孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

マリファナ  タバコへの規制が強化される一方で、マリファナ寛容施策が増大 カナダは完全合法化

2018-10-16 21:40:31 | 疾病・保健衛生

(プロヴィンス・ブランズ社のカンナビスビール もうすぐ「大麻ビール」で乾杯する日がやってくる?【10月2日 COURRIER】 でも、喫煙は不可)

強化されるタバコ規制 喫煙者は減少 ただし、電子タバコは増加傾向
タバコの評判が悪いのは、説明を要さない、今更の話です。

財務省は、タバコのパッケージの警告表示を強化し、今の30%から50%程度にまで拡大する方向で検討を始めたとも報じられています。

そのうち、銘柄ごとのデザインは禁止され、真っ黒くなった肺などグロテスクな写真が全面に印刷されるような形にもなるのでしょう。

価格のほうも小刻みに値上げされていますが、今月からの値上げでメビウスは1箱(20本)480円、セブンスターで500円と、1箱500円時代になりました。

もっとも、価格については国際的には日本は安いほうのようです。
(以前は海外旅行時には、なるべく現地の雰囲気を・・・ということで、現地のタバコを購入していましたが、最近は健康にも配慮して、普段国内で吸っている軽いもの(健康面では大差ないとの指摘もありますが)を持参するようにしており、現地購入の機会はあまりなくなりました)

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例えば2015年のデータを見てみると、イギリスのロンドンやアメリカのニューヨークはタバコ1箱が約13ドルと、日本円に換算すると約1,500円もするんですから……! これじゃあ気軽に一服できません……。

比較的ご近所さんにあたるアジアの国々でも香港は約7ドル(約800円)、シンガポールは約9ドル(約1,000円)と、アジア旅行を思わずためらってしまいそうな値段です。

ただ、もっともっと値段が高い国があります。それはオーストラリア。世界でトップクラスにタバコ代が高い地域で、首都メルボルンはなんと約18ドル。つまり、約2,000円! 

政府のタバコ増税の引き上げによって、今ではすっかりタバコは「高級嗜好品」になりつつあるのだとか。【「ものづくりコレクション https://monocolle.jp/ippuku/16628/】
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さすがに1500円、2000円となると、「この際、やめようか・・・」という人も増えるでしょう。
そうでなくとも、近年は喫煙者は減少しており、特に若い世代でタバコ離れが顕著です。

****男性喫煙率3割切る 20代のたばこ離れ進む****
たばこを習慣的に吸っている男性の割合は29.4%となり、1986年の調査開始以来、初めて3割を切ったことが厚生労働省による2017年の国民健康・栄養調査で分かった。女性は7.2%、男女合わせると17.7%で、いずれも過去最低だった。

30〜60代と比べると、男女とも20代の喫煙率が低く、若者のたばこ離れが進んでいる。健康被害が知られるようになり、受動喫煙防止対策の一環で、吸える場所が減っていることも喫煙率減少の要因とみられる。

政府が定める健康目標「健康日本21」は22年度までに喫煙率を12%にすると定めている。【9月15日 共同】
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まあ、「健康志向でよろしいことですね・・・」としか言いようがありませんが、わたしは定期的に低線量肺がん検診CTを受診するなど気にしつつも、やめる気配はありません。(もともと吸う本数はかなり少ないのですが・・・と、弁解も)

ただ、ちょっと思うところあって、ここ半月程は部屋の中で吸うのはやめて、廊下にで出て窓を開けて外に煙を吐き出しています。あるいはトイレで。

一方、電子タバコのほうは利用者が増えているようです。アメリカで風味(フレーバー)付けが流行りとか。

****米FDA、風味付け電子たばこの販売禁止を検討 若者の間で「まん延****
米食品医薬品局は12日、若者の間で「まん延」している風味(フレーバー)付け電子たばこの販売を即刻禁止することを検討中だと明らかにした。
 
今年夏に全米で行われたおとり捜査によって、「JUUL」などの電子たばこを未成年に販売していることが明らかになった実店舗およびオンラインショップに対し、FDAは警告状1100通を送付し、131件の罰金を科した。

