巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

IR情報としての「桑田佳祐に関するお知らせ」

2010-07-30 22:03:06 | 日記・エッセイ・コラム
ごく最近、日本中を駆け巡った、桑田佳祐の食道がんのニュース。桑田さんの所属事務所にアミューズのウェブサイトにリリースが載るや否や、仕事先で隣に座っている男性がそれを見つけて言った。

「これって、やっぱり投資家情報に載せることが必要なんでしょうか?」

そう、ファンにとっては「ショッキングで重大なお知らせ」だが、投資家からみれば紛う方無き重要な投資家情報だよ。人間をモノに例えるのは好きではないが、いうなれば上場企業の売れ筋商品に瑕疵が生じたということ。投資家の皆様の投資判断に影響を与える重要な情報であり、これを隠していて「桑田佳祐の病気のことを知らなかったから株を買ってしまい、最終的に損した。知っていたら買わなかったのに」なんてことで、法的手段に訴えられでもしたらたまらない。株価が下がるかもしれないとわかっていてもきちんと公表してこそ、株主や投資家の皆様の信頼関係が得られるというもの。

このことはすなわち、桑田さんのように売れていてその事務所の業績を大きく左右する芸能人の場合には、所属事務所が上場していなければ病気のことを伏せることも、病名 and/or 病期(ステージ)を偽ることも可能だ(といっても、いつの間にか週刊誌が暴露してしまう可能性がある)が、上場企業だとそういうことが出来ない、ということを意味する。

ということは、最近では少数派になった「ショックを与えるといけないので、本人には告知しない」「告知したが病状(や病期)を実際よりも軽く偽る」ということも、できないということだ。IR情報に載せておいて本人に 知らせない/知られない なんて無理だからなぁ。


夏だ。あせもだ。汗疱だ。

2010-07-26 21:33:35 | 美容と健康
ここ3年、夏の足の裏の汗疱が収まってきたわたし。(汗疱に関するかつての記事は5年間に書いた「カンポ、カンポカンポ、カンポウ(汗疱)!」から)。よくなってきたのは、どうも歳をとったせいらしいのだが、ともかく夏に、足の裏に紛らわしい痒さがないのはよいことだ。(前向き!)

しかし、ここ2年ほど仕事の関係で、夏になると、手のひらが汗疱で痒い。原因は、昼間はずっとノートパソコンのキーボードの上に手があるから。ノートパソコンが発熱し、キーボードのあたりにも熱がこもって、それゆえに手のひらに汗をかくかららしいのだが、汗が手の表面に出ず皮の下で止まって水泡ができている。これが痒いのなんのって。特に親指のつけ根の膨らみや手首に近い箇所に頻発し、ときどき水泡をこっそり針で刺してしのいでいる。

さて、今年のあせもは胸にきた。ブレストフォームの下になるあたりだ。

いくらブレストフォームを収めるカバーや専用のブラの素材が肌にやさしく、吸湿性があり風通しが良くても、問題のブレストフォームは、分厚くて大きいシリコンの塊なので全く通気性がなくて蒸れるのである。(健乳の皆様でこの感覚を疑似体験したい方は、蒸し暑い日に1日中ヌーブラをつけていると、このうっとうしさがわかるかも。)このため、シリコン製のブレストフォームを嫌って、布でできたもっと軽いものを使う人もいるのだが、私にはこのシリコンのブレストフォームによる適正な重さが必要だ。

手術痕があるあたりのあせもは発見が遅れる。手術時に神経を傷つけたせいか、時には胸に神経痛のような痛みが走るわりには、皮膚感覚はいまだに鈍い。というわけで、痒さはあまりないのに、気がついたときは片側の胸のみが真っ赤っ赤。

こういうときには、かつてnagarazokuさんが教えてくれた「タクトワイトL」を塗布する。そしてさらに荒業。胸に冷えピタを貼りつけ、数時間ごとに取り換える。ジェル部分が温まってしまうと、かえって逆効果なので要注意。

