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豊田・みよし市(愛知11区)の政治構造メモ

2015-01-14 | 市民生活・企業都市
愛知11区総選挙での主要政党別の比例得票数から、地域の政治構造の特質とその背景を探るものです。愛知11区は旧稲武町を除く豊田市とみよし市です。この区はトヨタの大企業のある都市的地域と農村的地域です。
トヨタはグローバル企業で政府・自治体・地域に大きな影響を与えます。奥田氏は経団連の会長を(99~)02~06年、小泉政権と同じ時期に就任しました。「小泉純一郎内閣では経済財政諮問会議の民間議員として、小泉構造改革の推進役を担った。政治とは一線を画する方針のトヨタの中では異色の経営者と言えた」(Business journal)。総選挙は小選挙区並立比例選挙で、ストレートに民意を反映しませんが、政党別の比例得票数の推移をみると、11区の政治構造の特質の一端が概観できると思います。直近の3回の選挙では有効投票数は投票率等の違いがあっても、ほぼ24万票台であり得票数だけで比較することが可能と考えます。11区では民主党が強くて、自民党は小選挙区で候補者を立てられないこともありました。自民党から出た土井氏が比例復活したこともありますが、重徳氏の時は比例復活できず、先回から隣の12区より維新の党から出馬し、当選しています。公明党は自民党と連立し、小選挙区は重点区に集中し11区では候補者を立てず、自民党支持か無効票になっているようです。11区小選挙区での候補者は民主党、自民党、共産党です。候補者を立てなくても、維新の党、公明党は比例で一定の得票数があります。先回は多党乱立でしたが、今回は「1強多弱」とも言われ、自・公、民、維、共の5つの政党に収斂されつつあります。長いスパンで経年変化をみると良いのですが、取り敢えず09年、12年、14年総選挙の5つの政党の得票数の推移からみます。
愛知11区総選挙での政党別、比例得票数
        09年 *12年 * 14年
自民党    62,331 * 68,015 * 89,564
民主党    127,669 * 63,246 * 69,822
公明党    22,499 * 22,511 * 22,817
維新の党   無 ** 44,680 ** 29,953
日本共産党 8,123 *  7,801 * 14,016
その他       略  
    計   245,215 * 247,888 * 240,713
 各選挙時の情勢と結果
2014年は天候が寒波、年末、任期残が多く解散の大義がないなどで、投票率は低い。11区の投票率は67%で、愛知県は55%と相対的に2割ほど高い。2014年末は消費税増税不況で安倍自公政権に陰りが現れ、追い込まれ解散した。自民党は290(293)に議席減だが、公明党35(31)により自公政権は2/3を確保した。自民党はアベノミクスによる「景気期待」、TPP、「戦争法案」隠し、世論に反し小選挙区の比較優位で多数の議席を確保した。公明党は軽減税率の8%は財源も示さず、自民党の下支えで与党のうまみを生かし、議席を伸ばした。野党、特に民主党は準備が遅れ、過半数の選挙区に候補者を立てられず、政権崩壊の後遺症もあり73(62)と伸び悩み、党首が落選した。維新の党は「身を切る改革」を主張、票を減らしたが民主党との連携もあり、41(42)と踏み留まった。安倍暴走を批判した共産党が、全選挙区に候補者を立て、野党の受け皿となり21(8)に躍進した。沖縄は基地反対派(共、社、生、無保)が全勝した。第3局は消滅ないし激減した。一部政党は政党助成金欲しさに合流した。
 2009年は「政権交代」を掲げた民主党が躍進した。民主党・鳩山の沖縄米軍基地移転で、最低でも県外が守れなかった。菅は消費税増税を打ち出し、10年参院選で敗北した。ねじれ国会で、マニュフェストは守られずTPP、消費税など自民党と政策的には違いがなくなった。野田は3党合意で消費税増税を決めた。2012年自民党が敵失で政権復帰し、第3極がマスコミに持て囃され、革新政党は苦戦した。(2013年参院選で、民主党は惨敗し、自民党が過半数を確保し、共産党は躍進した。)