FDAは声明で「FDA史上、最大規模の一斉摘発」だったと述べ、今後さらに厳しい措置もあり得ると警告した。
 
FDAのスコット・ゴットリーブ長官は「若い世代の間で電子たばこの使用がまん延している明らかな兆候があり、この明確に存在する危険を取り除くために、われわれの総合戦略の一部を改める必要がある」「特に風味付きの電子たばこについては方針を転換し、市場から一掃することも考えている」と述べた。
 
ゴットリーブ長官はまた、未公表の予備データに言及し、若い世代の電子たばこ使用率が急増していると警告。FDAは現時点では数値の公表を拒んでいるが、このデータは数か月以内に発表される見込みだ。
 
米紙ワシントン・ポストによると、ゴットリーブ氏が言及した予備データは全米若年者たばこ調査によるもので、高校生の電子タバコ喫煙率は今年、前年比75%増となっているという。【9月13日 AFP】
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“風味(フレーバー)付け”はともかく、私もJTのプルームテックを苦労して入手しましたが、「あんなしょうもないないものを・・・」というのが感想。ほとんど利用していません。

(ここまで書いてきて、「久しぶりに電子タバコを試してみるか・・・」という気になり、吸ってみましたが、やはりあれはタバコとは別物です)

タバコに厳しいカナダ マリファナは娯楽用も合法化
なお、前出の警告文・写真の話ですが、写真入りのたばこ警告表示を最初に採用したのはカナダだそうで、警告文はパッケージ表面の75%以上(!)。

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カナダのたばこ法(Tobacco Act)は、カナダで販売されるすべてのたばこ製品に英語とフランス語の両方で警告を表示することを定めている。警告文及び表示は「たばこ製品ラベル規制」で決められており、2000年導入のものを2011年に強化されている。

すべてのたばこ製品の包装には、カナダ保健省(en:Health Canada)の警告文のいずれかを、パッケージの全面及び後面の75%以上に表示することが要求されている。警告文の無い輸入たばこには、シールを貼り付けて対応する必要がある。【ウィキペディア】
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そのタバコの害に気をつかうカナダでは、マリファナ(大麻)が完全に合法化されました。
医療用大麻を容認している国は現在急速に増えつつありますが、カナダの場合、娯楽目的もOKで、その点ではウルグアイに次いで世界でも2番目とか。

****カナダで大麻、娯楽用でも合法に 得する人と損する人****
カナダは17日、娯楽目的の大麻使用を完全に合法とする世界2カ国目になる。カナダの成人は、連邦政府から認可された生産者からの大麻の購入と使用が可能となる。

カナダの大麻使用率の高さは世界屈指で、特に若年層に多い。
カナダ人は、医療目的と娯楽目的を合わせて、2017年だけで推定57億カナダドル(約4900億円)を大麻に費やしており、使用者1人当たりの金額は1200カナダドル(約10万3000円)に上る。このほとんどが、闇市場の大麻だ。

娯楽目的での大麻使用を世界で最初に合法化したのはウルグアイだった。ポルトガルとオランダは大麻を処罰の対象から外している。

カナダでの完全合法化への移行から、勝ち組と負け組になりそうな人たちを一部、ここにそれぞれ挙げてみる。

勝ち組――弁護士
今後数年は、大麻がらみの裁判が相次ぐはずだ。
「禁止体制からは遠ざかりつつあるものの、実に事細かく規制する枠組みになりつつある」。薬物合法化に関するトロントの法律専門家、ビル・ボガート氏だ。

規制の決まりごとが細かければ、利益団体が異議を唱えたり悪用したりできる余地がたくさんあるということになる。(中略)

負け組み――家主
解禁されば、大麻の消費は合法化される。連邦法のもと、一定以下の量ならば自宅での栽培も可能となる。
家主たちは、大麻喫煙に関する迷惑行為や個人での大麻栽培に起因する損害について懸念している。(中略)

勝ち組――世界的ブランド
大麻市場は一大産業になると予想される。大麻使用は悪いことだというイメージは薄れてきており、大企業は投資をしり込みしていない。

アナリストは、大麻の消費者市場の規模を42億〜87億カナダドル(約3600億〜7500億円)になると示唆しており、合法後の1年で340万〜600万人が娯楽使用すると予測している。

