数年前務めていた会社は英国系企業の日本法人だったが、英国の本社はロンドン証券取引所に上場していた。この本社はあまり業績が振るわず、長らく株価が低迷していた。
ある年、黒字決算を発表したにもかかわらず、株価は経営陣の期待したように上向きに動いてくれなかった。
「黒字なのに株価が安い=この企業はお買い得」
こうなると、ライバル会社がTOB を行ない、本社に対して敵対的買収をしかける可能性が高くなる。恐れをなした本社の経営陣は、株式を非公開にすることを決めた。そこで、ベンチャー・キャピタル企業の支援を得て、MBO(マネジメントバイアウト)を行なった。MBOは成功裡に終わり、本社はめでたく非上場になった。
(株式の非公開化については、大和総研の「株式非公開化という戦略」という記事が参考になる。)
このとき日本法人の従業員の多くは、この様子を他人事のようにみていたと思う。しかし、わたしや同僚のAさんらは、危機感をつのらせていた。
「ベンチャー・キャピタル企業だって、善意で投資しているわけではない。利益が出ないとなれば、あるいは自分たちの金になると思えば、本社をさっさと売り払うだろう。そうなると、この日本法人なんかは、一番ミジメな売られ方をするのではないだろうか…」
わたしは、その後ほどなくこの日本法人を辞めた。が、その後しばらくして、この企業はAさんの予想どおり売られてしまった。相手は米国に本社を持つライバル企業だった。この米国系企業にはすでに日本に資本提携している企業があったため、日本法人はこの企業に吸収された。吸収された立場の従業員の多くが、その年の終わりに企業を去った。
「上場している企業」というと、「しっかりした企業」という安定のイメージがある。多くの人間が上場企業へ就職したがる理由の大きなひとつも、その安定イメージのためだろう。
しかし本来、上場している、あるいは株式を店頭公開している企業というのは、いつもこの手のリスクを背負っているものなのだ。フジサンケイグループとライブドアの一連のニュースをみるにつけ、「なんでフジサンケイ側が、上場しているニッポン放送について、このようなことが起こることを想定していなかったのだろう」と、不思議に思ってしまう。
上場しているってことは、実はとっても大きなリスクを抱えているってことなんだぞ… もちろん、上場には大きなメリットが色々とあるのだが。件の英国本社だって、自分たちは株式を非公開化しながら、日本法人に対しては株式を店頭公開するよう命じていたし…
ある年、黒字決算を発表したにもかかわらず、株価は経営陣の期待したように上向きに動いてくれなかった。
「黒字なのに株価が安い=この企業はお買い得」
こうなると、ライバル会社がTOB を行ない、本社に対して敵対的買収をしかける可能性が高くなる。恐れをなした本社の経営陣は、株式を非公開にすることを決めた。そこで、ベンチャー・キャピタル企業の支援を得て、MBO(マネジメントバイアウト)を行なった。MBOは成功裡に終わり、本社はめでたく非上場になった。
(株式の非公開化については、大和総研の「株式非公開化という戦略」という記事が参考になる。)
このとき日本法人の従業員の多くは、この様子を他人事のようにみていたと思う。しかし、わたしや同僚のAさんらは、危機感をつのらせていた。
「ベンチャー・キャピタル企業だって、善意で投資しているわけではない。利益が出ないとなれば、あるいは自分たちの金になると思えば、本社をさっさと売り払うだろう。そうなると、この日本法人なんかは、一番ミジメな売られ方をするのではないだろうか…」
わたしは、その後ほどなくこの日本法人を辞めた。が、その後しばらくして、この企業はAさんの予想どおり売られてしまった。相手は米国に本社を持つライバル企業だった。この米国系企業にはすでに日本に資本提携している企業があったため、日本法人はこの企業に吸収された。吸収された立場の従業員の多くが、その年の終わりに企業を去った。
「上場している企業」というと、「しっかりした企業」という安定のイメージがある。多くの人間が上場企業へ就職したがる理由の大きなひとつも、その安定イメージのためだろう。
しかし本来、上場している、あるいは株式を店頭公開している企業というのは、いつもこの手のリスクを背負っているものなのだ。フジサンケイグループとライブドアの一連のニュースをみるにつけ、「なんでフジサンケイ側が、上場しているニッポン放送について、このようなことが起こることを想定していなかったのだろう」と、不思議に思ってしまう。
上場しているってことは、実はとっても大きなリスクを抱えているってことなんだぞ… もちろん、上場には大きなメリットが色々とあるのだが。件の英国本社だって、自分たちは株式を非公開化しながら、日本法人に対しては株式を店頭公開するよう命じていたし…