 11区政党別の得票数の推移と政治構造
 自民党は12年から14年時で大きく票を伸ばした。先回八木が比例で思わぬ復活当選を果たした。今回は厳しいことが予想され、日常的に組織活動し15年選挙の市会議員をフル動員で小集会を行った。また、スタジアムでは小泉政権以来、安倍総理を呼んで集会を行っている。小選挙区では民主党に勝てないが、惜敗率による当選をばねに滑り込んだ。豊田市議会では33年間自民と民主が市長与党の同一会派・「思政クラブ」を組んできた。「全国的にも特殊」で、2005年の市町村合併による増員選挙で大きくなりすぎ、思政クラブを解散し30人で「自民党会派を結成」(加茂みきお)した。「一昨年(03年)の総選挙では自民党は選挙区で候補者を立てられず、比例区で票を減らした」(加茂)。
 民主党は09年の政権交代から12年に比例票が半減した。それが今回票を伸ばしたが、全力投入できず信頼回復できていない。トヨタ系労組は「地域組織」(ゆたか会)を2002年8月に「だんまり解散」(スパーク231)し、市議選も2007年より工場単位の組織活動に変更した。職・住分離で自・民との棲み分けができた。最近ではトヨタの定年者も増え、一部地域保守に組み込まれるが、縛りが薄れた。古本の事務所での出発式あいさつは、自動車税の軽減が強調されたが、民主党の政策はほとんどない。古本は消費税増税の立役者、野田、藤井の三者で、豊田市のホテルで集いを行っている。トヨタにとっても消費税増税は、年間2000億円ほどの「還元」メリットがある。
 維新の党は44,000から30,000に得票を大きく減らした。11区での日常的な政治活動はないが、共産党よりも得票が多い。第3極が消えていく中、地域政党でもあるが党首のマスコミ演出で浮動票を得ている。
 公明党は安定的に、学会票を基礎に20,000票を確保している。
 日本共産党は急な解散であっても、全小選挙区に候補者を立てた。政策争点で消費税増税・アベノミクス反対、集団的自衛権、TPP、原発再稼働反対など対案を示した。第3極がほぼ消えて、安倍暴走ストップの受け皿になり、豊田では得票を8,000から12,000と大きく伸ばし、東海ブロックで2議席を得たが、過去の3議席には届かなかった。
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民主党大崩壊

2015-01-14 | 気になる本
小泉俊明(2012)『民主党大崩壊』双葉社
 著者は元民主党副幹事長、減税日本党幹事長です。民主党の内部にいて、民主党を離党した原因は消費税増税の方針に反対したからです。亡国の消費税増税、TPP参加は道理ある説明です。小泉氏は消費税増税法案の採決に反対し、党員資格処分を受け離党し、野田内閣の不信任案に賛成した経過を持ち、説明に説得力があります。民主党を崩壊させた黒幕は誰なのか?脱「米国依存」、脱「財務省」を目指した鳩山内閣の挫折、小泉政権以来の緊縮財政路線を守る財務省の逆襲、菅・野田政権下で急速に新米追従路線へ転換し、民主党は変節しました。菅より輪をかけて悪くなったのが野田政権で、消費税増税をやらないと言っていたのにやるとか、TPPもやると言ってないのにやろうとしたり、3年で自民党化した民主党です。尖閣・竹島問題も外交会議に欠席した野田政権に元凶があります。我が国の債務は課題に公表されているとして、理由に粗債務1019兆円から総資産647兆円(09年)を引いて純債務372兆円にすぎないとしています。アメリカはなぜ消費税増税をさせるのか?「自民党の10%案を参考に」と、菅首相は参院選のマニュフェスト発表で言及し、参院選で大敗し捻じれをつくりました。これは鳩山とアメリカの関係がギクシャクしていたのを修復するため、トロントサミットでオバマとの会談で約束したのです。TPP参加の検討も表明します。それは外資系企業による日本企業のM&Aがしやすくなり、消費税増税で景気が悪くなり株価も低迷し買収しやすくなります。
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