(ブルンジの教会 ルワンダ同様のツチ・フツの対立で、夥し人々が虐殺されました。 “flickr”より By FlorestaPhotos http://www.flickr.com/photos/23323670@N07/4534101448/ )
【「軍服を着ている者もいた」】
「ツチ」と「フツ」の対立によるジェノサイド(大量虐殺)と言えば、94年の春から初夏に至る100日間に国民の10人に1人、少なくとも80万人 が虐殺されたと言われるアフリカ中部のルワンダがすぐに挙げられますが、ルワンダに隣接するブルンジにも同様の状況があります。
しかも、ルワンダが虐殺後少なくとも表向きは落ち着きを取り戻し、現在は飛躍的な経済成長を実現しているのに対し、ブルンジでは内戦が長く続き、いまだに対立の火種がくすぶっているようです。
****バーで銃乱射、36人死亡 政情不安のブルンジ****
ブルンジの首都ブジュンブラ近郊で18日夜、武装集団がバーを襲撃して客に発砲し、地元の知事によると少なくとも36人が死亡した。
目撃者らによると、襲撃は約20分間続いた。生存者の1人は、「カラシニコフ銃や手りゅう弾を携えた数十人がバーになだれ込んできて、全員に伏せろと命じた後、発砲を始めた。軍服を着ている者もいた」と話した。
ピエール・ヌクルンジザ大統領は19日、事件現場を訪れ、3日間を服喪期間にすると発表。「大虐殺」の犯人たちを必ずつかまえ、裁きを受けさせると宣言した。
一部の住民は、今回の襲撃が、フツ系反政府組織の解放国民軍(FNL)による、戦闘員殺害への報復である可能性を指摘した。バーがあるGatumba地区はFNLの拠点ともなっている。
ブルンジでは、1993年に始まり30万人が死亡した内戦が2006年に終結後も、情勢は不安定だ。
内戦当事者のFNLは09年に正規軍に統合されものの、昨年の大統領選で選挙不正を訴えて選挙をボイコットしたのを機に襲撃事件が急増し、内戦に逆戻りすることが懸念されている。
一連の襲撃事件は、選挙ボイコット後に山中に潜伏したFNLのアガトン・ルワサ議長が指揮していると見られている。
ルワサ議長は前週、FNLの戦闘員100人以上を虐殺または拷問したとして、政府を非難する声明を出している。【9月20日 AFP】
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【ルワンダの陰で、繰り返されるジェノサイド】
ルワンダと同じような小さな国、ブルンジは四国を一回り大きくしたぐらいの広さで、“住民はフツ族が85%、ツチ族が14%、世界銀行によればブルンジの1人あたりGNIは160ドル(2010年)で世界最下位”【ウィキペディア】ということです。
同じく【ウィキペディア】によれば、“少数民族のツチ族による支配に不満をもつフツ族が、1972年に反乱をおこし1万人のツチ族を殺害する事件が発生する。この事件の報復として同年、4月から10月にかけてツチ族系の軍隊がフツ族10万人を殺害するという事件につながった。”とあります。
“1万人”とか“10万人”とか、さりげなく記載されていますが、確かにルワンダのジェノサイドに比較すれば数は少ないものの、想像を絶する虐殺です。
なお、このとき、国連によれば、ツチ族の支配する軍によって25万人のフツ族が虐殺されたとも言われています。
更に、“1993年10月21日にツチ族将校がヌダダイエ大統領を暗殺した直後の10日間で「数万人」のツチ族と穏健派フツ族が虐殺されたという。”【新たなジェノサイドが懸念されるブルンジ情勢 Barbara Vignaux 青木泉訳 http://www.diplo.jp/articles04/0410-3.html】と、再び虐殺が繰り返され、内戦状態に入ります。
内戦は2006年に一応の終結を見ますが、政情が安定しないのは前出【9月20日 AFP】のとおりです。
あまり報じられることがない小国ブルンジですが、今後、内戦に逆戻りするような事態となれば、再度、数万人単位の虐殺が起きる懸念もぬぐえません。