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ブラック企業2

2014-10-28 | 気になる本
今野春貴(2012)『ブラック企業―日本を食い潰す妖怪』文春新書、後編
 第6章 ブラック企業が日本を食いつぶす
ブラック企業問題は社会問題である。ブラック企業は若い労働力を潰している。ブラック企業に就職した若者たちの間で共通しているのは、「将来像」が描けないということだ。就職しても選別させられる。いつ辞めされられるかわからない不安定な身分、常に強い緊張状態、結局心身を壊し、働き続けられなくなる。そして、「自己都合退職」で離職する。辞めた後は、失業者、非正規労働者も少なくない。(今の国会で、財界の要望により安倍内閣は派遣法の改悪で、「生涯派遣」が可能にされようとしています。)ブラック企業は、制度的・組織的に社会に費用転嫁する。社会全体へのコストは、病気の医療費、転職コスト、労使の信頼関係を破壊したコスト、少子化コストなどに及ぶ。業務に関して引き起こされた精神疾患は、本来であれば労働災害であり、責任は原則として企業にある。実際は健康保険や国民健康保険によって治療される。ブラック企業で病気になると働けなくなり、生活保護を申請せざるをえなくなる。これは生活保護予備軍となっている。日本企業には過酷な労働要求に対し、年功賃金や終身雇用、あるいは職場の手厚い人間関係があった。ところがブラック企業には、将来性はなく、人間的抱擁力もない。厳しい業務を課し、厳しい叱責を行ったとしても、それが本当に育てるためなのか疑ってしまう。使い捨てと言う過剰労働は恋愛や出産、子育ての機会を奪っている。企業は常に私的な利益を最大化しようとするため、どこの国でも労働法や労使関係によって歯止めをかける。(べきである)このままでは日本は国滅びてブラック企業ありという状況になりかねない。
第7章日本型雇用が生み出したブラック企業の構造
ブラック企業は異常な命令を行う。自分から辞めさせるためにパワーハラスメントが平然と行われ、健康を破壊するほどノルマ、サービス残業が戦略的に課せられる。労働市場では、就職ができない大卒の学生があふれかえっている。代わりがいることが、ブラック企業の成立にとって必須の条件である。実は、就職活動それ自体が、ブラック企業の戦略を支える役割を果たしている。現在の若者の多くは正社員になるための「トライアル(試用)期間としての位置付けを、陰に陽に付与されている。労働組合不在の中小企業では、法律すらまともに守られず、解雇の規制の水準はまったく低い水準にとどまっている。
第8章ブラック企業への社会的対策
なぜか政府のワークルールとは、子どもに権利をおしえることではなく、企業の厳しさを教えることを指すようである。ブラック企業は日本型雇用の延長に発生していた。重要なポイントは、雇用保障と引き換えだったはずの過剰な指揮命令権が独り歩きしているということだ。代わりはいくらでもいるという労働市場の状況が政策的に放置されている。そして、失業者・非正規・正社員の間での競争が政策的に強化されている。これには日本型雇用からの脱却を図るべきである。まず、労働時間規制や業務命令に対する制約を確立すること。特に、労働時間規制は、過労死や鬱病の問題を考える上では、もっとも喫緊の課題だと言えよう。EUでは退社してから次の出社まで、最低連続11時間の休息を義務付けている。(日本の過労死防止法もこの規定が必要である)当面の指揮命令権の制約と言う意味では、労働時間規制を中心として、パワーハラスメントの防止まで含み、「過労死防止基本法」制定する必要がある。(制定されたが、どうなっているのだろう)過労死やうつ病を出した企業に対して、「国家として厳罰」を科していくというのも一つの方法だろう。(法律は理念規定に終わっている)次に、労働市場政策として早急に実施すべき政策は、失業対策と非正規雇用規制である。(安倍政権は逆行している)「普通の人が生きていけるモデル」策定が必要、どんな企業に勤めていようと、最低賃金と国家福祉で通常の家族形成可能な生活を営むことができなければならないのである。ブラック企業の技術である退職強要に対して、多くの若者が戦略的に行動し、証拠をつかんで訴訟。団体交渉に訴えることで、彼らは容易に抜け駆けできなくなる。自分だけの問題でなく、同僚や、次に新卒で採用される若者のことを気にかけているからだ。
*以上は著書のポイントの抜き書きで、( )が私のコメントです。
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