孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

韓国  「ポストオミクロン対応計画」で通常生活を目指す コロナ禍の「終わらせ方」

2022-04-17 22:55:08 | 疾病・保健衛生
(ソウル市の桜の名所、汝矣島(ヨイド)には花見客があふれた(9日午後)【4月15日 日経】)

【「K防疫」自賛も、オミクロン株の出現で感染爆発】
韓国ではかつて徹底した検査・隔離を行う「K防疫」という言葉がもてはやされたように、新型コロナ対策では世界でも注目される効果をあげていましたが、オミクロン株の出現によって感染者が急増、3月中旬にはPCR検査だけでなく医療機関での抗原検査で陽性と判定されれば、感染者とみなす形に変更されたことや、大統領選挙で候補者の遊説に大勢の人たちが集まったことも影響して、1日の新規感染者が60万人を超える感染爆発(人口規模は日本の約4割)を経験しました。

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韓国は一時期、コロナ封じ込めという点では最も厳格な国の一つだった。昨秋、高いワクチン接種率が達成された時点で、保健当局は通常モードの生活に戻ることを検討し始めた。

だがオミクロン株が現れ、冬の間に感染者が急増したことで、それは中断された。当局はソーシャルディスタンス(対人距離)を確保するルールを強化。集まりは4人までに制限し、営業や公共スペース使用は午後9時以降禁止にした。
 
だが結局、韓国はオミクロン株による感染爆発を抑制できなかった。同国で報告された累計のコロナ感染者数は2022年初めには50万人強だったが、3カ月後の現在は1300万人近くに達している。
 
患者数の多さとは裏腹に、病院の空きベッドには余裕がある。29日時点で集中治療室(ICU)の使用率は約68%だった。韓国はこの2カ月間にコロナ患者全員を入院させる方針から、高齢患者や持病を持つ患者のみにする方針へと移行。若年層の無症状患者には14日間ではなく7日間の自宅待機を求めている。
 
韓国が特に力を入れたのは高齢者への追加接種だ。3回目のワクチン接種を受けた人は、人口の約63%を占める(米国は29%)。韓国やニュージーランドなどは、感染者数は多いものの、ワクチン接種率が高く、入院や死亡の割合が抑えられている。一方、香港などはワクチン接種率が低く、高齢者層を含めて死亡率の高さに苦慮している。【4月1日 WSJ「アジア諸国「コロナ共生」へ舵 感染高止まりも」】
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感染爆発の方は3月中旬にピークアウトしたものの、4月に入っても依然高い水準が続いていました。

【「ポストオミクロン対応計画」 コロナ禍からの出口戦略】
いろいろ評価はあるところでしょうが、こうした今年に入ってからの感染爆発にもかかわらず、ワクチン接種率が高く、入院や死亡の割合が抑えられていることもあって、韓国政府は規制緩和による日常生活復帰への強い意思を見せています。

****韓国 爆発的な感染継続でも飲食店さらに規制緩和へ****
韓国では、新型コロナウイルスの爆発的な感染が続く中、飲食店などの規制がさらに緩和される。
韓国が4月1日に発表した新規感染者の数は28万273人で、3月中旬の62万人あまり(62万1187人)をピークに減少傾向だが、依然として高い水準。
また、重症者の数もおよそ1300人(1日発表:1299人)で、過去最多の水準が続いている。

しかし、韓国政府は医療体制に余力があることなどを理由に4月4日から、飲食店の営業時間や人数の制限をさらに緩和し、『午前0時まで(現在は午後11時まで)』『1グループ10人まで(現在は8人まで)』認めることを決めた。

さらに感染状況次第では、4月中旬にも飲食店の営業制限を完全に撤廃する可能性もあるとしている。
また、現在一部の病院に限定されている感染者の対面診療を4月4日から地域のクリニックなどすべての医療機関に拡大するほか、新型コロナの隔離措置も見直しが検討されていて、近い将来、感染者の隔離がなくなる可能性もある。

こうした規制緩和は、『日常回復』に向けた動きを加速させたいものと見られているが、オミクロン株のうち、より感染力が強いBA.2「ステルスオミクロン」への置き換わりが進む中、さらなる感染拡大につながる懸念もある。【4月1日 FNNプライムオンライン】
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感染水準は、4月16日は10万人を切るところまで低下しています。