胸が冷たくないかって? 先ほど述べたように神経を傷つけたせいで皮膚感覚が鈍くなっているので、実は冷やりとした感覚が感じられるのは、貼りつけ時のほんの一瞬のみ。


「ネットによる選挙運動は、候補者に機会の平等を与えるか?」についての雑感

2010-07-25 22:49:31 | インターネット (CMC)
シロウトのわたしの目には、ネットによる選挙運動に必ずしも候補者に機会の平等を与えるものではないように見える。

思うに、その候補者が現役の議員か、議員ではないがもともと知名度があるか、インターネット利用に潤沢なお金and/orマンパワーをかけられる候補が有利になりそうだ。3つ目の「潤沢な…マンパワー」というのは、純粋に候補のために頑張ろうというボランティアも含まれるが、わたしがここで言いたいのは、そういうマンパワーを動員できるお金や組織持っている人のことだ。

しかし、ともかくネットによる選挙運動は解禁しなければならないだろう。

「わたしみたいにお金も知名度のない候補が全国区で戦うには、マスコミで取り上げてもらうか、インターネットを使うかしかないんです。」

と、齢30歳の某候補が、選挙運動に何回もかかわってきたその党のベテランたちを前に主張したのは、9年前の参議院選挙でのこと。そういう候補の主張に、これまで数々の選挙を手伝ってきたベテランたちは怪訝そうな顔をした。「マスコミはともかく、インターネットってどうよ?」

怪訝な顔の理由は、彼らがメールを除いてネット関連にほとんど手出しをしない世代だったからというだけではない。候補者が選挙に利用できるメディアは限られており、その中にインターネットは入っていないからだ。しかし知名度のない人間が比例区から立候補する場合、ほかに何か手があるのか? なにしろ比例区の候補として全国津々浦々を回りたくても、先立つ旅費・交通費がない場合もある。

取り急ぎ、候補の身内の知り合のウェブデザイナーに破格値でサイトの原型を作ってアップしてもらい、その後は、その候補と同じ院ゼミに属していた関係でその選挙を手伝うことになったわたしが、修正とアップデートを担当することになった。が、このサイト問題は、選挙が終わるまでわたしの偏頭痛の種であった。

頭痛の種の理由の一つはもちろん、候補者のサイトに選挙期間より前に具体的なこと(たとえばどの選挙にどの選挙区から出るか)を書くと「事前運動」になってしまうのに、選挙期間に入ったらサイトの更新が一切できないこと。そして、もう一つ頭の悩ませどころは、今でいうところのSEO(サーチエンジン最適化)をどうするかということだった。

後者に関するわたしの嫌な予感は的中してしまい、こっちは必死にMetaタグをいじったり、当時の日本の代表的なサーチエンジンすべてに対して、カテゴリー検索でのサイト登録の手続きをしたりしたのに、gooがサーチエンジンの検索結果にやっとサイトが出るようになったのはサイトをレンタルサーバーにアップしてから3週間後。当時日本人のほとんどがサイト検索に使っていたであろうYahoo!検索では1ヶ月経ってもサイトがヒットしない。ついには「Yahoo!の上層部に知り合いはいませんか? いたら、その人にお願いして検索結果の上位に来るように…」という話になりかかったりもした。選挙ポスターにURLを入れておくのが「ITに強い候補」としウリになると思っている人がいた時代の話である。(念のために書いておくと、当時Googleは存在していなかった。)

ところで、選挙におけるネット解禁の問題というと、「サーバーの安定性」とか「成りすましをどうやって防ぐか」といった方面に議論が行きがちだけれど、わたしが考える最大の問題点は、最初のほうで書いた「やろうと思えばどこまでも金と時間と労力を使って大がかりなものを作ることができてしまう」という点だと思う。

現状の選挙制度で合法的に使用できるメディアは、大きさと枚数が限られた選挙はがきや・選挙チラシ・ポスターと、そして政見放送に該当演説等。この中でできることは、金をかけようがかけまいが限られている。

