9.11の同時多発テロから3年。
かつて外資系の証券会社で働いていたことがあった。そのため米国人の犠牲者の中には、わたしが多かれ少なかれ知っていた人間も複数いる。
あの日の夜、「何か大変なことが起こったらしいから、テレビをすぐみろ!」との家族の大声でテレビの前に座ると、最初の飛行機がWTC(世界貿易センタービル)につっこんだ後の状態のライブ映像が映っていた。「操縦不能の事故では?」「いや、突っ込もうと思わない限り、ビルにきれいにぶつかることなどできないはず。」と言いあっているうちに、2機目がつっこみ、他の旅客機の情報も入ってきた。ここで、この事故が故意に起こされたものであり、そしておそらくテロであろうことを確信した。
WTCの映像をテレビでみているあいだ、自分の考えていることがおかしいと自覚しながらも、「スーパーマンが助けにくれば」とか、「ジョン・マクレーン(『ダイ・ハード』の主人公)は何をやっている?」とか、非現実的なことばかりが頭に浮かんできた。それほど、非現実的・映画的な光景に感じられたのだ。さらなる情報を求めて米国メディアのサイトにアクセスしようとしたが、どこにもアクセスできない状態が続いた。あきらめて2ちゃんねるにアクセスすると、すごい勢いでスレが立っては、消費されていた。結局ラジオをつけて床についたが、ラジオを聴いてるうちに夜が明けてしまった。
そのうち、「○○があの中で働いていたらしい。」「XXはWTC内にある証券会社に転職したはずでは?」という情報が、メーリングリストを通じて飛び交いはじめた。わたしはその後1ヶ月近く、WTCの生存者たちが自分の無事を知らせるためにメッセージを残すサイトを見ては、WTCで働いていた可能性のある知り合いの名前を探した。
さて、同時多発テロをみて受けたショック、犠牲者の方々やその家族の方々に対する感情などとは他に、同時多発テロ後の対応について気になったことが3つあった。
ひとつは、事件後のアメリカの、国家としての対応だった。アメリカがこのテロ攻撃に対して、すぐに見込みで報復行動を行なうだろう、という予感がした。何しろ大統領はあのリトル・ブッシュだ。おそらく他国に攻撃をしかけるに違いない??わたしですらすぐにそう思ったぐらいだから、世界中でかなりの数の人間が、アメリカが戦争を始めるだろうと、あの瞬間に感じたはずだ。
2つ目は、WTCに事務所をおく日系企業が、行方不明者や犠牲者の方々とその家族に対して、すべての人々に対して同じような熱意をもって捜索し誠意を尽くすだろうか、という懸念だった。当時はこの懸念を表明すると失礼にあたるかもしれないと思ったので、口には出さなかった。
一般的に、海外に進出した日系企業では、日本人従業員の間ですら、日本からエクスパットとしてアメリカへ赴任する日本人と、現地で雇用した日本人との間の待遇の違いは、天と地ほどの差がある。だから、日系企業が、日本人エクスパットとその家族に対する熱意と誠意で、現地雇用の日本人や外国人を捜索し、対応しているのかが心配になった。この件についてわたしは十分な情報を得てはいないが、たんなる杞憂で終わったものであってほしい。
3つめは、同時多発テロのあと、アメリカを市場としている日本企業が、アメリカ社会に対して、その社会の一員としてきちんとした対応ができるだろうかということだった。実際に現地でどのような対応が行なわれているのかは、わかりにくい。そこでわたしは日本企業のアメリカ向けのウェブサイトにあらわれる、日本企業の対応を注視していた。
アメリカ国内の企業のサイトは、ほぼ間違いなく100%が、9.11後速やかにトップページに半旗の画像を掲げ、犠牲者を悼む責任者のコメントを掲載し、この事態に対して企業としてどのような協力・貢献をするかを表明していた。
日本企業では、わたしが知るかぎりでは、ソニーがすぐに反応した。(さすが世界のソニーだ。)その後いくつかの企業がすぐにそれに続いたが、アメリカで展開する日本企業の多くが、サイトをみる限りでは、事件などまるでなかったかのようだった。そういった企業は、アメリカで売りながらも、結局はあの事件を他人事とらえている印象を与えてしまい、企業イメージとしては決してプラスにはならなかったのではないかと思う。
さてその後、果たしてアメリカはアフガンを、次いでイラクを攻撃した。同時多発テロのときに、Amazon.comを通じてアメリカの赤十字にいくばくかの寄付をしたわたしは、アメリカに使ったのとほぼ同額を、ユニセフを通じてアフガンとイランにそれぞれ寄付した。
