トヨタ自動車の研究開発施設(約670ha)を、愛知県企業庁が代行して下山地区に造成している。自然環境のアセスメントが実施され、動植物の希少種と里山など保全される。その中の2つの湿地を、下山の自然を愛する会に同行し、企業庁の人と一緒に先日観察した。道路沿いにある湿地では、道路の反対側の樹木が地元森林組合により伐採されていた。それは道路法面で倒れそうな支障木を切っているとのこと。しかし、湿地側では伐採禁止のマークの中にある山桜、カシ、コナラなどが数本伐採されていた。また、湿地側の法面切土には苗木が植えられていた。これが成長すると湿地の日陰にもなり、道路にはみ出し支障木となりうる。企業庁の人は都市計画法の制約と説明したが、下山は都市計画区域外であり適用は無い。
もう1か所は開発前に来たことがあり鳥の多い場所である。イノシシ対策で囲まれ田が多くあるが、地目はなぜか雑種地に転用したそうだ。米は作らず水を張り鳥のえさ場にするのだろうか?写真はその周辺で落葉樹を伐採して開けている。萌芽更新のために切ったそうだが、切株から新芽は出ていない。会の人の説明では、切株の年輪から樹齢40年程で、20年以上のものは更新しないと言っていた。管理のマニュアルはあるが、どういう事情かわからない。里山や湿地を保全することは専門知識と労力が必要で大変である。企業庁から民間会社に移管し、テストコースの機密性から敷地内への閉鎖をされると維持・保全状態がチェックできなくなる。中山間地の農林業も手が入らず、疲弊している現実もある。
公聴会ではアセスは造成だけという説明であったが、建物も含めて行ったという。当初の研究目的・施設の変更はないのだろうか?近接して養鶏場がテストコースの近くにあるが、鶏への影響はでないだろうか?素人ながら気になった点である。季節的には草花は枯れていたが、静かな紅葉の谷津田・湿地散策を楽しんだ。