わが家には赤ん坊はいないが、ベビーパウダーは必需品だ。とくに夏の消費は最大になる。誰が使うのかというと、もっぱらわたしが使う。体への使用以外に、自転車のパンク修理にも重宝している。
どうせ使うのならば、気分よく使いたい。というわけでステキな香りのついているベビーパウダーが好きだ。主張の強いフレグランス系のボディパウダーと違って、ベビーパウダーはやさしい香りのものが多いのでうれしい。値段もお財布にやさしい。それにボディパウダーにはラメやパールが入っているものが多く、お風呂上りに大量につけるのには向いていない。もちろんパンク貼りにラメ・パール入りはもっと向いていない。
ところで、このベビーパウダーの成分や容量にはお国柄があらわれる。以下、日米両国のどちらでも手に入りやすいジョンソン・エンド・ジョンソンの製品で比較してみよう。
■ 香り
「いいにおい」のベビーパウダーの筆頭といえば、「
ジョンソンベビーのベビーパウダー『すやすやタイム』~むかつく大人の寝つきに~」でちらりと触れたジョンソン・エンド・ジョンソンの「すやすやタイム」のベビーパウダーだろう。
グローバル企業ジョンソン・エンド・ジョンソンはローカルマーケティングに力を入れているらしく、ベビーパウダーは国によって香りも成分も異なる。
赤ん坊の肌に直接触れるものの香りについて、日本のお母さんは敏感だ。「赤ちゃんの敏感なお肌が香料にかぶれるかもしれない」と思うかもしれない。でもアメリカのお母さんはそうでもなりらしく、アメリカの紙おむつには「香料つき」のものが多い。だから香りの強さ・種類となると、日本のお母さんのほうが保守的だろう。
ラベンダーとカモミールの香りのベビーパウダーは、多くの国で売っているようだ。ラベンダーとカモミールといえばリラックス効果の高い癒しの香りであることで知られているから、ベビーパウダーの香りとしては、まずはふさわしいものだろう。(ただし、香りの強さやラベンダーとカモミールの香りのバランスが万国共通かどうかは知らない。) 英語名は
"Calming Lavender & Chamomile"。
さて、日本では見かけないが、米国でよく見かけるジョンソンの香りのよいベビーパウダーの代表格といえば、"
Comforting Vanilla and Jasmine" だろう。
ジャスミンとバニラの香りといえば、「気持ちが元気になる」系だ。赤ちゃんにこの手の香りが必要なのかどうかはわからないし、赤ちゃんに使うにしてははちょっと強い香りのように感じるが、大人が使用するにはよい香りのように思える。この香りなら日本でも発売してほしい。販売名は「すやすやタイム」に対して、「わくわくタイム」「にこにこタイム」なんて命名はどうだ。(ああ、ネーミングセンスがないわ。)
■ 容量
![2_baby_powders 2_baby_powders](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/6f/6aa5d2d519595cc4d58cb88bf4c16403.jpg)
日本のベビーパウダーではあまり考えられないサイズのものが、米国では一般的だ。つまりデカイのが多い。ベビーローションも、ベビーオイルも同様だ。
米国でよく見かけるのは15オンス (425g) のものだ。日本のジョンソンのベビーパウダーのシェーカータイプものが100gであること考えるととんでない量だが、米国はこの大きさが標準らしい。22オンス (624g) のベビーパウダーも業務用ではなく、一般家庭用として普通に売られていたりする。これって、アメリカ人のベビーパウダーの消費が、日本人のそれとは違うのだろうか。なかばあてずっぽうで考えた理由としては:
- 1回の使用量が違う。
- 使用頻度が違う。
- 利用範囲が違う。
わたしがパンク修理にも使うように、本来の目的以外にも利用され、アメリカではその応用範囲が広いかもしれない)
- 製品に求める鮮度が違う。
日本のお母さんは、製品にもフレッシュさを求める。小さいものをすぐに使いきって新しいものを求めるのがすき。
- 買い物に行く回数が違う。
日本人は毎日買い物に行く人が多いが、アメリカ人は買い置きする人がが多い。
- 家庭内のこういうものを置く場所の広さが違う。
- 赤ちゃんの肌の平均体表面積が日米で異なる? (笑)
あたりかな?
(写真左側は、日本で売られている「すやすやタイム」(100g入り)。右側は米国で一般的に売られている "Comforting Vanilla and Jasmine" (425g)。)
■ 成分
そうそう、もうひとつ書いておかなければならないことといえば、成分のことだ。米国のジョンソン・エンド・ジョンソンのベビーパウダーはコーンスターチが主成分だ。一方、日本で流通しているものはタルクが主成分。このタルクは一時アスベストとの関連で大騒ぎになったやつ。
和光堂でコーンスターチのベビーパウダーを出してはいるものの、日本のベビーパウダーのほとんどでタルクが主成分だ。
これは日本のお母さんのほうがタルク使用に鈍感なので…というわけではなく、単に気候の問題だと思う。コーンスターチは湿気を吸って固まってしまいやすい。だからコーンスターチが主成分のベビーパウダーには、吸湿して固まってしまうことを防止するために、リン酸3カルシウムが添加されていることが多い。が、それでもすぐに固まってしまう。
米国のジョンソンのベビーパウダーの注意事項には "Store in a cool, dry place." とある。つまり、涼しくて湿度の低いところで保存しなければならない。わたしが住んでいる東京の6月から9月ぐらいまでこの条件を守ろうとすると、冷蔵庫の中に入れておかねばならない。ベビーパウダーを冷蔵庫保存なんてしてはいられない。
実際につけたときのさらさら感も、タルクに劣る。乾燥する東京の冬はOKだが、梅雨時から夏にひつようなサラっと感がなくなってしまう。さらっとさせようとするとつい大量に使うことになる。これも米国のベビーパウダーの容量が多めな理由のひとつかもしれない。
![Baby_powder_puff Baby_powder_puff](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/3e/8b2a9c983e10f420a62b92227aafaf66.jpg)
ちなみに、コーンスターチのベビーパウダーは、右の写真のようなポンポン型のパフとの相性がよろしくない。長い毛足の中にパウダーが張り付いてしまったり、容器の中のパウダーがすぐに湿気てしまったりする。
「でもタルクは吸い込むと…」と考えるかもしれないが、コーンスターチのベビーパウダーにもちゃんと書いてある。「吸い込まないように」って。粉ってものは何であれ、あまり粉ものは吸い込まないほうがよさそうだ。
でも、コーンスターチのベビーパウダーは、いざとなったら食べられないこともなさそうだ。葛湯にするとか、水で溶いて焼くとか… まずいとは思うけれど。