巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

ほんとうに成分献血ができない体なんですぅ…

2004-07-31 16:06:09 | 日記・エッセイ・コラム
50times.jpg日本赤十字社が成分献血を始めたころに、わたしは成分献血登録をしている。でも今は成分献血はしない、というよりできない。以下は、「自分の体は成分献血に向いていない」と悟った顛末…

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いまから15年ほど前のある日、日赤から電話が入った。

「血小板成分献血をお願いします。N大病院の5歳の男の子が白血病で…」

当時、その子とHLAが一致する成分献血登録者は、都内ではわたしを含めて二人しかいなかった。そしてもう一人とは連絡が付かなかった。

わたしは勤め先の上司と同僚の不興を買いながらも、当日の午後に無理やり半休を取って、指定された駒込の血液センターに駆けこんだ。問診の医師と三人の看護婦の歓迎を受け、さっそく健康診断にはいった。

当時はまだ成分献血の体への影響がわかっていなかった部分もあり、通常の問診のほかに、心電図などを測る必要があった。また、成分献血黎明期を感じさせる話だが、めでたく献血を行なった暁には、担当医師や看護婦たちと一緒に記念撮影をした写真が血液センターの壁に貼りだされるほか、「成分献血記念」の品がもらえるという特典があった。

さて、わたしは診断でひっかかってしまった。当日のわたしの最高血圧が80台で、成分献血の基準を満たしていなかったのだ。全員が真っ青になり、しばし沈黙が続いた。なにしろ、血小板を受け取る日大病院側は、すでにスタンバっているらしいのだ。

看護婦の一人「先生。成分献血は、全血よりも体への負担が少ないはずですよね。」
担当医師「いったんは400ml近い血液が、体外に出るんだよ。医師として成分献血は勧められないよ。」
私 「(おずおずと)あのぉ… わたしが献血できなかった場合に、相手の男の子はどうなるのでしょうか?」
看護婦・医師「…(無言)…」(看護婦3人が、すがるような目で私を見つめる)

子供のころのわたしは、入退院を繰り返していた。同じ部屋の子供たちは、いずれもかなり重症だった。(結局、そのなかの何人かは、大人になれなかった。)当時の同じ部屋の仲間たちの記憶が、会ったことのない5歳の男の子に重なった。

なに、血圧が低いのは生まれつきだ。ここで引き下がったら女じゃない。どうせ副作用といったって、貧血を起こしてぶっ倒れるぐらいだろう。

そう思ったわたしは自己責任での献血宣言をし、大喜びの看護婦たちは、早速日大病院へ連絡を取り、私の昼食がまだ済んでいなかったことを聞くと、出前の月見うどんを取ってくれた。看護婦の一人がうどんにたっぷりと七味唐辛子を振りかけて、わたしに出してくれた。(「辛いものを食べれば、少しは血圧が上がるかもしれないから。」)

医師が通常よりゆっくりと採血をするように指示をだしたために、採血そのものに2時間を要したが、医師が心配したような事態は何も起こらなかった。少なくともそのときは。

が、身体的な異変はその日の夜にやってきた。肘や膝の内側、首の周りをからとつぜん始まったかゆみが全身に広がり、全身が真っ赤になった。アトピー性皮膚炎の大噴火が、約10年ぶりに来たのだ。そしてこのアトピーが8割がた治まるのには、約1年を要した。

成分献血で抗凝固剤として使われるのはクエン酸だ。だから、成分献血をするとこのクエン酸が血液中に入ってくることになる。しかし、アトピー性皮膚炎と血液中に入るクエン酸の間に、因果関係はないはずだ。

だが3回も、それも異なる季節に成分献血をした後に同じことが起こると、これはどう考えても因果関係があるらしいと考えざるを得なくなる。しかも成分献血をするごとに、献血からアトピー性皮膚炎の大噴火までの時間間隔が短くなっていく。献血による貧血や体調不良なら耐えることができる。でも、その後数ヶ月から1年にわたってアトピー性皮膚炎に悩まされるのには、我慢できない。