それに比べてネットは、何千万円もお金をかけて作る充実したものや凝ったものから、素人がとりあえず無料のレンタルブログを使って作ったものまでの広範囲が、「候補者のホームページ」になりえる。金があれば、専門のコンサルティング会社を雇って「好ましく受けが良くて、読んでもらえるものは何か」を戦略的に判断してもらい、ネットによる発信を重視する大手企業のサイトに匹敵するようなサイトを作ってもらえる。SEO対策ひとつにしても、それを専門としてコンサルティングが存在する。(関連業界のコンサルタントの皆さんには、いろいろとおいしい商機が存在する。)

「お金をかけたものではなくても、見かけがそれほど素晴らしいものではなくても、真摯で素晴らしい主張であれば、みんなが読んでくれるはず」という意見もあるだろう。しかし、画面でそのようなものに目を通してもらうのは、紙での主張以上に難しい。パット見でアピールできなかったら、数秒後にはクリックで別のサイトに飛ばれてしまうだろう。そんなものでもきちんと読んでくれるのは、その候補の元からの支持者か、逆に重箱の隅をつついて揚げ足取りをしようと意気込むアンチあたりだろう。あるいは、候補者が何らかの問題を起こして、良くも悪くも一躍注目度がアップしてしまったときも熱心に閲覧してもらえそうだ。

これらの理由ゆえに、ネットによる選挙運動は、それほど簡単に候補者に機会の平等を与えるわけではないと、わたしは考える。とはいえ、ネットによる選挙運動を認める際に「公式サイトのデータはXX GBまで」「サイトの全ページ数はXXページまで」「Twitterは禁止」なんて規制を加えるのも無理そうだし、第一どんな規制を作っても抜け道はあると思われる。

ともあれ、ネットによる選挙運動はある程度解禁しなければならないだろう。その理由は、消極的な理由だが、目立つ形でネットに意見をアップすることが簡単にできるようになった結果、今の制度のままでは選挙期間中に集中的にネガティブキャンペーンをすることが可能で、それに対する対抗手段が候補者側には少ないという、不公平が生じているように感じられるからだ。

先の参議院選では、選挙期間中に複数の候補者のネガティブ情報がネットにアップされた。これらの情報の真偽のほどは知らないが、同一のネガティブ情報が複数ブログへほぼ同時に書き込まれ、これらの記事には相互リンクが貼られていた。

最近のサーチエンジンは検索結果に表示されるブログの順位を下げる方向にあると聞いているが、それでも依然としてブログの各エントリーはサーチエンジンに認識されやすい。そしてこれらの記事にブログ間のトラックバック/相互リンクがあるため、サーチエンジンでは順位が上がりやすくなっている。その結果、選挙期間中にこれら候補者の名前を入れると、複数のブログの全く同じネガティブ情報が、検索結果の上位に表示される状態にあった。

こうしたネガティブ情報は、ときに擬似的に「客観報道」の形式をとっているものもあり、「だから、投票するのならこんなX候補ではなくY候補に入れるべき」なんて書いてあるものでなければ、事実を書いたのか嘘であるのか、あるいは個人の意見の自由の範囲で書いたのか明確にネガキャンをするつもりで書いたのかの判断を選挙期間内につけて、解決まで持っていくことは難しい。

一方、選挙期間中の候補者サイドには、今のままではこうしたネガキャンに対抗する手段はない。誰かが自分のブログに「X候補はそんなことはしていない」などと下手に反論を書こうものなら、選挙期間中の文書図画の頒布の制限に引っかかってしまう可能性がある。この点は、選挙期間中に候補者たちがネットを利用できるようになれば、ある程度は解決されるだろう。選挙期間中のネット上での中傷合戦が激しくなる可能性もあるが。

とはいえ、今回の選挙で見られたネガティブキャンペーンが、果たしてどれだけ効力を発揮したのかはよくわからない。今回の選挙では、そのようなネガキャンの憂き目にあった候補者の一人である有田芳生氏が、民主党の比例代表の候補としては、もっとも票数を集めたからである。ネガキャンが効いて票を失った結果が373,834票なのか、ネガキャンが効かなかったから373,834票なのか、どちらなのだろう?


