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「すべての戦争は自衛意識から始まる」

2020-02-22 | 気になる本

 森 達也(2015)『すべての戦争は自衛意識から始まる』ダイヤモンド社
 権力者はなぜか戦争したがる。そして戦争の惨禍を隠し、加害の事実を隠す。戦争の責任をとらない。以下は著書の気になった論点である。
南京事件の被害者数を中国は30万人、日本側は10数万人。記録が不十分なものだからどちらでも良いともいえる。しかし、歴史的事実としてなかったことにはできない。百人斬り競争で、このエピソードを書いた本多勝一を遺族が訴えたが、裁判所は事実として棄却した。
 日々の生活で銃やナイフを持つことはない。国家は護身用(抑止力)として武器を持つ。
 日本のメモリアルは被害の記憶、ドイツの記憶は加害の記憶。
 軍事的脅威を背景にした抑止力という概念は、冷戦時代に明確になる。互いに相手国を仮想的国とし、抑止力としての核兵器開発と、その副産物である宇宙開発を続けている。
 アメリカほど自己中心的で傲慢な国はないけれど、情報公開とジャーナリズムは世界トップクラスの国だ。翻って日本はどうだ。
 「戦争はダメ」だけでは駄目だ。なぜ被害だけでなく加害の記憶を刻む必要があるのか。戦争のメカニズムを知るためだ。多くの戦争は自衛の意識から始める。あの国を侵略してやろうなどという国はない。

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