ついに、3回目の成分献血後、アトピー性皮膚炎で真っ赤になった顔と、ニワトリの肉垂れのような色になった首を鏡で眺めながら、ついに自分が成分献血には向いていない体質だと悟った。

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成分献血ができない! 頭にきたわたしは、骨髄バンクができるや否や、「血漿と血小板がダメなら、骨髄液があるさ。白血病には骨髄移植だ」と、勇んでドナー登録に行ったが、自分がドナー要件を満たしていないことに気がついた。考えてみれば、「病気のデパート」とはいえないまでも、「病気のパパママショップ」ぐらいは名のれるのだ。わたしのような人間がドナーになって万一事故でも起こったら、骨髄バンク事業の将来にマイナスの影響を与えてしまうのだ。


さて、その後の献血は、全血献血にしてもらっている。毎回こちらからリクエストする献血量は400mlだ。体調の良いときにのみ行くので、それだけ抜かれても通常は何も起こらない。400mlの血液を抜かれても平気なのに、成分献血ができないなんて…

他のアトピーの人に聞いても、成分献血でアトピーが悪化したことのある人の話は出てこない。むしろ「成分献血は体にやさしいので、アトピーで献血をしたい人は、成分献血がお勧め」と言う人のほうが多いぐらいで、これはおそらく事実だ。そして、あげくのはてには、「精神的なものじゃない?」と言われたりする。

誰にも理解されない… こんな体質いやだぁぁぁぁぁ!

ちなみに、「"辛いものが血圧を上げる"というのは、俗説だ」というのは、本当だった。たしか七味唐辛子大量盛りの月見うどんを食べる前も、食べた後も、最高血圧は86だったと記憶している。(食後に、期待に満ち満ちてわたしの血圧を測った看護婦さんの、落胆ぶりったら…。)

[写真説明:献血50回記念の記念品。全血献血中心、しかもここのところは400ml献血が中心なので、成分献血と異なり回数はこなせない。]



あらあらかしこ・あなかしこ

2004-07-30 03:01:31 | ニュース
高3、「拝啓」正しく書けたのは2割…学力テスト (2004年7月27付読売新聞)

 高校3年生の全国一斉学力テストで、手紙の書き出しの「拝啓」を正しく書けた生徒が2割にとどまっていたとして、文部科学省の国立教育政策研究所は27日、「実用的な文章を授業で取り上げるなど、社会人として必要な言語能力の育成」の必要性を指摘した報告書を公表した。
(中略)
…基礎を育成するため、「学習が日常の言語生活に実際に役立つように、場面設定を工夫する必要がある」としている。
(以下略)
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20040727it13.htm


いや、高校生で正しく書いた人が2割もいれば、上出来かもしれない。手紙の文体は、日常の話しことばはおろか、一般的な書きことばとも乖離しているから、手紙文の書き方を集中的に授業で扱わない限りは、覚えにくいと思う。

ほとんどの人が、頭語と結語の組み合わせをきちんと覚えるのは、社会人になってから必要に迫られ、「社外文書マニュアル」や「ビジネス文書の書き方」などを読んだときではないだろうか。でも「拝啓」/「敬具」(以下すべての頭語と結語に複数の種類あり)、丁寧な手紙には「謹啓」/「謹白」、前文省略の手紙には「前略」/「草々」くらいはさっと言えても、返信の際の頭語「拝復」や、再信の際の「再呈」「再啓」は知らない人は、イイオトナにも多い。

ところで、「日常の言語生活に実際に役立つように、場面設定を工夫する必要がある」学習になったとして、「あれ」を国語教育で教えてくれるのだろうか? 「あれ」を?

