんととろうと顔をあげている。しかも、正面だけでなく、場合により右や左にも顔を上げている。

簡単に見えるかもしれないが、あんなふうにできるようになるには、実は訓練が必要だ。原稿を見たときに、文章をかたまりで頭に入れ、顔を聴衆に向けて頭に入っている残りをしゃべり、また原稿に目を戻す。これが意外に難しい。目を戻したときに原稿の正しい位置を確認することができずに、目が迷ってしまったりするのである。ゆえに原稿から目を離せないプレゼンターも結構いる。授業で学生にプレゼンを教えていたときは、毎年、最初のプレゼンでは、原稿の正しい位置に瞬時に戻れないプレゼンターが続出した。

こんなトラブルを防止するために、原稿には「今しゃべっている個所」を見失わないための工夫もされていたりするのだが、それでも駄目だったりする。ゆえに、原稿が事前に用意されそれを読むタイプのプレゼンでも、事前の練習が必要なのである。(で、学生たちは2回目のプレゼンからは、事前にかなり練習したらしい。)


「ハートに火をつけて」による変奏曲

2010-05-05 00:04:34 | 音楽
先日、仲間うちの会話で話題になった、フリードリヒ・グルダ (1930- 2000)作曲の「『ハートに火をつけて』による変奏曲」 (Variationen über Light My Fire) (1970)でございます。もちろん、ドアーズのあの曲を使っています。

以下の2分割の白黒の映像は、Youtubeのかかるページの解説にによれば1971年のもの。つまり作曲直後の演奏です。

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そして、次のものは、服装から判断するに、1989年前後でしょうか。(1989年のミュンヘン・フィルとの『皇帝』の弾き振りと服も帽子もそして時計も、同じものを着用しているのよ。)

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この曲が収録されているCDは↓です。
Midlife HarvestMidlife Harvest
価格:¥ 7,188(税込)
発売日:2007-08-21


楽譜ですか? もちろん手元にございますとも。(輸入楽譜のお店で取り寄せてくれます。)初めて楽譜に目を通したときには、「ギャーッ」となってしまいましたが。(あたしには弾けねぇよ。)くやしかったので、ラリッった感じで歌っちゃいました。

"Come on baby, light my fire..."


スレンダートーンエボリューション 経過報告

2010-05-02 22:09:20 | ガジェット/モノ
progris riport

とういわけで(詳細は「アマゾネス」を参照)、スレンダートーンエボリューションの使用を開始してから7週間。毎日欠かさず使用したその結果は…

サイズには1 cmたりとも変化がない

だ。腹まわりのプヨをどうにかしたかったのだが、プヨは残したまま下の腹筋が硬くなったのである。これはかつてアブスライドに励んでいたときにおこった現象と同じである。ダンベルなどを継続的に使っても、力持ちにはなっても外見上には変化が起こらなかっとことから考えて、筋肉が容易につかない体質なのだろう。また、使用前のウエストサイズが61 cmであったことから、ウエストについては、たとえ変化があってもそれほど大きなものではないことは、事前に予想できた。

ただし、腹筋を鍛えるという意味では効果があり、体の別の個所を痛めたりすることなくできるという点でこのEMS機器は優れているといえる。腹筋の鍛錬に今後も継続して使用するつもりである。女性は年をとった時に腹筋が弱いと、いろいろと困ることがでてくるし。

しかし、ここにきて五十肩になった。戦う「五十肩のアマゾネス」か。いや、「五十肩と戦う」アマゾネスかも。どっちにしろトホホだ。それに、残っているプヨは何としよう。

追記:「何でアマゾネス?」と思われた方は、アマゾネスについてとアマゾンの語源をお調べください。


企業がウェブサイトに載せるもの ― その文化差 (1)

2010-05-02 21:34:27 | インターネット (CMC)
かつて大学で国際ビジネスコミュニケーション論を教えていたときは、毎年1回は学生に企業のウェブサイトの作りの文化差というものを考えてもらう回を儲けたものである。

当時の日本の企業のウェブサイトのコンテンツといえば、会社概要のパンフレットを忠実になぞったようなものに、ニュースリリースがくっついているだけといったものが多かった。上場企業であればそれなりにIR情報を載せてあったが、それでも通り一遍。