こうした数字が、大企業の関心を駆り立てている。
米飲料大手のコカコーラは、「健康機能飲料の原料として非精神活性成分カンナビジオールの拡大」に目をつけており、大麻を注入した飲料の開発に関して、カナダの認可業者オーロラ・カナビスと予備的協議を行った。(中略)

勝ち組――ジャスティン・トルドー首相
2015年総選挙の遊説中にジャスティン・トルドー氏は、自由党が政権を取ったら、大麻販売の合法化と規制のため、政策立案に「すぐに」取り掛かると公約した。

あれから3年たった今、トルドー氏はこの公約に「済み」印をつけられる。

トルドー首相は、合法化が若い世代のカナダ人を守り、犯罪者が闇市場から利益を得るのを防ぐとして、この動きを擁護している。(中略)

負け組み――カナダの都市
カナダ各地の都市は、大麻合法化の最前線にいるのは自分たちだと主張する。
新しい制度に関する政策の他、区域分け、小売場所、自宅での栽培、事業ライセンス、公共での消費に関する規制など、管理責任の一部を負うことになるのだ。

しかし多くの都市は、大麻に課される連邦税が自分たちの自治体にどう降りてくるのかまだ説明されていないと話す。中には、合法大麻の店舗を一切許可しないとした都市もある。

連邦政府は、大麻販売から年間4億カナダドル(約340億円)の税収を見込んでいる。各州との合意内容によると、連邦政府は、年間1億カナダドルを上限とし、税収の25%を確保する。
残りは各州へ行き、そこから各都市の財源となる予定だ。【10月16日 BBC】
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拡大するマリファナ市場の注目する飲料・食品関連大企業
上記記事のあるように、今後拡大するマリファナ市場に飲料・食品関連大企業は注目しています。

****米コカ・コーラ、健康飲料への大麻成分配合を研究****
米飲料大手コカ・コーラは17日、マリフアナ(大麻)の主成分を「健康飲料」に配合する研究を進めていると発表した。飲料業界では、大麻入り飲料の開発に乗り出す企業が増えている。
 
コカ・コーラは声明で、「わが社はマリフアナ(乾燥大麻)にもカンナビス(大麻草)にも関心はない」とした上で、「精神活性作用のないカンナビジオールの健康機能性飲料の成分としての活用が、世界中で広がっていることを注視している」と発表した。(後略)【9月18日 AFP】
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****大麻、飲料・食品メーカーの「金の卵」か****
若い消費者たちがビールやカクテルの代わりに、マリフアナや大麻入りドリンクを求めるようになれば、世界の大手酒造会社もその「大麻現象」を無視することはできないだろう。
 
すでにそれを商機として捉えた会社もある。ビール「コロナ」やウオッカ「スベッカ」などの製造と販売を手掛ける米酒類販売大手コンステレーション・ブランズはそうした会社の一つ。カナダの大麻栽培会社キャノピー・グロース・コーポレーションに40億ドル(約4500億円)をすでにつぎ込んでいる。
 
来る大麻市場について、「次の10年間に最も著しい成長機会が期待できる市場の一つ」と語るのは、コンステレーション・ブランズのロバート・サンズ最高経営責任者だ。

同氏によると、合法大麻とその関連製品の販売高は、向こう15年以内に2000億ドル(約22兆4000億円)に達し、当初予想されていたよりも「ずっと速く市場が開けている」という。
 
ウルグアイに続く世界で2番目の国として、カナダは17日、娯楽目的の大麻使用を解禁する。
 
隣接する米国では、連邦法で大麻を違法と位置づけている。ただ、米9州が州法の下で娯楽目的の大麻使用を合法化しており、また他の州も近年、禁止を緩和する方向で動いている。
 
そのような状況において広がりをみせているのが、大麻の新しい消費方法だ。キャンディーや焼き菓子、アイスクリームといった食品形態、あるいは噴霧器を使った吸引や軟膏といった形での使用もある。飲料もその一つだ。(後略)【10月16日 AFP】
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WHOは懸念表明
こうした娯楽用マリファナ容認の流れに、WHOは懸念を表明しています。