ここでいう「あれ」とは、女性手紙文の書き方のことだ。頭語も結語も、時候の挨拶も男性手紙文とは異なる。最近は女性でも仕事で手紙を書くことがあるので、会社においては男性と同じ「拝啓」「敬具」を使うことが多い。だから男性手紙文の頭語と結語を知っておくことは重要だが、ビジネスを離れた手紙となると、いまのところは女性には女性手紙文の書き方が標準だ。そして世の中の半分は女性だ。

これがどのようなものかというと…

まずは、漢字二文字の頭語は女性らしさがないので、女性の手紙文では避けるべきということになっている。
「拝啓」/「敬具」には「一筆申し上げます」/「かしこ」を使う。
「前略」/「草々」には、「前略ごめんください」/「草々」「あらあらかしこ」「かしこ」を使う。
「謹啓」/「敬白」には「謹んで申し上げます」/「あなかしこ」「かしこ」だ。

「あらあらかしこ」? 「あなかしこ」? 

さすがにこの2つの結語は現代文では浮きすぎているので、今ではすべての結語を「かしこ」とすることが多いが、大体「かしこ」ですら、なんだかおかしい。齢67の母ですら「中学を卒業したばかりのとき、知人もらった手紙の最後に『かしこ』をみたときは、この人が自分の名前を間違って書いたのかと思った。」とのたもうた。(その知人の名前は「としこ」であった。)

そして時候の挨拶も「○○の候」と、書いてははいけない。それは男のことばだからだ。そこで「酷暑の候」ではなく、「厳しい暑さが続いておりますが」と書き換える。

さて、仕事では男性手紙文のルールに従いつつも、ときには「女性性のカケラ」をにじませる文章を書くわたしは、私人としてかなり年配の方に正式な手紙を送る場合には、女性手紙文のルールに不承不承従う。

暑さ厳しきおり、お体おいとい遊ばしますよう かしこ


はっきりいって気持ちが悪い。自分の性格を文体のあまりのギャップを考えると、蕁麻疹が出そう。その文体がかもし出す雰囲気は、たとえてみれば男性の作詞家による女心を歌う演歌、または歌舞伎の女形のしぐさだ。「実際の女らしさ」ではなく「(男性が心に描く)イメージとしての女らしさ」が出ているように感じられるのだ。

そういえば、1970年代の後半に生まれてはじめて買った「女性手紙文の書き方の本」には、恋人への手紙の文例として、こんな文が書かれていた。

「いやいや、○○さん(恋人の名前)の目。ぎらぎらして、わたしこわい。」

「ぎぇー、女はこんな文章は書かないだろ」と、高校生だったわたしは思った。当然ながら、その本の著者は男性だった。

(物知らずといわれるのもシャクなので書かせてもらうと、「かしこ」は「賢・恐・畏」のこと、「あらあら」は「粗粗・荒荒」ということは知っている。)


Movable Typeをインストールしてみたのは…

2004-07-29 16:37:56 | インターネット (CMC)
test_blog.jpg10日ほどまえに、Movable Type 3.0 Developer Edition 日本語版を、レンタルサーバー上の自サイトにアップして、がちゃがちゃいじりはじめた。

わたしの使っている用途においては、Type Padを元にしたブログ人のブログの仕様そのものに大しては、大きな不満はない。唯一の大きな不満(あるいは、あまりにもすっきりしないモヤモヤ)は、「ブログ人のランキングを考える」に書いたように、ブログ人のランキングとランキング方法に関するものだ。

世の中、ランキングがあるところには、その順位と評価方法をめぐってかならずトラブルがあるようで、ブログもまた例外ではない。例えば、goo Blogにて、「アクセスランキング」で検索してみると、goo Blogのランキングにも、疑問を持っている人がいることがわかる。もっとも、「ランキングに載るよう、がんばります」と書いている人も多いので、アクセスランキングが多くのブロガーの励みになっていることもたしかだ。

