孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ベネズエラ大統領選挙  野党候補が支持率で大幅リード・・・とは言うものの、結果は・・・・

2024-07-04 22:12:55 | ラテンアメリカ

(南米ベネズエラでは4日から、28日の大統領選に向けた選挙キャンペーンが正式に始まる。写真は6月、カラカスで撮影【7月4日 ロイター】 赤いキャップの人形はマドゥロ大統領のようですから、大統領支持者の集会でしょうか。 チャベス前大統領以来の与党支持者もいるのも事実です。)

【政権側の妨害工作を経て、野党候補参加の選挙戦が実現 野党候補大幅リードとは言われているものの】
7月4日 イギリス総選挙 与党大敗、政権交代必至
7月5日 イラン大統領選挙 決選投票 改革派当選の可能性
7月7日 フランス総選挙 決選投票 極右「国民連合」の過半数阻む、左派連合とマクロン与党の選挙協力
・・・世界が注目する選挙が続きますが、南米ベネズエラでは今月28日に大統領選挙が行われます。

ベネズエラ・・・と言えば、これまでも再三ブログで取り上げてきたように経済失政を重ねたマドゥロ大統領の強権支配が続いていますが、大統領選挙に向けた野党側の動きと、これを露骨に阻止する政権の対応については、4月4日ブログ“ベネズエラ 「公正さ」は期待できない7月大統領選挙 隣国ガイアナとの石油資源をめぐる争い”でも取り上げました。

野党側はマドゥロ政権への激しい対決姿勢から「鉄の女」の異名があるマリア・コリナ・マチャド氏を野党統一候補としました。一部の世論調査ではマチャド氏の支持率は70%超にも及んだとか。

しかし、懸念されたように政権側は彼女の出馬を認めませんでした。野党側は代替候補(大学教授コリナ・ヨリス氏)を急遽擁立。

しかし、この代替候補の登録も政権側がオンライン登録を妨害。書類を登録所へ直接持ち込もうとしても、当局が物理的に登録所周辺を封鎖・・・という露骨な手段で候補者登録を阻止。

“その後、野党連合はX(旧ツイッター)に、選管から「登録の延長」が認められ、別の暫定候補者で登録が行われたと投稿。4月20日までは、候補者の差し替えが可能となっている。【3月27日 時事】”との報道もありましたが、情報が少なく、本当に野党候補の登録が認められたのかすらよくわかりませんでした。

下記記事によれば、どうやら知名度の低い元外交官のエドムンド・ゴンザレス氏の立候補が認められたようです。
そして、国民支持という選挙の本来の視点からはゴンザレス氏かなり優位な状況にあるようです。

****ベネズエラ、大統領選キャンペーン始まる 現職マドゥロ氏劣勢か****
 南米ベネズエラでは4日から、28日の大統領選に向けた選挙キャンペーンが正式に始まる。これまでに実施された各種世論調査によると、3期目を目指す現職のマドゥロ大統領が劣勢に立たされているもよう。

野党連合は当初、指導者のマリア・コリナ・マチャド氏を統一候補としていたが、裁判所が出馬を禁止したことから、元外交官のエドムンド・ゴンザレス氏を新たな候補に擁立。ゴンザレス氏は知名度で劣るが、世論調査ではマドゥロ大統領を20ポイント程度リードしている。

選挙キャンペーンの期間は投票当日の3日前の25日に終了する。

有権者は、生活水準の低下や最低賃金の低迷に不満を強めている。

ただベネズエラは欧州連合(EU)選挙監視団の招致を撤回するなどの措置を取っており、選挙結果が公正なものになるのかは不透明だ。【7月4日 ロイター】
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世論調査ではマドゥロ大統領を20ポイント程度リード・・・本来なら野党候補が圧勝するはずですが、なにせマドゥロ政権下のベネズエラです。公正な選挙の保証がない・・・というより、公正な選挙はほとんど期待できないのが現実。