かつて外資系の証券会社で働いていたことがあった。そのため米国人の犠牲者の中には、わたしが多かれ少なかれ知っていた人間も複数いる。
あの日の夜、「何か大変なことが起こったらしいから、テレビをすぐみろ!」との家族の大声でテレビの前に座ると、最初の飛行機がWTC(世界貿易センタービル)につっこんだ後の状態のライブ映像が映っていた。「操縦不能の事故では?」「いや、突っ込もうと思わない限り、ビルにきれいにぶつかることなどできないはず。」と言いあっているうちに、2機目がつっこみ、他の旅客機の情報も入ってきた。ここで、この事故が故意に起こされたものであり、そしておそらくテロであろうことを確信した。
WTCの映像をテレビでみているあいだ、自分の考えていることがおかしいと自覚しながらも、「スーパーマンが助けにくれば」とか、「ジョン・マクレーン(『ダイ・ハード』の主人公)は何をやっている?」とか、非現実的なことばかりが頭に浮かんできた。それほど、非現実的・映画的な光景に感じられたのだ。さらなる情報を求めて米国メディアのサイトにアクセスしようとしたが、どこにもアクセスできない状態が続いた。あきらめて2ちゃんねるにアクセスすると、すごい勢いでスレが立っては、消費されていた。結局ラジオをつけて床についたが、ラジオを聴いてるうちに夜が明けてしまった。
そのうち、「○○があの中で働いていたらしい。」「XXはWTC内にある証券会社に転職したはずでは?」という情報が、メーリングリストを通じて飛び交いはじめた。わたしはその後1ヶ月近く、WTCの生存者たちが自分の無事を知らせるためにメッセージを残すサイトを見ては、WTCで働いていた可能性のある知り合いの名前を探した。
さて、同時多発テロをみて受けたショック、犠牲者の方々やその家族の方々に対する感情などとは他に、同時多発テロ後の対応について気になったことが3つあった。
ひとつは、事件後のアメリカの、国家としての対応だった。アメリカがこのテロ攻撃に対して、すぐに見込みで報復行動を行なうだろう、という予感がした。何しろ大統領はあのリトル・ブッシュだ。おそらく他国に攻撃をしかけるに違いない??わたしですらすぐにそう思ったぐらいだから、世界中でかなりの数の人間が、アメリカが戦争を始めるだろうと、あの瞬間に感じたはずだ。
2つ目は、WTCに事務所をおく日系企業が、行方不明者や犠牲者の方々とその家族に対して、すべての人々に対して同じような熱意をもって捜索し誠意を尽くすだろうか、という懸念だった。当時はこの懸念を表明すると失礼にあたるかもしれないと思ったので、口には出さなかった。
一般的に、海外に進出した日系企業では、日本人従業員の間ですら、日本からエクスパットとしてアメリカへ赴任する日本人と、現地で雇用した日本人との間の待遇の違いは、天と地ほどの差がある。だから、日系企業が、日本人エクスパットとその家族に対する熱意と誠意で、現地雇用の日本人や外国人を捜索し、対応しているのかが心配になった。この件についてわたしは十分な情報を得てはいないが、たんなる杞憂で終わったものであってほしい。
3つめは、同時多発テロのあと、アメリカを市場としている日本企業が、アメリカ社会に対して、その社会の一員としてきちんとした対応ができるだろうかということだった。実際に現地でどのような対応が行なわれているのかは、わかりにくい。そこでわたしは日本企業のアメリカ向けのウェブサイトにあらわれる、日本企業の対応を注視していた。
アメリカ国内の企業のサイトは、ほぼ間違いなく100%が、9.11後速やかにトップページに半旗の画像を掲げ、犠牲者を悼む責任者のコメントを掲載し、この事態に対して企業としてどのような協力・貢献をするかを表明していた。
日本企業では、わたしが知るかぎりでは、ソニーがすぐに反応した。(さすが世界のソニーだ。)その後いくつかの企業がすぐにそれに続いたが、アメリカで展開する日本企業の多くが、サイトをみる限りでは、事件などまるでなかったかのようだった。そういった企業は、アメリカで売りながらも、結局はあの事件を他人事とらえている印象を与えてしまい、企業イメージとしては決してプラスにはならなかったのではないかと思う。
さてその後、果たしてアメリカはアフガンを、次いでイラクを攻撃した。同時多発テロのときに、Amazon.comを通じてアメリカの赤十字にいくばくかの寄付をしたわたしは、アメリカに使ったのとほぼ同額を、ユニセフを通じてアフガンとイランにそれぞれ寄付した。