豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

下山の研究開発地の湿地観察

2017-11-28 | 平和・人権・環境・自治制度

 トヨタ自動車の研究開発施設(約670ha)を、愛知県企業庁が代行して下山地区に造成している。自然環境のアセスメントが実施され、動植物の希少種と里山など保全される。その中の2つの湿地を、下山の自然を愛する会に同行し、企業庁の人と一緒に先日観察した。道路沿いにある湿地では、道路の反対側の樹木が地元森林組合により伐採されていた。それは道路法面で倒れそうな支障木を切っているとのこと。しかし、湿地側では伐採禁止のマークの中にある山桜、カシ、コナラなどが数本伐採されていた。また、湿地側の法面切土には苗木が植えられていた。これが成長すると湿地の日陰にもなり、道路にはみ出し支障木となりうる。企業庁の人は都市計画法の制約と説明したが、下山は都市計画区域外であり適用は無い。

 もう1か所は開発前に来たことがあり鳥の多い場所である。イノシシ対策で囲まれ田が多くあるが、地目はなぜか雑種地に転用したそうだ。米は作らず水を張り鳥のえさ場にするのだろうか?写真はその周辺で落葉樹を伐採して開けている。萌芽更新のために切ったそうだが、切株から新芽は出ていない。会の人の説明では、切株の年輪から樹齢40年程で、20年以上のものは更新しないと言っていた。管理のマニュアルはあるが、どういう事情かわからない。里山や湿地を保全することは専門知識と労力が必要で大変である。企業庁から民間会社に移管し、テストコースの機密性から敷地内への閉鎖をされると維持・保全状態がチェックできなくなる。中山間地の農林業も手が入らず、疲弊している現実もある。

 公聴会ではアセスは造成だけという説明であったが、建物も含めて行ったという。当初の研究目的・施設の変更はないのだろうか?近接して養鶏場がテストコースの近くにあるが、鶏への影響はでないだろうか?素人ながら気になった点である。季節的には草花は枯れていたが、静かな紅葉の谷津田・湿地散策を楽しんだ。

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永続敗戦論その2

2017-11-28 | 気になる本

 95.北朝鮮問題にみる永続敗戦。北朝鮮については、核開発、ミサイル、拉致問題と大問題が山積している。日本の解決手段は経済制裁であるが、圧力に功を奏する見通しもない。北朝鮮は「拉致問題は解決済み」、日本政府は「この問題が解決しないと日朝の国交正常化は無い」と、平行線である。平壌宣言では、経済援助つまり過去の植民地支配に対する事実上の賠償金である。安倍首相は憲法改正推進本部で、横田めぐみさんの例を出して、「こういう憲法で無ければ、めぐみさんを守れたかもしれない」としている。首相の発言の非論理性・無根拠性は、悲惨の一語に尽きる。

 TPPの標的は、関税ではなく「非関税障壁」、つまり各国の独自の商慣行、安全基準である。「遺伝子組み換え作物の表示義務」の撤廃を働きかけているのは、モンサント社である。経団連がTPP推進を主張するのは、会長の出身企業が住友化学で、日本のパートナー企業でもある。もう一つは、日米安保である。尖閣諸島に一部を米軍施設が借り上げ、この問題に米国は「中立」である。米国中心の秩序には日中の関係に楔を打ち込んでおくこと。対米従属の無限化を自ら嬉々として進める勢力が社会を支配している。「イコールパートナーシップ」という幻想は、「主権の幻想」でもある。日本が「押しつけ憲法」を斥け交戦権を回復し、アメリカと対等となれるか?9条改定は主権の回復を意味しない。

 歴史認識問題で、米国の虎の尾を踏みかけた。従軍慰安婦問題で新見解を打ち出した。米国有力メディアからも厳しい批判を浴びた。フセインなど自ら育てたエージェントが全く価値観の異なる制御不能の怪物として敵対した。日本の親米保守勢力にその覚悟は無い。これ以上の甘やかしを許すか、アジアの有効関係を強制するか、あるいは紛争を焚き付け武器の商機とするか、という選択肢である。日本はアメリカの後ろ盾なしに周辺諸国と向き合わねばならなくなる日が来る。

 対米従属による「平和と繁栄」路線を支持した日本人の多くも、日米安保は必要だがアメリカの戦争に巻き込まれたくない、9条の使用価値を認めてきた。「唯一の被爆国である日本は・・・」という考えと、「2度と再び他国から核攻撃されたいために進んで核武装する」というものがある。戦前の国体は天皇制であった。戦後は不平等な日米安保、象徴天皇と憲法のセットである。本土決戦を避けられたのは、ソ連に対日参戦と2発目の原爆投下であった。戦争終結は遅かった。国体とは自主的決意による革新・革命の絶対的否定を意味するものである以上、国体維持を実現したかたちの敗戦は、敗北という外見に反して、その実革命に対する華々しい勝利に他ならなかった。3・11以降、合理的な思考によって裏付けられた確信へと高めることをやり遂げるならば、怪物的機械(国体)は変わる。

 ドイツの首都のど真ん中に、「お前たちは負けた」という巨大施設がある。日本は東京のど真ん中にA級戦犯が「神」として祀られる靖国神社がある。国際舞台におけるリーダーシップの違いが対照的である。 

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