豊田の生活アメニティ

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「学力」の経済学

2020-02-23 | 気になる本

中室牧子(2015)『「学力」の経済学』Discover
 東大に入る親の年収は1千万円以上が多いと言われています。親の収入が少なく、習い事もできず、自習環境の悪い子どもは貧困の連鎖から抜けれないとも言われます。この本は経済学的な視点から、数値での評価分析をしているとしていますが、教育は数値で現れないものもあり、評価も第3者での公正な評価か問題となります。特に、小中学校の少人数学級に興味があります。豊田市では小1~3年生、中学校は少人数学級になっています。豊田市では最近、小学生の悲しい事故、熱中症による死亡や小学6年生の自殺などが続きました。また、教員の多忙も良く聞かれます。みよし市は全学年少人数学級を実施しています。豊田市では小4~6年生は補助教員をつけています。以前、総合計画説明会で、市長は少人数学級の意義はわからないと応えていました。財務省と文部省の対立の影響があったのだろうか。
 2014年10月、財務省が「今まで公立学級で進めてきた35人学級を見直し、40人学級に戻すべきだ」として、文部省と対立した。
筆者は日本では論証するデータが少ないとしている。35人学級にした場合、こどものいじめや暴力行為、不登校に因果関係があるかは極めて難しい。アメリカで少人数と言えば私立で20人以下である。海外の研究から少人数にすれば学力の向上はある。生徒が獲得する将来の所得は伸びなく、投資しただけの効果はないとしている。
 橘木俊詔は「子どもの格差の経済学」で、稼得能力は向上しないだろうとしているが、非認知能力を高める効果はある。先生と生徒のコミュニケーションが増える。いじめや校内暴力、不登校に効果が予想される、としている。

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「小さき者の幸せが守られる経済へ」

2020-02-23 | 気になる本

浜 矩子(2019)『小さき者の幸せが守られる経済へ』新日本出版社
 著者の本は幾冊か読んでいる。どれも納得行く筆致で、特に「アホノミクス」は子気味良い。はじめににあるように、この本は「アエラ」などに掲載されたコラムを下に、編集書き直しされている。タイトルの「小さき者の幸せが守られる経済」が良いとしている。強いものは自力でやっていける。経済は「弱き者」(小さき者)が幸せになれること。アダム・スミスの人間であることは共感力であることを引用し、他者の喜びを喜びとし、他者の悲しみを悲しみとする。本書は最近の経済・時事問題を掲げ、本質的な問題を易しく述べている。以下、そのポイントのメモ書きである。(  )書きは私のコメント。
 経済活動は人間の営みです。数字をあげて難しく言うのが経済学だけではない。「一方で・他方で」というエコノミストが多いが、本当のことはどちらかわからない。(政府・自治体の計画書では総花的であるが、本質的な問題解決に迫らないか軽視する作文が多い。)
 資源確保のために、政府はもっと戦略的に立ち回れ。新幹線も原子力発電も、世界の大型インフラ開発案件を戦略的に受注せよ。「国家プロジェクト」、「官民挙げて」という言葉が飛び交う世相に一抹の怖さを感じる。(経団連と一緒に「地球を俯瞰する外交」セールスで、原発輸出、新幹線、領土など大金を使っても「成果」はなかった。労働者には成果主義賃金を求めるのに?)
 成長幻想はもうやめよう!(アベノミクスは道半ば、毎月勤労統計のデータは偽装、株価は日銀などによるつり上げ、物価上昇率2%目標の実施できなければ辞める?ついに、19.10消費税10%でGDPが、10~12月期の年率換算-6.3%に。今年は新型肺炎でインバウンド減少、輸入制限などマイナス成長である。)日本のGDPは2014年489兆円、民間金融機関が246兆円、日銀が268兆円の国債を5割以上保有している。
 1つの経済社会において、いかに豊かな富が蓄積されていても、それが一握りの人々の手中に全て収まってしまっていては、その富が十分な幸せと豊かさを生んでいるとは言えない。(アメリカの大統領選挙では、民主党候補の指名争いで、サンダース氏がリードしている。連合会長が春闘の集会で、賃上げの流れを崩すべきでない。内部留保は溜まっている。使うべき時に使わなくては、と述べたそうである。時代の変化に注目したい。)
 成長経済と成熟経済とどう違う?バランスが大事である。(食料自給率の低下。国、自治体の1次、2次、3次産業のアンバランスは歴然である。地域経済は持続可能か地域循環のシステムが必要に思う。成熟経済を考えるには、JS・ミルの「経済学原理」のゼロ成長と広井良典「定常型社会」がお勧め。)
 大企業ばかりを優遇することにも、経済合理性はありません。中小零細企業を存亡の危機に陥れかねません。下請けイジメを黙認することにも、非正規労働者を冷遇することにも、経営合理性はありません。人権擁護の見地からも容認できないです。(下請け、非正規労働者は賃金、労働条件が悪い。声をあげれば身分も危ない。労働組合は弱い。政治が糺さなければ。)
 国家財政の歳入は税収よりも借金の方が多い。(サラ金のような)借金依存型人生がいつまで続けられるか。
 電子現金と物理現金。「キャッシュレス」に日本は遅れているが、著者は物理現金を支持する。それは、①電子現金が進むと頭脳が退化する。②電子現金は監視の目から隠すことが困難である。
 「高度プロフェショナル制度」は、専門性の高い「高給取り」だけだろうか。働いた時間でなく、達成した成果に応じた給与を払うものである。「働き方改革」でフリーランス化し、長時間労働で低賃金化する。政策がもたらす呼吸困難による経済的窒息死が近づいている。
 2018年イタリアで議会選挙が行われた。かろうじて右派連合が勝利した。その陰で中道が大幅に後退した。現代の偽預言者、ポピュリストどもは外敵を指し示すが、気づいたときに、人々は排外的な独裁体制下で、2度と真ん中に戻れない。これは他人事ではない。
 ジャーナリズムは、闇を照らす光で無ければならない。秘められた下心を明るみに引っ張り出す。媒体にそれはできない。メディアは止めてジャーナズムで行こう。
 

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