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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

タイ 反政府行動、“とりあえずの”収束へ  ギリシャ 国民に受け入れられない緊縮策

2010-05-05 18:14:42 | 国際情勢


【「衝突による犠牲者をこれ以上出さないため」】
GWの台南観光を終えて帰国の途上です。
そういった事情で、目に付いた記事の紹介だけ。

写真は、台南でも規模の大きい道教寺院「天壇」ですが、正門に掛けられた「一」の字が書かれた扁(写真中央)が有名で、台南の三大名扁のひとつとか。
意味は「千算万算、天の一算に如かず」とのこと。

そうは言っても、人間世界ではあれこれ千算万算せざるを得ませんが、そうしたなかで、なんとか道筋が見えてきたのがタイ・バンコクのタクシン元首相派による反政府抗議行動。

****タイ:首相の政治的解決策にタクシン派が受け入れ表明******
タイのアピシット首相は3日夜にテレビ演説し、タクシン元首相派組織「反独裁民主戦線」(UDD)によるバンコク都心部占拠の事態収拾に向けて、11月14日の総選挙実施など政治的解決策を示した。これに対し、UDDのウィーラ議長は4日、「衝突による犠牲者をこれ以上出さないため」として首相提案の受け入れを表明。流血の事態が懸念された再度の衝突は回避されることになった。
首相は、これまで示していた総選挙日程を約3カ月前倒しした。地元紙によるとタクシン元首相は4日、自派の国会議員に「(提案を)受け入れるべき時だ」と語った。

総選挙でタクシン派政権の復活を狙うUDDは、首相に総選挙の早期実施を約束させること自体が大きな成果だ。しかし、タクシン派が都心部占拠という強硬手段で政治的成果をもぎ取ることに、反タクシン派が反発を強めるのは確実だ。総選挙でどちらの勢力が政権を握ったとしても、対立が根本的に解消される見通しは立たない。

首相は演説で、王室を政治に巻き込まない▽死者27人、負傷者1000人近くを出した治安部隊とUDDの一連の衝突を調査する独立委員会を設置する▽憲法改正や恩赦実施などの政治改革を行う--など5項目の国民和解案を提示。すべての国民がこれを受け入れれば、11月14日に総選挙を行うと述べた。
これに対し、UDDは「下院解散日程が決まれば、5項目の協議に入る」とし、それまでは都心部占拠を解除しない方針を示した。だが情報筋によると、双方は水面下で解散日程についても合意しているという。

タイでは下院解散後45~60日以内に総選挙が実施される規定で、解散は9月中旬から下旬となる。首相は3月末、「年内解散に応じる」との姿勢を示したが、UDDは即時解散を求め、話し合いは決裂していた。
政府は、これまで軍による占拠地域奪還を強く示唆してきたが、再度の強制排除で死傷者が出れば国内外の批判を浴びて厳しい立場に立たされる。首相はUDDに譲歩する以外に選択肢を失った形だ。一方のUDDも、1カ月以上続く都心部占拠で参加者が大幅に減るなど、占拠継続が困難になっていた。
連立与党各党や経済界も首相提案を受け入れる意向だ。08年にバンコク国際空港占拠事件を起こし、下院解散反対やUDDへの強硬対応を求める反タクシン派「民主市民連合」(PAD)は賛否を表明していない。【5月4日 毎日】
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【根本的解決はいまだなし】
“タクシン派には過激な行動を取るグループも存在することに加え、デモ隊の撤収や、刑事責任を問われている幹部の扱い、デモ隊が隠し持っているとされる武器の取り扱いなど難題も多い”【5月5日 産経】という指摘もあります。
特に、上記記事にもある“総選挙でどちらの勢力が政権を握ったとしても、対立が根本的に解消される見通しは立たない”というのが根幹的問題です。いつまでこんなことを繰り返すのか・・・。

とは言え、とりあえずの収拾がはかられることは喜ばしいことではあります。
タクシン元首相派も政府側も決め手にかき、いささか疲れてきた・・・というところでしょう。
なお、地元紙によるとタクシン元首相は4日、自派の国会議員に「(提案を)受け入れるべき時だ」と語ったそうです。
また、タクシン元首相は、今回の反政府行動にはいろんな集団が参加しており、自分も完全にはコントロールできないといった趣旨の発言もしています。
一部過激派グループによるとも言われている発砲・砲撃との無関係を強調したものでしょうか。

【「ヨーロッパの人々よ、立ち上がれ」】
なかなかとりあえずの収まりもつかないのがギリシャ。
EUとIMFからの協調融資は決まったものの、条件となる緊縮策への国民の合意が得られていません。

****ギリシャの公務員労組、48時間ストに突入 全土で混乱*****
財政危機に陥っているギリシャで4日、公務員労組「ギリシャ公務員連合」(組合員数約75万人)が公務員の昇給や賞与廃止などの政府の財政再建策に抗議し、48時間のストライキに突入した。テレビ局に乱入したり、古代遺跡パルテノン神殿で政府批判を繰り広げたりするなど、全土で混乱が広がりつつある。
公立学校の教師約20人が3日夜、アテネの国営テレビ局に乱入。教育相のインタビュー番組を中断させて「1万7千人の非常勤教師の解雇に抗議する」などと番組で訴えた後、自主的に退去した。
4日未明には、共産党系組合の約200人がパルテノン神殿に集まって「ヨーロッパの人々よ、立ち上がれ」と書かれた横断幕をアクロポリスの丘から垂らし、欧州連合(EU)とIMF(国際通貨基金)から総額1100億ユーロ(約14兆円)の協調融資を受ける条件として厳しい緊縮策を決定した政府への抵抗を呼びかけた。【5月4日 朝日】
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第三者的に言えば、「これまでの放漫財政のつけなんだから、仕方ないじゃない・・・。融資が受けられなくて債務不履行になったら、国民生活はもっとひどいことになるのだから・・・」といったところですが、解雇される当人にとってはなかなか・・・。

“ギリシャ危機の収束に時間とカネがかかるのは「危機対応は迅速性が不可欠」(IMF元幹部)にもかかわらず、昨年12月に危機が深刻化して以後も、抜本策が先送りされてきたためだ。ドイツのメルケル首相は、与党内に支援慎重論が根強い上、5月9日に地方選が迫っており、身動きの取れない状態が続いていた。ようやく重い腰を上げたのは、4月22日以降、ギリシャ売りが加速してから。IMF元幹部は「もし、昨年末にギリシャがIMFに支援要請していれば、支援額はもっと少なくて済んだ」と指摘する”【5月2日 毎日】
何事も迅速な対応が肝要です。みんなわかっていることではありますが・・・。

コメント
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