****嗜好用マリフアナの合法化「奨励しない」 WHO事務局長****
世界保健機関のテドロス・アドハノン事務局長は10日、WHOは嗜好(しこう)用マリフアナ(大麻)の合法化を「奨励しない」と明言し、解禁を考える国は慎重に検討すべきだと述べた。(中略)
 
テドロス氏は地域会議出席のため訪れたフィリピンでAFPの取材に応じ、WHOはマリフアナなどの薬物を医療目的で入手できるようにすることを支持していると説明。「当然、疼痛(とうつう)管理などのため必要な人々は(マリフアナを)手にすべきだと考えている。入手できるようにしておく必要がある」と述べた。
 
一方、同氏は、入手方法は明確に規制されなければならないと述べ、完全な合法化へとドアを開け放てば健康上の危険が生じると指摘。また、嗜好目的での使用を実際に合法化する国に関し、国民の健康に対する影響を注視することが重要だと述べた。
 
さらに同氏は「常習性の薬物は何であれ、人の健康に良くないと考えている」とし、WHOが「実際に合法化に踏み切ろうとしている国に続くよう各国に奨励することはない」と明言した。
 
カナダでは17日、成人による大麻の購入、栽培、消費が解禁される予定。5年前にはウルグアイが世界で初めてマリフアナを合法化している。【10月11日 AFP】AFPBB News
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最近のマリファナへの寛容さについては、タバコに対する不寛容さは理不尽のようにも思うのですが、それはともかく「常習性の薬物は何であれ、人の健康に良くないと考えている」というのは正しい指摘です。

その点では、まずアルコール類を禁止すべきでしょう。それでどれほどの健康被害が防げ、事故なども減らせるか。はた迷惑な酔っ払いもいなくなります。私は飲まないので一向にかまいません。
(・・・というように、この種の議論は、自分の嗜好・習慣に大きく左右されます)

世界初の合法国ウルグアイのマリファナ事情
なお、世界に先駆けて5年前に娯楽用マリファナを合法化したウルグアイでは、いろんな事情で供給が少なく、いまだに「密売人」が健在のようです。

****マリフアナ解禁したのに密売人から買うウルグアイの失敗****
<世界に先駆けて全面的に合法化したのに、供給が需要に追い付かない、薬局も売りたがらないなどの計算違いが>

南米の小国ウルグアイは2013年に世界で初めてマリファナの完全合法化に踏み切り、大きな注目を浴びた。だが生産から販売まで全面的に解禁し、当局の管理下に置いたにもかかわらず、麻薬密売組織がいまだに幅を利かせている。2017年からは薬局での販売も始まったが、合法マリファナは今も入手困難で、密売人から買うしかない。

「供給が需要に追いつかない」と、ウルグアイ国家薬物評議会のディエゴ・オリベラ会長は13日にAP通信に語った。「何とかしなければ」

オリベラの推定では、人口350万人のこの国のマリファナ消費量は年間約20〜25トンに及ぶ。

マリファナの購入は登録制で、認可された薬局で月40グラムまで買える。使用者は合法的なルートで買いたいのだが、現状ではそれが難しい。ウルグアイ全土にある薬局はおよそ1200店舗。そのうち認可を取得した薬局は14店舗にすぎない。

薬局が取得を渋るのは理由がある。マリファナは利鞘が少ない上、ストックを置けば強盗にあうリスクがある。

さらに9・11同時多発テロ後に施行されたアメリカの愛国法が適用されるリスクもあると、米誌USニューズ&ワールド・レポートが報じている。

アメリカの反テロ法が怖い
米愛国法は国際テロ組織アルカイダなどテロや犯罪組織を取り締まる法律だが、国際金融を通じて麻薬の販売益を洗浄するマネーロンダリング(資金洗浄)も禁止している。

ウルグアイの銀行の大半は米銀を介して国際的な取引を行っているため、ウルグアイの小さな薬局の銀行口座が凍結される可能性もゼロではない。(後略)【6月14日 Newsweek】
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最後の話は、イランとの原油取引などをためらう欧州・日本企業のミニ版のようにも。

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