しかし、わたし自身はアクセスランキングというものが、あまり好きではない。そこで、このブログのデータをランキングのないところに移すことを考えて、今回Movable Typeをインストールしてみたわけだ。

さてインストール自体は簡単だった。開いて見たところ、かなりカスタマイズしがいがある仕様だ。そして、すでに「巣窟日誌」で蓄積したデータを移す前に、かなりやらなければならないことがありそうだ。基本的にはこういうことは大好きだ。

…なれど、残念ながらその時間がない。以前も、カスタマイズできることがウリの掲示板のYaBB(=Yet Another Bulletin Board、Yahoo BB!のことではない)をほったらかしにし、おまけに実験に使った英語版は、誤ってデータもろとも消してしまった。日本語化パッチをあてた日本語版はかろうじて動いているが、もはや死に体である。この轍を踏んではいけない。

…というわけで、自サイトで立ち上げた最初のブログは、しばらくはMovable Type練習用として使うこととし、ブログ人のがランキング(特にアクセスランキング)をどのように扱っていくかの様子を見ながら、「巣窟日誌」を更新していこう。ランキング問題さえクリアすれば、わざわざ引越しをする必要もないし。

さて、

 質問:ふくしまさんのブログは
     何でランキングに載っていることがあるんですか?

 ふくしまの答え:
     それはね。一番お高いジャンプコースにつき、
     1260アクセス/日が加算されるんですよ。

って、冗談だよ。冗談。

このユーモアを「つまらない」以外の理由で笑えないあなたは、ランキングで嫌な思いをしているのかも…

(ちなみに1260とはジャンプコースの月額税込価格の数字)

[追記:気を悪くされたら申し訳ない! Blogzine運営事務局さんには、何の恨みもございません。それどころか週刊粋人観察に載せていただき、感謝しております。]


「ネコ」ポリス その38

2004-07-28 15:55:07 | ノラネコ
cat_38.jpg

午前中は、わが家の西側にある玄関の外で眠り、午後はずっとこのように、よしずの影で昼寝と手入れで過ごす。夕方になれると出てきて、まずは、近くの公園にくるヒトからエサをもらい、その後は明け方までネコ同士のコミュニケーションにいそしむ。この生活パターンが続いて2ヶ月。規則正しい生活、いい描生だ。

1日の大半をわが家の庭ですごしているため、知らない人がみると、まるでふくしま家の外ネコにみえるが、あくまでもノラであって、エサをあげたことはない。

彼(オスネコである)は警戒心が強い。ヒトの動きをいつも注意を深く見ていて、彼への日ごろの扱いによって安全距離を変える。わたしに対しては、近づいても約2mの距離を保っている。彼が「襲ってはこないが、えさもくれないヒト」に対してとる距離だ。(この写真をとるために約70cmの距離に近づいたので、警戒気味の顔をしている。)

見知らぬ人がわが家に来ると、彼はその様子をうかがいに現れる。訪問者によっては「まぁ、猫がいるわ。お宅の猫?」という話が玄関先で展開する。そんな話がわかるのか、その間、彼はわざと訪問者の目につく場所を行ったり来たりしている。警戒心も強いが、好奇心も強いのだ。



明治宇治金時

2004-07-27 02:06:24 | 
uji_kintoki.jpg夏の定番のアイスでは、わたしとしては明治乳業の「宇治金時金時練乳入り」が一番。これは8本いりで宇治金時(抹茶味)が4本、金時(あずき味)が4本入っている。

特に先端部分の、「練乳のカタマリ!」という感じの部分が絶品。その後はシャリシャリ感が続く。

uji_kintoki.gif練乳部分は溶けやすい。仕事中にこれが差し入れられたので、みんなで食べていたら、おしゃべりに夢中になりすぎて自分が手にしている宇治金時への注意をおこたった人間が、この先端部分をポロッっと落とした。

大の大人が「この部分が、いちばん好きなのに…」と、泣きそうになっていた。わかるよ、その気持ち。