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朝日新聞東京社会部編「もの言えぬ時代」

2020-10-22 | 気になる本

朝日新聞東京社会部編(2017)「もの言えぬ時代」朝日新書 

 内田 樹

 人口減少と超高齢化に直面。社会構造の変化と対応の必要。危機感が共有されていない。いまだに要職にある人は「成長戦略」とか「少子化対策」というような空語をむなしく語っているだけ、ゼロ成長、人口減少にどうやってソフトランディングするか緊急で具体策がない。いまだに五輪だ、カジノだ、リニア新幹線だという「20世紀ソリューション」にしがみついて、経済が浮揚するありえない夢を語っている。

 資本主義末期の際立った特徴は一握りの富裕層と大多数の貧困層への階層の二極化です。「選択と集中」理論にもとづいて、限りある資源をすべて「勝ち組」に委ね、彼らがどかんと稼いだら、その「おこぼれが」貧困層にも「滴り落ちる」(トリクルダウン)という新自由主義理論が世界中に語られてきました。実際はどこにも起こらなかった。今しなければならないのは、中産階級のこれ以上の崩落を防ぎ、貧困層を戻すことです。

 大学では文科省の資源配分に与った学長や理事長が、学内で上のいうことを聞く、イエスマンしか出世できなくなってしまった。

 アメリカはこの属国をひたすら収奪するだけだと思う。安倍政権はそれを受け入れ、「属国の代官」でいいと思っている。国内的にはすきなことをさせてもらう。かっての朴チョンヒや、フィリッピンのマルコスや、インドネシアのスハルトは、アメリカに協力を制約し政治的フリーハンドを約束されました。求められる年貢をもってくるのが、「良い代官」である。小泉はブッシュとため口をきき、ろくでもない政策を全て支持し「友情」に基づくものと説明し、日米は「イーブンパートナー」という幻想をまき散らすことに成功した。

 安倍政権は13年以降、特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、安保法制、「共謀罪」法と、属国化路線をすすめた。それでも内閣支持率は下がらなかった。「対米従属以外に国のあり方を思いつかないから」だと思う。

 主権回復を。沖縄に基地があり、不平等条約の地位協定がるのは、日本政府が安全保障上必要と判断して要請しているからだ。エネルギーも貿易も医療も教育も、国の根幹政策は日米合同委員会や年次改革要望書を通じて、アメリカの国益を最大化することがすなわち日本の国益を最大化するという欺瞞的なロジックを政治家も官僚もジャーナリストも信じているか、ふりをしているからです。

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