大企業で海外取引もある会社の多くは英文サイトを作っていたが、文化差を語る以前に、その一部は最悪だった。英語の質はさておき、その中身はまさに「パンフレットの英訳をそのまま掲載しました」という作りが多く、サイトを通して発表されるプレスリリースも日本語サイトに比べ遅れがち かつ 情報量が少なかった。日本語が分からない外国人は、このようなサイトの英文サイトにまずアクセスする。その後日本語サイトにアクセスして、英語には訳されていないもっと多くの情報があることを、英語が読めないながらも感じる。「もっと情報があるのに、日本語でしか書かれていないので、その情報が得られない」というフラストレーションを、たっぷり味わうことになるのである。こんなことはその企業にとっては、間違いなくマイナスになったはずだ。

おまけに、まったく別のウェブ制作会社が作ったのか、日本語サイトと英語サイトとデザインの統一がとれていないものが結構あって、一見「まるで別会社」というものまで存在した。

最近はさすがにそういうひどいものはほとんど見受けられないが、それでも日本企業のサイトの作りと、主に欧米系の企業(「欧米」とひとくくりにするのも乱暴だが)のサイトの作りには、依然として大きな違いがある。その違いのいくつかをピックアップしてみたい。
■ トップのプロフィール写真

企業の取締役や役員の情報に関するページは、作りの差が如実に表れる個所である。

たとえば、英語圏の某国の上場企業のサイトの役員に関するページにアクセスしたとする。役員の一覧のページから、社外取締役のX氏の項目を見ると、彼については以下のような説明がなされる。

Xは国内外の建設業界において30年に以上の経験を有している。この中にはロンドンのA社・オーストラリアのB社における副社長としての経験 および YYYY年からYYYY年までの [オリンピック開催地名] ・オリンピック組織委員会のCOOとしての経験が含まれる。
現在は、自らが設立したC社の会長であり…[中略] …。これら様々な経験により、Xは当社に重要な専門的知識をもたらしている。


このようなプロフィールとともに、X氏の「この1枚!」ともいうべきベストショットの顔写真が掲載される。その写真は、歯を見せているかいないかに関わらず、大抵は微笑みを浮かべたものであり、本人を一番良く見せるアングルで撮影されたものだ。真正面がベストショットの人間は結構少ないので、大体は左か右からのものである。中にはベストショットを求めるあまり、やり過ぎて実際の本人とのギャップが激しい「ネット詐欺」のような写真も、ときにはある。(かなり若い時の写真を使った そして/または フォトレタッチソフトで修正を入れた に違いない。)

一方、日本の企業のサイトに目を向けると、日本を代表する世界的企業であっても、日本語と英語のサイトの両方において、役員名一覧で済ませているものが多い。

多くのサイトでは、役員たちのプロフィールを知ることはできない。できたとしても「YY年MM月 XX部 部長」などといった、日本語の既成の履歴書の職歴欄に書かれるような情報のみだったりする。そのため、その人物の専門性分野や「実際にどのような実績を上げてきたか」は、それだけでは分からない。

写真は、全く掲載していない場合が多い。掲載してある場合も、正面からのムッツリ写真(硬派というよりは不景気顔)であったりする。「写真や写真写りといった外見にこだわるなんて愚の骨頂」とでも、主張しているかのようでもある。実は、この写真の有無と質が、わたしのフラストレーションが溜まるところだ。

そう、もちろん「『写真写り』や『顔』で仕事をするのではない」。が、彼らは企業の顔なのだ。だから顔が見えなければならない。そして顔を見せる以上、「ベストショット」を載せてほしいと、わたしは思う。

別に、無理やりつくった笑顔の写真をウェブに載せておけというのではない。たとえば、その写真をそのまま国政選挙の立候補者としてポスターにできるようなクオリティの写真 ― そんなものをアップしておいてほしいのだ。然るべき立場の人は40を過ぎてもいなくても、男であっても女であっても自分の顔に責任をもつものだし。

というところで、日本を代表する世界的企業である、パナソニックのサイトをのぞいてみた。パナソニックのサイトは典型的な日本企業のサイトの作りで、役員ページでは日本語のサイト英文サイトとも、名前の列挙のみだ。

が、そこは世界に名だたるパナソニック。日本語のサイトには、大坪社長についてのみ、履歴書的職歴のほかにプロフィール欄がある。英文サイトのほうには、プロフィール欄の代わりに社長からのメッセージがあるのだが、なんとそこに、日本語サイトにはない(仮にあったとしても役員情報からはみつけられない)大坪社長の写真がある。そして何とこの写真は、歯をみせての笑顔といい、アングルといい、完全にグローバルサイト向けのものである! (日本企業のサイトのフォーマットを固持しつつ、少々の修正を加えた例であろう。)