韓国政府は「パンデミック」収束後の防疫・医療体制戦略となる「ポストオミクロン対応計画」を発表しています。

****新型コロナを「第1級感染症」から除外へ 5月下旬から感染者の隔離免除=韓国政府****
韓国政府は15日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」流行収束後の防疫・医療体制を長期的に日常化するための戦略を盛り込んだ「ポストオミクロン対応計画」を発表した。

政府は国内で初めて新型コロナ感染者が確認されてから2年3カ月で「日常医療体制の回復」を公式に宣言し、5月下旬までに新型コロナ以前の水準の防疫・医療体制に復帰するためのロードマップを提示した。

政府は今月25日に、新型コロナを最高レベルの隔離義務が生じる第1級感染症から除外し、第2級感染症に指定する。

結核、はしか、コレラ、水ぼうそうなどと同じ第2級感染症になれば、第1級で適用される7日間の隔離義務や医療機関による患者の申告義務が免除され、感染者はインフルエンザと同じように一般の医療機関を利用することになる。

これまでは新型コロナによる外来・入院医療費は無料だったが、今後は健康保険と患者本人の負担となる。新型コロナの検査・診断は民間医療機関で行い、保健所では60歳以上と療養型病院・施設の従事者など高リスク群のPCR検査のみを行う。

全ての医療機関を自由に利用できるようになるため、「在宅治療(自宅療養)」の概念もなくなる。ただ、感染者は当分の間これまで通り地域の病院・医院で電話による非対面診察や処方を受けることができる。

政府は新型コロナを第2級感染症に指定する今月25日の直前までを「準備期間」、25日から4週間を「移行期間」として段階的に医療体制の転換を準備する。ポストオミクロン戦略の施行準備が完了段階に入れば「安定期」を宣言する方針だ。

感染者の入院治療体制は重症者用病床を中心に改編し、現在の計3万2802床から4191床に減らす。

海外からの入国者に対する検査も簡素化する。入国者は現在、入国当日にPCR検査、6〜7日目に迅速抗原検査を受けているが、6月からは入国当日のPCR検査のみを受けることになる。

金富謙(キム・ブギョム)首相は「政府は日常回復を推進しながらも、新たな変異株や再流行に備えて監視体制を強化し、危機が感知されれば医療リソースを迅速に再稼働する」と述べた。

一方で、医療界からは新規感染者数が依然として1日当たり10万人以上発生しているなか、1カ月という短期間で隔離・入院・病床政策を転換するのは望ましくないとの意見も出ている。【4月15日 聯合ニュース】
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【18日から新型コロナの行動規制がほぼ撤廃】
上記方針に沿って18日から新型コロナの行動規制がほぼ撤廃されます。
当然ながら「急ぎ過ぎ」との批判はありますが。

****韓国で18日から新型コロナの行動規制ほぼ撤廃...撤廃に批判の声も****
韓国ではこの2年間、新型コロナウイルス感染症の行動規制だった「社会的距離の確保」が今月18日に終了する。連合ニュースなど複数の韓国メディアが報じた。  

15日に韓国政府が発表した新型コロナによる防疫規制の調整案によると、私的な集まりの人数や飲食店など大勢の人々が利用する施設で、営業時間の制限も完全に撤廃されることになった。イベントや集会も人数の制限なしに開催できるようになり、映画館や公演場での飲食も可能になる。  

宗教施設と一部の事業所に半月間「運営制限」を勧告する初の行政命令が下された2020年3月22日を開始時点で見ると、社会的距離の確保が解除されるのは757日、約2年1か月ぶりとなる。  

韓国政府が防疫規制の解除を発表したことで、夜間の飲食店にも人々が戻り始めている。  
16日、ニューシスの報道によると、規制解除前の最後の金曜日だった15日、ソウル都心のレストランや居酒屋は、すでに防疫制限が解除されたかのように、夕食を楽しみに来た人々でにぎわった。飲食店の店主らもも、2年ぶりの防疫制限の解除で浮き立っている。  

ソウル市ヨイド(汝矣島)にあるビヤホールには、5~6人の団体客が後を絶たないほど賑わっていた。  殺到する客で休む間もなく動いていた社長の金さん(57)は、「営業制限時間が午前0時に伸びて、暖かくなってきたこともあり、お客さんが前より多くなった」とし、「人手不足なので、店員を追加で採用しなければならなくなった」と賑わいの状況を説明した。  