選挙管理員会も、裁判所も政権の影響下にあります。
実際の投票の結果に関わらず、マドゥロ大統領に都合のよいどんな「結果」でも捏造できます。その「公式発表」に反対すれば、強権的に排除・弾圧されかねません。

これまでの経緯を考えれば、マドゥロ大統領が「敗北を認める」ということは、一番起こりにくいことのようにも思えるのですが・・・どのような展開になるのでしょうか。

【アメリカ 野党候補参加の選挙実現を求めて圧力】
ここに至るまで、アメリカは野党候補の選挙参加を実現すべくマドゥロ政権への圧力をかけてきました。

アメリカは昨年10月、マドゥロ政権の野党勢力との協議を評価して石油・天然ガス生産に関する制裁の一部を一時的に停止していましたが、政権側が野党の有力候補(マリア・コリナ・マチャド氏、その代替候補のコリナ・ヨリス氏)を選挙から排除したことで、再び制裁方針に転じています。

****米、ベネズエラ石油部門の制裁復活 公正な選挙実現を懸念****
バイデン米政権は、ベネズエラの石油・ガス部門に対する制裁の緩和措置を18日未明の期限後は延長しないと発表した。7月のベネズエラ大統領選に関してマドゥロ政権が合意を守らなかったことが理由。

米政府は、マドゥロ政権と野党勢力が2024年の大統領選実施で合意したことを受け、昨年10月に同国の石油・ガス部門との取引を6カ月間認める一般許可証を出していた。

米政府高官によると、マドゥロ氏は合意の一部を実行に移したが、野党が独自の大統領候補を擁立することを認めるなどの約束は果たしていない。

米財務省は取引許可の期限が切れるのを前に、企業が45日以内にベネズエラの石油・ガス部門から撤収することを認める許可証を発行した。

国務省のミラー報道官はマドゥロ政権が「野党が独自に選んだ候補者の登録を阻止し、政敵に嫌がらせや脅迫を行い、多数の政治関係者や市民団体の構成員を不当に拘束したと懸念している」と述べた。

米財務省は、ベネズエラの石油・ガス部門との取引は今後個別許可制とし、これまで認められていた事業の継続は許可しない方針を示した。【4月18日 ロイター】
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その後、エドムンド・ゴンザレス氏の出馬が認められたこともあってか、アメリカとベネズエラの対話が再開しています。

****ベネズエラと米、対話を再開 4月以来、継続で合意****
ベネズエラのロドリゲス国会議長は3日、米国との対話を再開したとX(旧ツイッター)で発表した。オンライン形式で協議があり、関係改善に向けた取り組みや対話を続けることで合意した。ロイター通信によると、対話は4月中旬以来。

米側は今月28日のベネズエラ大統領選が公正な選挙になるよう求めた。3選を狙うマドゥロ大統領は野党の封じ込めを強化。有力な野党候補が出馬できなくなり、米国は4月にベネズエラへの制裁緩和措置を停止した。

マドゥロ氏は今月1日に対話再開を表明していた。制裁緩和につなげたい思惑のほか、大統領選への米国の介入を阻止したいとの狙いもあるとみられる。【7月4日 共同】
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アメリカはベネズエラのマドゥロ政権に対して、大統領選が公正な選挙になるよう求めたとのことですが・・・・アメリカの制裁緩和措置復活も大統領選挙の成り行き次第でしょう。

ただ、仮にマドゥロ政権が強引に勝利を主張しても、アメリカとしては制裁復活以上の強力な対抗措置はとれないのかも。 バイデン政権自体が次期大統領選挙に向けて大揺れ状態ですから、ベネズエラどころではないでしょう。

また、アメリカの選挙を考えると、アメリカ国内のガソリン価格を上昇させるような措置はとれないでしょう。それは選挙において致命的となりますので。

はたして、中央選管の一方的発表、マドゥロ大統領の勝利宣言といった、世界各地で見られるような茶番劇の再現となるのか、意外にもまっとうな選挙となるのか・・・。
コメント
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