*「博士後期課程でcomputer-mediated communicationをテーマにしていたのに、自分を『シロウト』にするとはなにを言っている?」とお叱りを受けそうだが、大きく分ければ同じCMCの範疇ではあっても、その中身においては「外科」における「整形外科」と「美容外科」の違いぐらいある。その意味でわたしはシロウトに他ならない。

*とはいえ気をつけないと、お金をたっぷりとる専門のコンサルティング会社(自称)が実は単なる天下り先のための組織であって、支払った大金のほとんどが天下り組の報酬に行ってしまって、実際の仕事の部分が安値は下請けに横流しされているだけという事態も発生しうる。最悪の場合、末端で実際にWebの制作にかかわっている孫請け・曾孫請けの会社では、最低賃金に近いのに「裁量労働」ゆえに残業代なしか時給800円相当の派遣社員が、疲きった状態で作っているのかもしれない。こうした場合に支払った高額の対価に対して実際の成果物の出来は…(以下略)


自分の体についてン十ン年後にわかった事実

2010-07-11 17:58:56 | 日記・エッセイ・コラム
五十肩になった。右肩が痛くて肩が十分に回らないのが、左肩もそうなりそうな気配である。おまけに、乳がんの手術により体の前後左右の重量バランスが崩れたらしく、靴の底の減り方が変になったと思ったら、左脚の付け根まで痛くなった。いや、この歳になると、まずはまずは膝の関節が痛みだすはずだと「日経ヘルス プルミエ」(40代・50代の女性向けの健康雑誌)も言っていたはずなのだが。まぁ、ともかく

整形外科へGo!

「いゃー、右肩がこちこちだぁ」と、言っていた先生が両肩のレントゲンはそこそこに、股関節のレントゲンを見るなり、「ご家族に股関節が悪い人はいませんか?」と聞いてきた。

あ、なんだかとっても嫌な予感。 "I have a bad feeling about this." (質問:このセリフが必ず出てくる映画シリーズは? 答えはこのエントリーの最後に)

かつて一度だけ、人工股関節がらみの英語のお仕事をしたことがあって、その分野ではあくまでも素人ではあるものの股関節と大腿骨の周辺のレントゲン写真や図を大量に見せられた経験があるわたしが見ても、健康な方の標準形とちょいと違う。すなわち

大腿骨の骨頭を受ける股関節の屋根(臼蓋(きゅうがい))が小さい!
こんなこと今まで知らずに、脚の付け根が痛くなるたびに鎮痛剤を飲みつつ、運動量を増やすなんていうバカなことをしていたのか。それも20代のころから延々と。

なぜこんなバカなことをやってきたかというと、脚の付け根が「痛い」というと、アスリートな母に決まって「怠けているから」とか「運動不足だから」と糞みそに言われてきたものだから、自分でも根拠なく勝手に運動不足だと考えてしまったのだ。時には脚をほとんど引きずるようなことになっても我慢して、運動をしてきたわけ。ああ、逆効果。

実は、母方の家計には股関節の臼蓋形成不全が多いらしい。わたしが生まれた当時、母の従姉妹や従姉妹が生んだ女の子の中には先天性股関節脱臼になるものが頻出し、うまく歩けずに長い間病院にかかったり、大人になってから股関節の手術をしたりしなければならなかった人が複数いた。