こうした中で、韓国政府が早急に防疫制限を解除したことに、憂慮する見方も少なくない。  
15日、韓国経済新聞の社説では、今回の措置は韓国政府が防疫の責務を国民に転嫁したも同然だという見方もあると指摘する。  

同紙は一部では「世界で初めてコロナのパンデミック(世界的大流行)からエンデミック(感染病の風土病化)に転換した国家」というタイトルを獲得するために、政府が解除の措置を急いだのではないかという疑念を提起している」と伝えた。  

また「警戒心を緩めず、早期警告システムなどの対応体制を整える必要がある。政府が昨年11月、生半可にウィズコロナ政策を施行して失敗した手痛い経験を忘れてはならない」と忠告した。【4月17日 WoW! Korea】
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【世界最初の「エンデミック国」に? コロナ禍の「終わらせ方」】
「世界で初めてコロナのパンデミック(世界的大流行)からエンデミック(感染病の風土病化)に転換した国家」というタイトルを獲得するため・・・云々は、いかにも韓国らしくて笑えますが、政府当局の「パンデミック」収束に向けた強い意思は感じます。

****韓国が世界最初の「エンデミック国」になる? *****
<韓国の新型コロナウイルス感染者が急増する中、金富謙(キム・ブギョム)首相は「韓国はエンデミックに転換する世界最初の国になることを期待する」と述べた......>

2022年4月12日、韓国の新型コロナウイルス感染者が累計1563万5千人余となり、人口5161万人(22年3月推計人口)の30%を突破した。

専門家らが楽観視できない状況だとして警告を発するなか、金富謙(キム・ブギョム)首相が「韓国はエンデミックに転換する世界最初の国になることを期待する」と述べ、マスク着用義務の解除などソーシャル・ディスタンスを緩和する検討をはじめている。

「エンデミックにはendが入っているが、何かが終わる意味はない」
4月1日、米ウォールストリートが「韓国が最初のエンデミック国になるだろう」と報じると、金富謙首相がエンデミックへの移行を期待する発言を行った。

エンデミックは周期的に発生する風土病で、ギリシャ語に由来する。特定地域を意味するエン(en・英語のin) と人々を意味するデム(dem)を組み合わせた語で、特定地域で流行を繰り返す感染症を指している。

エンデミックより広範囲におよぶ感染症をエピデミック、世界的な流行をパンデミックと呼んでいる。マラリアなどがエンデミックとされており、インフルエンザがエピデミックに分類されている。

2020年1月、世界保険機構(WHO)が新型コロナウイルス感染症をエピデミックに分類した後、パンデミックに拡大した。

エンデミックは予測可能な範囲で広がることから社会機能に大きな支障をきたさないとされている。米国や欧州などで新型コロナウイルスが2022年にはパンデミックからエンデミックに移行するという考えが広がる一方、世界保険機構(WHO)は否定的で、慎重な姿勢を崩していない。

韓国でも保健福祉部の班長が「エンデミック宣言ができるかどうかは未知数で、当分は難しい」「エンデミックは予測可能な水準で患者が発生することを意味しており、世界的に新型コロナが小康状態に入らなければならない」などと首相の発言を牽制し、専門家らもエンデミックに移行する期待は時期尚早だと警告する。

対外経済政策研究院のチャン・ヨンウク副研究委員は「エンデミックにはendが入っているが、何かが終わる意味はなく、実際はその反対」といい、「ある病気が消えずに特定地域内で続くか、周期的に発生して土着化する意味」だと指摘する。

エンデミックを念頭に置いた対応へ
しかし、政府は病院や医院の検査・治療体系の拡大、防疫規制の解除予告、隔離期間の短縮など、エンデミックを念頭に置いた動きを見せる。(中略)

「『エンデミック』へ転換する世界初の国になることを期待する」
金首相がエンデミックに言及した直後の4月4日、韓国政府は規制緩和を行った。(中略)

金首相は「重症と死者を減らして医療システムを管理できるようになったら、ソーシャル・ディスタンスなどの防疫措置を改編する」とし、「コロナ患者が市内の病院や医院で不便なく対面診療を受けられる『エンデミック』へ転換する世界初の国になることを期待する」と述べた。

早ければ4月18日にも私的会合の人員制限や飲食店等の営業時間、300人以上の行事や集会の禁止など、あらゆる制限を解除したい考えを示している。また、屋内のマスク着用は「防疫最後の砦」として維持するが、屋外のマスク着用を解除する可能性を示唆した。

