豊田の生活アメニティ

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「アジア辺境論」その②

2020-10-20 | 気になる本

2章

姜 安倍外交は地球を俯瞰するというが、完全に失敗している。ロシアには(2島返還に後退しても)経済的においしいところだけ、つまみ食いされかねない。ロシアと緊密になろうとして、中ロ関係にくさびを打ちたいが、失敗している。北朝鮮の脅威は中国が決定的なカードを握っている。

内田 日本の政治家、官僚は失敗を認めない、失敗事例から学習しない。

 日韓がきちんと相互信頼に基づいてパートナーシップを発揮したら、東アジアで最も強い国家連合ができる。

3章(日韓の「確執」)

姜 竹島の領土問題など小さな岩礁は棚上げしておけばよい。(従軍慰安婦と少女像、徴用工の問題は河野談話や村山談話を後退させ、歴史修正主義である。未来志向も過去の戦争の反省をしないと前に進めない。)

内田 トランプショックで世界が呆然としている時に、ゴルフをやって仲良くなる。「宗主国に尻尾を振っている属国の代官」だと言うのが丸見えだ。対米従属さえしていればわが身は安泰だから、アメリカのご機嫌をとればいいというテクノラートは政財界にたくさんいる。(アメリカの武器爆買い、思いやり予算など国益を損なう)

 2016年12月山口でプーチンとの会談では、2時間またされて、お金を貢いで、(領土問題は)「これからです」と言われている。

4章 「日本の生きる道」

姜 政治が「私物化」している。官僚が「忖度」し、政治主導の規制改革も、政治の「私物化」である

税金は取るだけ取って、再配分はしぶる。

内田 社会的弱者は自己責任、弱者救済に公的資金を投ずる必要はない、と言い立てる人が多い。それは「社会的強者の自分たちにこそ公共的な財を優先的に配分せよ」ということです。小田原も根っこは同じ。(職員の「生活保護をなめんな」ジャンバー事件)

 人件費を上げると国際競争力が落ちる。正社員を増やすと国際競争力が落ちる。国際競争力はある種のマジックワードです。実際にシェアを取り合っているのは、グローバル企業です。

姜 79年にイギリスに行った時、サッチャーの演説を聞いた。「社会はありません。あるのは個人です」。(今年、サッチャーを師と仰ぐジョンソンは、コロナに感染して「社会はある」と実感したようだ。)

内田 日本の大学のアウトカムは先進国で最低レベルに下がっている。(安倍政府は大学予算を削り、軍事研究に補助金を出し、菅政府は日本学術会議の委員6名の任命を拒否した。)

姜 司馬の「この国のかたち」は、明治を持ち上げていて疑問だが、「街道をゆく」は良い。

内田 韓国は大統領を弾劾できるから良い。日本は大臣や官房長官が嘘をついても、政府・自民党の支持率が高い。政治が腐敗しても、国民の側に自力で修復する気がおきないのは、属国マインドのせいです。

姜 紆余曲折を経てデモクラシーが定着しそうな社会のライフスタイルや価値観や生き方というものを、お互い近づけていくことは、ある意味不可避なのではないかと思う。そこの地域で生きている人たちがその課題をつかんで、お互いを近づけていく。香港や台湾でデモが起きると韓国でもすぐ反応するし、韓国でデモが起きると日本でも取り上げる。

おわりに 姜

唯一の被爆国であるはすの日本が、核兵器禁止条約という画期的な取り組みのために事実上反対の表明をした。核保有国が参加していない。北朝鮮の核の脅威が増しているのに、米国の核の傘から離脱できないなど、いろんな理由が挙げられそうだ。一見するともっともらしい「現実主義」こそ、日本が、未来に向けたビジョンを発信できない。核抑止力など、どこまでその実効性を客観的に検証できるのか、その明確なエビデンスはないと言える

コメント
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