ただでさえ先天性股関節脱臼は、当時(昭和30年代よ!)の日本の赤ちゃんと赤ちゃんを育てる親にとっては大きな問題だった。赤ちゃんの脚を無理やりまっすぐにさせる当時のおむつの形状が先天性股関節脱臼の大きな原因のひとつとなっていたためである。(「先天性股関節脱臼」という名称だが、実は生まれてからなるほうが多い。)とくに女の子には、その骨格から先天性股関節脱臼になりやすかった。それに生まれつきの股関節の臼蓋形成不全が加わればどうなるかは想像がつく。

心配になった母は、複数の病院に赤ん坊のわたしを連れて行き、わたしが先天性股関節脱臼ではないかどうかを何回も調べてもらった。どの病院でも「大丈夫」とのお墨付きをもらい、母はほっとした。医者のお墨付きを得たからこそ、母はわたしの股関節には全く問題がないと信じてきたし、その話を聞いていたこわたしとしても、自分の股関節には全く問題がないはずだと思い込んでいた。そして赤ん坊であるわたしの健康上の問題の焦点は、気管支喘息を含むかなり重度のアレルギーのマーチへと移っていき、股関節のことは忘れられていった。

(余談だが、当時は小児麻痺も大きな問題となっており、心配性の母はどこかで「ポリオワクチンの接種がある」と聞けば、わたしを背負ってせっせと接種場所へ通った。おかげで、わたしはポリオワクチンを所定の回数より多く飲んでいるらしい。)

整形外科との話に戻すと、情けないことを言われてしまった。
「今のままだと、この先10~20年ぐらいたって、年とともに体重が増えて脚への負担が大きくなっていったら、歩けなくなる可能性がありますよ」と変形性股関節症の可能性を指摘されて、シュン…

先生が進める日常の予防策は、「体重を増やさないこと」と「水泳」。実はこの2つは、乳がんの手術の体験者が受けるアドバイスと、うまい具合に一致している。とりあえずBMIは現状の18.5~19.0(約52kg~53kg)を維持し、水泳はまずは手術体験者用の水着とブレストフォーム選びから。何しろ推奨スポーツだから、乳がんの手術体験者専用の水着と水着用のブレストフォームというのが、市販されているのである。

ちかごろ股関節が痛い、そこの中高年のあなた。「もう歳だから仕方がない」などと言わず、とりあえず整形外科へどうぞ。

(質問の答え:『スターウォーズ』。なお、『インディ・ジョーンズ』の一部でも似たようなセリフが出てきたことがある。)

ブラトップの改良が、わたしには裏目に出た

2010-07-11 14:35:36 | 日記・エッセイ・コラム
初めにお断りしておくが、これから書くことは、ユニクロのブラトップの2010 年バージョンの改良に対する批判ではない。


乳がんの手術を受けた女性の間で、ユニクロのブラ類は以前からかなり高評価であった。どのような手術を受けたかのにもよるが、寄せてあげて胸元の谷間を強調するワイヤー入りの分数カップ(=ここでは、フルカップではない3/4や1/2のカップのこと)のブラが全盛の中、ノンワイヤーでありながらモールドカップで全体の形を整えてくれるブラを(それもスポーツブラ以外のものを)、かなり早くから良心的な値段で提供してきてくれたからである。

この手の手術を受けた者には、ワイヤーの入ったブラはつらい。しかしワイヤーなしのブラには胸の形の矯正力が弱いものが多く、手術をうけたからこそ胸の外見上の形を整えたい女性には不満足な作りのものが多かった。このような状況の中、ユニクロのノンワイヤーブラの一部は、しっかりしたモールドカップのせいで、中にいれる詰め物(ブレストフォーム、お手製のパッド、時にはハンカチ等)の形にはあまり関係なく、上から服を着てしまえばわからない程度に補正されるのである。

とりわけ、ブラトップはかなり評価が高い。その理由は大まかにいうと、3つある。

  1. ブラ部分はワイヤーのないしっかりした安定感のあるモールドカップ(ワイヤーありタイプもあるが)で、健側と患側両方の胸の形をかなり整えてくれる。

  2. デコルテ周辺はブラ部分とキャミソール部分が離れているため、ブラ部分だけでは少々谷間の形が変になっても、あるいは多少ブレストフォームの端が飛び出しても、キャミソール部分がそれを上から隠してくれる。