世界ランキングや世界初を過度に意識する傾向
韓国の新規感染者は3月17日に60万人台を記録した後、右肩下りとなっている。減少しているといっても、3月には1日あたり20万人以上、4月に入ってからも連日10万人から20万人の新規感染者が確認されている。(中略)

検査を受けるために訪問した病院で感染する可能性がある。韓国は世界ランキングや世界初を過度に意識する傾向が強い。「世界初のエンデミック国」にこだわって対応を誤る可能性は拭い切れない。【4月14日 佐々木和義氏 Newsweek】
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「急ぎ過ぎ」への批判はいくらでもできますが、一方で日本の場合、いったいどうする考えなのか全く出口戦略が見えません。ただその時々の感染状況の推移に一喜一憂しているだけ、ひたすら警戒・自粛を呼び掛けるだけ・・・の感も。

コロナ禍の「終わらせ方」のひとつとして韓国の事例は参考になると思われます。

****韓国60万人超の感染爆発で非難殺到も世界初のコロナ勝利宣言!?****
韓国内から「K防疫の勝利」の声は?
3月末のウォール・ストリート・ジャーナルに「新型コロナウイルスが風土病に転換する初の国は韓国になるかもしれない」という記事が載った。

パンデミック(世界的な感染大流行)からエンデミックへ。

現在、これが世界中の共通認識になっているコロナの終わらせ方。つまり、一定地域で季節的に流行を繰り返す風土病に移行することで、新型コロナウイルスは季節性インフルエンザのような存在となる。

韓国がそれを最初に行う国。世界に先がけてコロナ終焉宣言を出すことになるかもしれない。ということなのだが。

他国の評価をやたら気にするお国柄。いつもであれば、韓国のマスコミがこぞって「K防疫の勝利」とか言いながら自画自賛して悦に入りそうな感じなのだが、意外に反響は少なかった。なぜなのだろうか。

「韓国はパンデミックから抜け出せる手段を持っている」
今年3月の段階で人口に対する新規感染者の割合で、韓国は米国の約3倍にもなる感染爆発を起こしていた。
そんな状況で、韓国政府は感染防止措置を撤廃して経済活動を再開させている。

集団免疫を獲得するには、ウイルスの蔓延に目をつぶるしかない。感染力が高いわりに毒性が低いとされるオミクロン株の蔓延は、それに最適ということだろう。不安視する国民は多く“政治防疫賭博”と揶揄されていた。

しかし、韓国ではすでにワクチンを2回接種した人が86.08%と中国に続く世界2位の接種率を誇っている。
3回目の追加接種も64.65%で世界のトップクラス。さらに公衆保健システムも万全で、感染者の死亡率でも3月17日時点で0.14%と他国に比べてかなり低い。

これらの条件からウォール・ストリート・ジャーナルの記事では、「パンデミックから抜け出すことのできる適切な手段を持っている」と、伝染病専門家のコメントを載せて韓国政府の決断は正しいと判断したようだ。

韓国から学ぶコロナの終わらせ方
現実を見てみれば、防疫措置を撤廃後の3月中旬に1日の感染者数が60万人を突破。韓国政府が予測していた1日31〜37万人をはるかに越える数だった。これだけの数が感染すれば、いくら致死率が低いとはいえ、重症者や死者数もそれなりの数になる。

重症患者の激増で医療システムの危機を訴えるニュースが連日のように報道され、大統領や疾病庁に対する批判や謝罪を求める声も多く聞かれた。

外国の新聞が韓国を褒めて、国民がそれを否定して低評価。
韓国では決して見られることのなかった、かなり珍しい事態ではある。それだけ状況が逼迫(ひっぱく)していたのだろう。

しかし、近々の4月8日は感染者数も20万5333人に減少しており、死者数もピーク時の3分の1程度になっている。数字を見れば、韓国政府の判断は正しかったと言える感じになってきた。

今さらながらにウォール・ストリート・ジャーナルの記事を取り上げて、「韓国は世界が認めた最初のコロナ戦勝国」とか、そろそろ韓国マスコミの自画自賛が始まるか。

そうなることが、世界にとっても幸いなことだと思う。コロナの終わらせ方。それを韓国に学んで、日本も方針転換を図る時期なのかもしれない。【4月13日 青山 誠氏 コリアワールドタイムズ】
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