  3. キャミソール部分は丈がある。これで、手術を受けた側のブラのずりあがりを抑えてくれる。


3について説明すれば、ブラのずり上がりを防止しているのは、サイドベルトやアンダーベルトの締めつけよりも、実は胸の膨らみそのものによるところが大きい。胸のカーブがカップのカーブとあっているからこそ、ずり上りが起きないのであって(コンタクトレンズが所定の位置で収まっているのと似たようなもの)、たとえば手術で全摘をした胸には何の引っ掛かりもないので、そのまま上にずれまくる。ただ上にずれるのではなく、わたしのようにもう片側の胸が残っている場合は、全体が健側の方向へ斜め上にずれていく。このずり上がりを、丈のあるキャミソール部分で、ある程度まで押さえることが可能なのである。

さて本題だ。今年のブラトップでは、ユニクロによれば3つの改良がなされている。

BRA TOPの3つのNEW

NEW1 安心感もさらにアップ!
カップ上部分全体を本体とストラップに直接つなげ、上から胸を引き上げました。バストラインをより美しく、安心感もさらにアップ!

New2 様々な胸の形にフィット!
カップはより軽く、ソフトな付け心地にしました。内側の吸湿速乾機能はそのままに、様々な胸の形やサイズにもきちんとフィットします。

NEW3 シルエットがきれいに!
サイド部分を二重構造にしました。シルエットもきれいに、サポート力もアップ。


この「3つのNEW」のうち上の2つが、わたしのような手術を受けた人間には、少々つらい結果をもたらすことになってしまった。

まず、上に引き上げる力が強くなった結果、カップのずりあがりが激しくなった。本人の胸であれば「持ち上がる」といっても、胸は皮膚にくっついているのだから、上昇率(?)もたかが知れている。が、胸の形と体全体のバランスを強制すべく胸のあたりに入れているブレストフォームは皮膚から離れているため、引き上げの力に負けてどんどん上がって行ってしまう。その結果、下手をするとカップ部分がキャミソール部分より上に出てしまう。

また、カップがソフトに「様々な胸の形やサイズにきちんとフィット」するようになった結果、ブレストフォームその他の詰め物による変形にもフィットするようになってしまった。そのため、両側の形に違いがあった場合、それが従来モデルよりもはっきり出るようになってしまった。

また、説明に具体的に書かれてはいないが、今回のリニューアルでは、ワイヤーこそ入れていないものの、カップを従来のフルカップに近いものから3/4に近い浅いものにしたようである。この浅いカップと構造上の引き上げる力の強さで谷間を作って胸をきれいに見せようとしているらしい。が、この浅いカップで引き上げというのは、「引き上げるもの」が皆無となった人間にとっては、とてもつらいのである。さらにその浅さゆえにブレストフォームのはみ出だしが大きくなるという結果にもなっている。

というわけで、以前よりブラトップのファンであったわたし(その入れ込みのほどはコチラのエントリーで)は、今年モデルも数枚購入したものの、結局は昨年のモデルを着用している。

もちろんブラトップは、サイズはともあれ両側とも健乳の女性のためにデザインされているものである。だからユニクロはわたしの不満など考慮しなくても良い。ただ、わたしと同じような手術を受けた女性の多くは、ブログなどやあるいは体験者同志の口コミから、ユニクロのブラトップの購入を考えるだろう。そのための参考として書いておく。

ちなみに、手術前は、ワイヤー入りの3/4カップないし1/2カップのブラ、ユニクロのワイヤーなしのブラとブラトップを持っていた。手術後ブラトップは全部生き残り、特に手術後の最初の3か月間はブラトップのみに頼ることになった。ノンワイヤーのブラは一部生き残り、そして


ワイヤーの入っている分数カップのブラは全滅した。